第7話 1533年3歳 舟を作るぞ
越後を海の国とするため、主人公は造船所の確保と職人探しに挑みます。
七尾の凄腕職人との接触、弁才船の改造、船乗り集め——
ここから越後の海が動き始めます。
俺は坂本龍馬が好きで海上自衛隊に入った男だ。
防衛大学校で帆船から潜水艦まで構造を叩き込まれ、
実際に帆船にも乗って操っていた。
つまり――
俺は海のプロ。海チート。
転生したからには、越後を海洋立国にしなければいけない。
まずは造船工場と職人探しだ。
■ 目標:20m級 → 100m級帆船!
・まず20m級の小型帆船を作れるようにする
・将来は100m級の超大型帆船を作る
・クレーン・ドックも欲しい(全部手動でOK)
この明らかに少年の夢ではない開発計画を、守役の安田に相談。
安田「また変なこと言ってますけど……調べてみますか」
紹介されたのは、領内の舟職人。
名前は 熊。
顔は痩せてて大人しく、まるで “ヒョロ助” みたいな男だ。
名前と見た目が完全に逆。
俺が書いた帆船(20m級)の設計図を見せたら――
熊「む、むりむりむりむり!!!」
即・土下座。
……まあ予想通りだ。
安田に聞いても「他に伝手がない」とのこと。
困ったので、石けんを売ってくれてる春日商店に相談すると――
春日商店主人
「七尾港に、日本でも屈指の舟職人がいます」
しかも堺で修行した“本物の天才職人”。
だが七尾は能登畠山氏の領土、つまり敵国。
主人
「ただ、親戚筋が七尾の商人で、その職人のことを知ってまして……頼んでみましょう」
頼んでくれた。
そして――
後日、丁重にお断りされた。
知識が無い奴には会わないタイプらしい。
厄介だ。
★ 閃く:ならば、職人の知識欲を刺激してやればいい
凄腕職人は「堺まで命懸けで修行しに行くほどの知識モンスター」。
ならば――
西洋風に改造した船を見せれば、絶対食いつくはず!
そう確信して、熊の工場へ。
★ 弁才船を“西洋化”する大改修
20m級の弁才船を調達し、熊に説明した。
通常の弁才船に西洋帆を乗せると転覆しやすい。
だから構造も変える必要がある。
■ 指示内容(図付き)
キール+バラスト増設で重心を下げ安定化
ケッチリグ(2本マスト)+ガフセイル+ジブ
→帆面積1.2〜1.5倍
→リーフ可能(安全)
運用方法:風上側に重量、突風時に帆を緩める
これで7〜10ノットの速力を目指す。
熊は青ざめて震えていたが、
俺は“飴と鞭”の二段構え。
・脅し「出来なきゃ熊の首が飛ぶ」
・飴「前金50貫、成功後にさらに50貫」
熊
「若様ぁぁぁぁ!!!全力でやらせていただきますぅぅ!!」
よし、やる気になった。
改造には約2ヶ月かかる。
★ 船員10名の確保
船を動かすには船乗りが必要。
熊の伝手で“漁師の親玉”を紹介された。
俺が500文渡して頼むと、
「任せておけ!」と快諾された。
さらにお礼に、
まき網漁・地引き網漁の方法を図解して教えてあげた。
この時代でも網は作れる。
教えたら、大漁になったらしく――
漁師の親玉
「若様!魚が山ほど獲れたぞ!」
大量の新鮮な魚を持ってきてくれた。
そして船員10名の件も、
親玉
「若様に恩がある。良い奴を揃えた!」
神か?
俺はその魚を守役・安田と乳母に持っていく。
安田
「さすが若様、私の好物を分かってますなーー!」
(知らん。たまたま。)
しかし中身は32歳の俺。
俺
「おう、知ってるぞーー!」
余計な質問をされる前に逃げた。
今回、主人公が選んだ弁才船の改造は、越後にとって海への第一歩です。
これが後に百メートル級の帆船、海軍、交易の礎へと繋がっていきます。




