第81話 1536年 6歳 戦後処理だぞ
前回、
ギリギリのところで
祖父・長尾為景を救出することができた。
今回は――
戦の後始末だ。
軍団の論功行賞を行う。
第一位は、
敵大将・上杉定憲の首を取った自来也。
――千貫。
第二位は、
中央突破を決めた空曹。
――百貫。
第三位と第四位は同順位。
敵両翼を突破した風馬と小島弥太郎。
――それぞれ百貫。
相変わらず、
満面の笑みで踊っているのは自来也だ。
<論功行賞と願い>
勲章授与の際、
自来也が一歩前に出た。
自来也
「井口も若様におねだりしておりましたが、
儂もお願いして良いですかのーー」
俺
「俺の出来る範囲内であれば、聞いてやるぞ」
史実であれば、
祖父・長尾為景を散々苦しめた上杉定憲を仕留めた男だ。
井口のように、
服か、地位か――そう思った。
自来也
「若い嫁を見つけてくだされんかのーーー」
……流石、元忍者。
完全に意表を突かれた。
そういえば安田からも、
「いずれ婚姻の世話は必要になります」と言われていたな。
俺
「……分かった。良い人を探しておくよ」
俺は早速、
金城兄弟の売春宿作りで困り果てている津田を呼び出した。
あまりに可哀想になり、
十貫を渡す。
津田
「若様、有難うございます。
くじけそうになってましたが、これで頑張れます」
ニコニコだ。
俺
「津田よ。
自来也って元忍者が、若い嫁が欲しいそうだ。
手配してやってくれ」
天国から地獄へ落ちたような、津田の表情。
……頑張れ。
<新領地と新たな責任>
俺は、
上杉定憲の兄である祖父・上杉定実の元へ向かった。
同行は、
安田、島田、水斗、
そして親衛隊五十名。
蝦夷地土産と、
千貫を祖父に渡す。
いつもなら満面の笑みで感謝される。
だが――今回は違った。
孫である俺が、
弟を討ったのだ。
祖父は、
寂しそうにそれを受け取った。
気持ちの持って行き場がない。
結局、「上杉定憲が悪い」に落ち着くしかない。
俺たちは祖父の屋敷を後にし、
春日山城へ向かう。
城では人足たちが、
戦で壊れた塀や壁を修復していた。
祖父との話し合いで、
上杉定憲の旧領を、俺が管理することが決まる。
新領地――六千石。
佐渡ヶ島――一万五千石。
四割が国の手取り。
収入は八千四百石。
一方、支出。
軍団五千人で――年四千二百石。
佐渡ヶ島一万人で――年八千四百石。
合計――一万二千六百石。
……四千二百石の赤字だ。
この穴は、
蝦夷地と佐渡ヶ島の金銀鉱山で埋める。
だからこそ、
米と兵士を生む新領地が必要なのだ。
飛猿加藤と自来也を呼び出す。
まず自来也に告げる。
俺
「若い嫁の件、段取りはしたぞ。
詳しくは津田って奴に聞け」
満面の笑みの自来也。
対照的に、
加藤の顔は真っ青だった。
千貫という大金を賭けて期待した俺に、
泥を塗る失態をしたのだから無理もない。
加藤の話は深刻だった。
軒猿からの妨害。
十二人で全ての国人を監視する限界。
自来也に意見を聞く。
自来也
「忍びのクセに、何を甘えた事を言っている。
儂なら反乱を予知できたわ」
俺
「……ならばだ」
俺は告げる。
俺
「自来也。
お前はしばらく軽騎兵を卒業だ。
飛猿の顧問として、加藤を鍛えてやれ」
二人とも驚愕した。
自来也
「儂の部隊は、どうなるんですかのー」
俺
「風馬や小島に任せればいい」
俺は続ける。
俺
「若い嫁も来る。
一生遊べる金もある。
戦場より顧問の方が良いだろ」
俺
「……子作りでもしてろ」
涙ぐむ自来也。
自来也
「儂は、こんな優しい部下思いの主人に会った事がない。
この自来也、一生若様に付いて行きますぞ」
俺
「飛猿を鍛えてやってくれ」
……津田。
責任は重大だぞ。
良い嫁、必ず連れて来いよ。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
今回は「戦後処理回」でしたが、
報酬・責任・人の人生が一気に動く場面でもあります。
次は、
戦とは違う意味で胃が痛くなる展開が待っています。
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