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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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第63話 1536年 6歳 歓迎会を開いてくれたぞ

前回は、逸香が通訳に挑戦!

……だったんですが、ちょっと怪しかったです。


でも好かれてるのは本物。

問題は「通じるかどうか」。




歓迎会を開いてくれるそうなので、参加することにした。


弥太郎

「今日は我々の歓迎会を開いてくれるそうなので参加しましょう」


「そうだな。夜襲の警戒は最小限に抑えて、

 兵士には楽しむよう伝えてくれ」


歓迎会が始まった。


村長が挨拶をし、逸香が翻訳する。


……今は普通に通訳できている。

(ただし、細かいニュアンスは怪しい。)


逸香が忙しい時は、二郎が残りの兄弟の面倒を見ている。

二郎は無口だが、皆を支える兄貴だ。


時々、村長は逸香の頭を撫ぜたり、肩を揉んだりしてから、

「どうだ?」という顔で俺を見てくる。


これだ。困った。


逸香を見ていると、

アイヌの老若男女に好かれているのがよく分かる。


おまけに安田の兵士たちまで、

「姉さん、姉さん」とほぼアイドル状態だ。


この分だと、取引も上手く行く。

それは間違いない。


兵士も楽しんでいた。


そこへ時香が近づいてくる。

年齢が俺と同じだから親近感があるのだろう。


時香

「若様に、私たちの家を見てほしいなー」


近くにいた弥太郎が驚いて、


弥太郎

「若様、申し訳ございません。子供の言うことなので」


弥太郎。

俺と時香は同い年だ。忘れてないか。


「まあ、いい。弥太郎も一緒に来い」


島田や水斗が付いて来ようとしたので止める。


「宴会を楽しめ」


安田を見ると、嬉しかったのか酔い潰れて寝ていた。

兵が六十人もいれば、飲みの相手も大変だ。


時香に案内され、海沿いの村外れへ行く。

そこに倉庫と民家があった。


民家は敷地が広く、

三十人くらい暮らせそうな大きさだ。


時香

「若様、あれが私たちのお家だよ。

 建てるの、すっーーーーーごく大変だったんだよ~」


苦労アピール。

褒めてほしいのだ。


「時香、よく頑張ったな。偉いぞ」


弥太郎

「そういえば時香。蝦夷地に来てから、

 文字や計算の勉強はしていたのか?」


時香は「しまった」という顔をして、

ぱっと走って逃げ――大声。


時香

「若様こっちこっち!家の中も見てーー!」


……してない。

話題転換が分かりやすすぎる。


俺と弥太郎は苦笑した。


家の中に入る。


事前に指示していた通り、

防寒用の暖炉があり、壁も厚い。


これなら蝦夷地の冬も越せただろう。


時香

「若様、聞いて!

 冬の間、兄ちゃんの言う文字とか計算はできなかったけど、

 アイヌ語は覚えてたんだよー!

 アイヌのお友達もいっぱいできたんだよ~」


「時香、偉かったな」


満面の笑みの時香。


「よくこんな立派な家を建てられたな」


時香

「逸香姉ちゃんと三郎兄ちゃんと六郎兄ちゃんが

 大工さん連れて来てくれて、

 村の大人や兵隊さんや兄ちゃんたち、みーーんなで作ったの。

 私も道具運んだり、いろいろしたんだよ~」


「時香、偉かったな」


褒めて褒めてが止まらない。

妹ってこうなのか。


俺たちは宴会場へ戻り、舟で寝た。


翌朝、十時過ぎ。

三郎たちが帰って来た。


弥太郎と涙の再会だ。

相当苦労したのだろう。


そして――


通訳問題は、三郎が解決していた。


三郎は、完璧にアイヌ語を使えるようになっていた。

すごい。


やり方はこうだ。


食料を提供する代わりに、

町でアイヌ通訳をしている和人から基礎を教わる。


あとは、アイヌの人と話しまくって覚える。


三郎

「兄弟みんなにも、教えています」


頼もしすぎる。


その時、時香が飛び込んで来た。

顔面蒼白だ。


時香

「和人が、アカレを連れていっちゃったー!

