第74話 1536年 6歳 戦後処理だぞ
戦いは、勝てば終わりではない。
むしろ――本当の戦争は、そこから始まる。
本間家との戦の、その後。
刀ではなく、言葉と理で切り分ける時間だ。
雑太城(本家本間の居城)
御座の間に、
本家雑太本間氏、
河原田本間氏、
久知本間氏――
本間一族がずらりと並ぶ。
上座には俺。
その後ろに、
柿崎、宇佐美、安田、雷蔵、風馬、水斗。
本間氏の全員が、
俺を睨んでいた。
俺
「処分を発表する」
一瞬、空気が張りつめる。
宇佐美
「この度の戦に参加し、我らに敵対した者の財産は没収する。
ただし――
長尾家の監督下に入る者には、二割を返還する」
ざわめき。
宇佐美
「次に、本家本間の嫡男・本間泰秀は廃嫡とする。
なお、本間泰秀は長尾家預かりとする」
さらに、どよめく。
宇佐美
「それに伴い、
本家本間氏の跡継ぎとして、
羽茂本間氏嫡男・本間高季(大叔父の嫡男)を置く」
宇佐美
「手続き完了後、
本家本間当主・本間憲泰は隠居。
以上だ」
――つまり。
佐渡の鉱山労働者は、
長尾家・金城兄弟の監督下で働け。
働かないなら、
全資産没収。
本家の名は残す。
だが、
実権は羽茂本間(大叔父の家)に移る。
当然、
黙っている者はいない。
怒号が飛ぶ。
その瞬間――
柿崎が、一喝した。
柿崎
「全員、死罪でも良いんだぞ!
若様のお情けが、わからんか!」
一気に静まる。
俺
「長尾家の下につき、
当家の金城に学び、
きちんと働くなら――」
俺
「どこぞの鉱山で、
復権を約束する。」
俺
「まずは、
最新の鉱山技術を学んでくれ」
本間氏たちは、
一斉にうなだれた。
「羽茂本間に、
儂らは騙されたんじゃの……」
そんな声が、
あちこちから漏れる。
後の事務処理は、
宇佐美に任せる。
次は、軍団の論功行賞
同順位。
第一位。
軽装歩兵で敵を巧みに引き出した――
ヤンキー兄弟の井口将一。
第二位。
敵騎馬隊の突撃を捌いた――
胤嵐。
それぞれに、
百貫を与える。
井口将一
「俺達の服、
赤く派手にしたいんスけど、
いいスか?」
敵の的になるのが仕事だ。
了承すると――
井口
「百貫、取ったぞ!
お前ら、よろしく↑」
軽装歩兵部隊
「よろしくー!」
……ますます、
族仕様になってきた。
胤嵐は雷蔵に祝ってもらい、
心底嬉しそうだ。
宝蔵院では、
絶対に手にできない額だからな。
それを、
羨ましそうに見る自来也。
――お前の出番は、
まだ後だぞ。
次は、各家の財産調査
九島が連れてきた商人十八人。
そのうち五人を使い、
査定と調査を行った。
本家本間氏、
分家本間氏(大叔父を除く)。
合計資産――
十万貫。
やはり、
武具や美術品より、
金銀を大量に貯蔵していた。
だが。
これから毎年、
三十万貫以上の金銀が生み出される。
金城兄弟の凄さが、
よく分かる。
興奮気味に報告してきた商人――
津田宏一に、俺は言った。
俺
「三兄弟のために、
衆道専門の売春宿を三件、作ってくれ」
究極の大仕事の直後に、
究極のヨゴレ仕事。
津田の表情の落差が、
忘れられない。
俺
「もちろん、
津田の一番やりたい仕事を任せる」
俺
「その代わり、
このヨゴレ仕事を頼みたい」
俺
「あの兄弟は、
長尾家の最重要人物だ」
俺
「年間三十万貫を稼ぐ、
鍵になる」
俺
「津田より適任者がいるなら、
俺の前に連れて来い」
津田
「……私より適任者、います。
堺におります」
俺
「連れて行く。
でも――
売春宿は、すぐ作ってね」
俺
「あいつら、うるさいから」
津田、がっくり。
……津田、
頑張れ。
次に、羽茂本間氏の城にて
城中は、
完全に戦勝気分。
大叔父の前に出る。
隣には、
次期本家当主・本間高季。
大叔父
「まずは戦勝、おめでとう!
儂らも、
どう恩を返せばよいか……」
俺
「では、分け前の話を」
俺
「佐渡ヶ島の領地と鉱山経営を、
長尾家に任せてほしい」
俺
「その報酬として、
年二万貫でどうでしょう?」
大叔父は、
しばらく黙り込む。
そして――
大叔父
「ありがたい話じゃ」
大叔父
「仮に三十万、
五十万貫の金銀が取れたとしても、
長尾家なしでは無理じゃ」
大叔父
「何もせず、
年二万貫をもらえるなら、
感謝しかない」
俺
「では――
佐渡ヶ島の全権限を、
長尾家が管理する」
大叔父
「もちろんだ。
何かあれば、遠慮なく相談してくれ」
俺
「今後とも、
よろしくお願いします」
帰り際、
大叔母から――
祖父・長尾為景への手紙を預かった。
俺たちは、
佐渡ヶ島の財産を抱え、
直江津へと帰還した。
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