第92話 1537年 7歳 南部氏の居城に再び来たぞ。
前回は論功行賞でした。
今回は――
南部氏の城で、ちょっと予想外の展開が待っています。
観戦していた百人からの情報がすでに城に伝わっており、
城内は熱狂に近い歓迎ムードだ。
そりゃ普通の軍隊であの渡河作戦をすれば、
兵は半減する。
俺達の死傷者が百人で済んだことも、
南部氏には驚きだったようだ。
南部安信が走って玄関まで迎えに来た。
南部
『お見事、お見事あっぱれ過ぎる。
さぁさ、こちらへ』
豪華料理が並ぶ広間に通される。
南部
『長尾家の皆様もこちらへ』
俺達はズラリと並んだ。
ここから南部氏の
「見事だ」「凄い」
の褒め言葉が続き――
南部氏
『あの射程の長い弓矢や渡河兵器は、
幾らでしたらお譲り頂けますか?』
無理難題を言ってきたな。
俺
『こちらの兵器は、我が国の国人衆にすら渡しておらぬ兵器です。
よって幾ら値段を付けられても、お譲りするわけにはいきませぬ』
南部氏
『蝦夷地と交換であったとしてもですか?』
俺
『南部殿は、我らと戦いたくはないでしょう。
その気持ちは我らも同じです。
そしたら……分かりますでしょう』
――遠回しに、
「蝦夷地を渡さぬなら戦うぞ」
と言っている。
南部氏
『そうですね。
長尾家の皆様が来て頂けるだけでも有り難いですよね。
そうそう、孫を紹介しないといけませんね。
清姫を連れて来い』
<清姫>
現れたのは、三歳ほどの女児。
ロリコンの趣味はないが、
目はぱっちりで可愛いタイプだ。
南部氏
『儂は清姫を連れて来いと言ったぞ』
幼児
『お祖父様、私が清姫だよ』
慌てて南部氏に近づく重臣。
何やら小声で話し込む。
やがて重臣が説明する。
当主南部安信が話していた「十三歳の清姫」は、
嫁に行った長女の娘で、名前は清妃。
目の前の幼児は、
長男の娘・三歳で、名前が清姫。
俺の嫁になるなら、
次期当主の娘――
つまり三歳の清姫でないと都合が悪い。
どうやら南部安信の勘違いだったようだ。
南部安信は恥ずかしさで顔が真っ赤である。
南部
『龍義殿、誠に申し訳ございませんでした』
南部安信は地に頭を付けて深々と土下座。
重臣一同も土下座。
俺達が
「もう大丈夫ですから」
と言っても平謝りだ。
――そうなれば、言うことは一つ。
俺
『南部殿。
それでは私、龍義と清姫殿の婚約という事で話を進めましょうか』
南部氏
『こちらの不手際があったにも関わらず誠に申し訳ない。
南部家と長尾家は永遠の友誼を結ぼうぞ。
めでたい、めでたい。
コチラの食事でも食べましょう』
やっぱり将来の嫁という事で、
もう一度清姫を見る。
俺が見ると、
ニコニコと会釈してくる。
感じが良く、
頭も良さそうでホッとした。
安田は、
「すぐ俺の嫁が来る」
と思っていたのに十年後になるので憮然。
安田がこういう表情になるのは珍しい。
相当に俺の嫁を楽しみにしていたようだ。
<婚約の段取り>
俺達は城を出て宿舎に戻る。
柿崎や宇佐美とも婚約の件を話す。
今、清姫に直江津へ来てもらっても、
ホームシックになるだけで良くない。
慌ててもしょうがない。
清姫は十年ほど南部家で育ててもらう、
で一致。
来年、婚約の儀式を行う。
俺が祖父二人に連絡。
長尾家側の婚約儀を進める役は守役安田。
南部家との調整役は宇佐美。
両方で連絡を密にする。
清姫へのプレゼントを、
お手伝いを捕まえて考える。
結果――
蜂蜜団子メイン。
新津焼。
越後上布。
石けん。
金銀を少し。
とした。
次の日、
清姫のご機嫌を取ってから、
蝦夷地に向かう事にする。
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