第8話 1533年 3歳 舟職人を迎えに行くぞ
越後を海洋立国へ――主人公が本格的に“海の時代”へ動き出します。
西洋帆船への改造、七尾への航海、名工・八坂正宗との出会い。
今回は、越後の未来を決める大きな転機となる章です。
春日商店に頼んで、
羅針盤の元になる磁石を入手してもらった。
これで本格的な航海ができる。
そして――熊から連絡が来た。
「舟、完成しましたぜ若様!」
改造弁才船を見に行くと、
キール・バラスト・ケッチリグ・ガフ帆……
俺の指示通りの“西洋もどき高速船”が完成していた。
熊、よくやった。
(脅しと前金の効果が絶大だったようだ)
■ 船員への講習で3歳児がプロすぎて引かれる
船員10人に操作方法を教えると、
俺の説明の専門性に全員顔面蒼白。
「……三歳児が言う内容じゃねえ……」
「神の子って噂は本当だったのか……」
まぁ実際そう思われてた方が楽だ。
訓練は2週間。
守役安田も「付いていく!」と言い張り、
船酔いの未来が見えていたが許可。
祖父・長尾為景には
「夢で神様に七尾へ行けと言われた」
と報告したら、
為景
「海は今後の要となる。行ってこい」
あっさり許可。
祖父は未来を見抜いているタイプだ。
★ 出航 ― 氷見経由で七尾へ
旅のメンバーは16人。
・俺(3歳児船長)
・守役安田(船酔い確定)
・雷蔵・風馬・水斗(最強トリオ)
・熊(震えながら乗る)
・船員10名
春日商店には、
「親戚筋の商人に案内を頼んでくれ」
と手配済み。
天気は漁師の親玉の助言+俺の海の勘で決め、
4日前に飛脚で連絡も入れてある。
そして――出航。
風をつかんだ弁才船は軽やかに走る。
さすが俺の設計。
案の定、安田は10分で船酔い。
介抱する羽目に。
氷見で錨を下ろすと、
安田は生還。
安田
「人生で一番苦しかったです……」
いやまだ往路だぞ。
★ 七尾港 ― 天才職人との遭遇
七尾港に着くと、
春日商店の親戚筋の商人と――
ヒゲモジャ筋肉の熊みたいな男
が立っていた。
こっちが噂の天才、
八坂正宗。
挨拶すると、
俺が3歳なのでまず驚き、
そしてすぐ船に興味津々で乗り込んだ。
八坂
「これは……何という構造だ!?
帆が……マストが……!」
そこから3時間、質問の嵐。
俺も逐一答える。
八坂の目は完全に「知識欲モンスター」。
狙い通りだ。
しかし――
■ 畠山の兵30人、接近
騒がしくなり、
武装兵30名ほどが近づいてきた。
八坂を連れていくのは危険だ。
俺は八坂の手を握り、宣言した。
「俺は350尺(100メートル)級の舟を造り、
世界に出る。
一緒に舟を作ろう、八坂正宗!」
返事を聞く前に
安田に抱きかかえられて撤退。
帆を張り、全速力で港を離れる。
八坂は背中を向けたまま。
だめか……と思ったが、
左手の人差し指が“越後の方向”を指していた。
来る気満々じゃん!
安田
「若、おめでとうございます!」
→と同時にゲロ復活。
もう安田は船に乗せない。
★ 追撃戦 ― 雷風水、初陣
畠山の漁船5隻が追ってきた。
距離が詰まり、矢が飛ぶ。
雷蔵・風馬・水斗が即座に応戦。
全員、鍛えていたので
畠山兵を5人討ち取った。
そのまま追い風を掴み、
高速で引き離す。
だが沖に出て陸地が見えなくなると、
船員がパニックに。
「帰れねぇぇぇ!!」
俺は羅針盤を取り出す。
「北東へ進め。越後だ。」
しかしなお騒ぐので、
雷蔵が一喝。
「若の下知に従え!!」
船員ビシッと統制。
さすが雷蔵。
★ そして3か月後――
八坂正宗、来た。
家族・職人含め総勢40人で。
越後に天才軍団が誕生した瞬間である。
俺は住居と工場予定地を案内した。
八坂は俺の造船工場構想に大喜び。
八坂
「若様の知識……どこで?」
俺
「夢で神様が教えてくれた」
八坂
「神様が授業するとは……ありがたい世です!」
ちょろい。
いや、純粋にすごく素直な良い職人だ。
★ そして造船ラッシュへ
20メートル級西洋帆船を着工。
将来的には100メートル級も目指す。
俺の設計を、
八坂の経験が補完する最強タッグ。
熊や他の職人には、
まず弁才船の量産を任せる。
軌道に乗れば千石船も追加予定。
海の時代は、もうすぐ来る。
越後は、俺が海洋国家にする。
ついに八坂正宗が仲間に!海のパートが一気に盛り上がってきました。
ここから造船所が動き出し、主人公の海の夢が形になっていきます。




