第85話 1537年 7歳 戦争の準備を始めるぞ
前回は、宗教対策の説明回でした。
<遠征計画>
直江津を出発し、
酒田港を支配する大宝寺氏を討伐する予定だ。
兵は五千。
騎馬二千。
荷駄として、馬を千頭。
陸路で向かう。
酒田港は、
直江津港から蝦夷地へ向かう重要な経由地だ。
ここを実効支配できなければ、
南部氏へ向かうにも苦労する。
酒田を押さえた後、
次は南部氏のもとへ向かい、敵対する豪族を討伐する。
南部氏との良好な関係は、
俺たちが蝦夷地を実効支配するために不可欠だ。
我々が陸路で酒田港を制圧した後、
海路で祖父・長尾為景と合流する。
そこから海路で蝦夷地へ。
さらに蝦夷地から堺港へ向かい、
上洛する。
蝦夷地から上洛までは、
太平洋側を通る海路だ。
一月下旬に直江津を出発し、
六月初旬に直江津へ帰還。
――長期遠征になる。
だからこそ、
留守役が重要だ。
甘粕と直江には、
いつでも軍を動かせるよう頼んでおく。
<酒田の先にあるもの>
津田は、
酒田港攻略後に合流する手筈になっている。
酒田港で合流し、
そのまま堺へ向かうのを楽しみにしているそうだ。
もっとも――
理由は別にある。
何しろ津田は、
衆道専門の売春宿を作るという、
究極の汚れ仕事を任されていた。
顔が青くなるのも無理はない。
聞けば、
金城兄弟が
「あれはイヤ」「これはイヤ」と
かなりのわがままを津田にぶつけているらしい。
津田も右往左往で、大変なんだとか。
安田に偵察に行かせたところ、
安田
「……あれは、普通の人間が行ってはいけない所です」
と、
顔色を失って戻ってきた。
……津田が大変なのも納得だ。
この仕事が終わったら、
津田が好きな場所に行ってもらおう。
そうは言っても、
金城兄弟は佐渡金山から
年間三十万貫の金銀を算出してくれる、
最重要人物だ。
津田には、
何としても踏ん張ってもらわないと困る。
この前会った時も、
十貫ほど渡しておいた。
……きっと、頑張ってくれるだろう。
そう期待しつつ――
雪を踏みしめる音が、延々と続く隊列の奥まで響いていた。
白い息を吐きながら、兵たちが整然と並ぶ。
「若様、出立の準備、整いました!」
俺は頷き、馬の腹を軽く蹴った。
「酒田を押さえる。ここからが本番だ」
雪の残る直江津を、
俺たちは出発した。
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