 どうしよう兄ちゃんどうしよう!」


パニックで要領を得ない。


「時香、落ち着け。まず深呼吸だ。

 息を吸え。吐け」


少し落ち着いた時香。


連れ去られたのは、アカレという六歳の女の子。

赤い服、頭に布を巻いている。


「和人は何人だ。どっちに逃げた。特徴は?」


時香

「五人!西!ヒゲで怖そうな人!」


俺は時香を褒め、赤目を呼んで追跡させた。


十五分ほどで村長が来た。

三郎の通訳なので安心だ。


村長の話は、冷たく現実的だった。


米や酒を用意できる和人は、物々交換をする。

だが用意できない和人は――


アイヌの子供を誘拐して、商品を持って来させる。


やがて犯人が現れ商品を奪い、子供が戻る。

商品が来なければ――殺すか、奴隷商に売る。


村長は半ば諦め、

毛皮などを準備させていた。


一時間後、赤目が戻る。


赤目

「犯人の野営地を見つけました。どうします?」


「始末しろ」


村長に「解決した」と伝えると、疑わしそうな顔。


「待ってろ」


さらに一時間。


赤目滝が、アカレを連れて来た。


アカレの衣服に、返り血が少しついている。

きっちり始末したのが分かる。


村に着くなり、

アカレは両親の元へ走り、皆で大泣きした。


驚愕する村長。


そして――

「どうだ、俺たちの若様は凄いだろ」

という顔の九島兄弟。


甘粕や直江も、同じ表情だ。


安田も当然その顔をしている。


……皆、安田に似てきている。

良いのか、それで。


「松前の蠣崎氏という代官を外し、

 長尾家が松前を領地としました。

 悪徳商人は、これから排除していきます」


三郎が信じられない顔で弥太郎を見る。

弥太郎が頷く。


三郎が訳して村長に伝える。


村長

「本当に良いことがあったー!」


そして村長は、

逸香の頭を撫で、肩を揉み、また「どうだ?」の顔。


……もう、いいって。


「これからも俺たちと共に繁栄していこう」


村長が頷く。


で、また撫でる。揉む。どうだ顔。


ほっとこう。


俺は三郎に、どの港へ行ったかを聞く。


三郎

「小樽と、函館です。

 もちろん“港”なんてありません。

 弁才船が接岸できる場所を探して、

 取引相手の村と交渉する仕事でした」


なるほど。


江差周辺は倉庫が手狭だ。

集積は松前の倉庫に回すよう指示した。


そして、次に攻略すべき接岸地も指示する。


夕食は鮭が中心だった。


俺は三郎と村長の所へ行く。


「ここは鮭が沢山獲れるだろ。

 鮭を米や酒に交換するぞ」


燻製と日干しの作り方を教える。

塩が重要なので、多めに置いていく。


村長

「教えてくれてありがとう。

 この村の鮭料理は美味しい。沢山食べてくれ」


俺たちは「欲しい商品」についても話し合った。


翌日、昼過ぎ。


山に住む四つの村の村長と、

付き人十五名ほどが来た。


内容はクレームだ。


「自分たちの村に来ていた商人が来ない」

「この村が商人を独占している」


……そりゃそうだ。

松前で商人三十人、全滅させたからな。


強盗でも、必要とする村があったわけだ。


「安心してくれ。

 ここには米、塩、衣類、酒がある。

 みんなが交換できる物を言ってくれ。交換しよう」


ここから先は、九島弥太郎と兄弟に任せる。


取引の間、

俺と甘粕、直江、安田たちは村の周囲を探索した。


見渡す限りの平原。


「見てくれ。これだけの土地だ。

 開拓して蕎麦を植えたい。

 どれだけ兵士を動員できるだろう。

 ……十万人の兵士を見たくないか?」


越後のように小麦を植えたいが、

蝦夷地は寒すぎる。


蕎麦、キビ。

将来的にはじゃがいもも栽培する。


甘粕も直江も興奮している。


甘粕

「実は柿崎や宇佐美も蝦夷地に来たがってたんですよ。

 彼らにも見せたかったですね」


直江

「確かに、この広大な土地を長尾家で独占するのは

 たまらないですね!」


「後で兵士全員にこの景色を見せてやろう。

 皆で必ず実現させるぞ」


皆で「おおっ」と決意を固めた。


翌日から、

四村に加えて噂を聞きつけた村も商品交換に来た。


時香も働いている。偉いぞ。


このペースだと、

舟七隻に積める量は、あと二日前後で埋まる。


夜、二郎や逸香とも話した。


護衛は十人で十分すぎる。

強盗より怖いのは熊や狼で、

村へ行く時は護衛してもらう、とのこと。


ならば十人だけ残し、

残りは安田と共に越後へ戻す。


安田の舟酔いも治った。

蝦夷地を見せられて良かった。


二日後。


九島兄弟全員を載せた弁才舟と、

俺たちの舟七隻は――いったん松前へ向けて出発した。


理由は単純だ。


しばらく松前が取引の中心になる。

そこで、九島兄弟を町の皆に紹介しておきたい。


九島兄弟を軽く扱うことは、俺が許さない。


それを示せば、仕事もしやすくなる。


松前に着くと、逸香が

「紹介したい人がいる」と言って大工を連れて来た。


この大工、逸香に惚れているのか顔が赤い。


蠣崎氏から

「九島兄弟に協力するな」とお触れが出ていたのに、

江差まで行って家作りを手伝ったらしい。


俺は礼を言い、金を渡した。


そして港近くの海沿いの空地へ連れて行く。


「ここに倉庫を七棟建てろ。

 兵士百人、手が空いてる。手伝わせろ」


前金で払う。


「逸香も、時々見に来てやってくれ」


大工は嬉しそうだ。

良かったな。


視線を感じた。


弥太郎が、怖い目で大工を見ている。


「逸香に手を出したら分かってんだろうな」

という顔だ。


大工よ。

九島兄弟という苦難を越えた先に、明るい未来が待っているぞ。


当の逸香は、アイドル気質なのか素知らぬ顔。


今度蝦夷地に来る時、どうなっているか楽しみだ。


安田は俺の考えを読んだのか、ニヤニヤしている。

お前も楽しみなんだろ。


町民への挨拶、顔合わせ、打ち合わせを終える。


そして俺たちは、

直江津へ向けて出航した。

もし――

信長や秀吉、家康が、

蝦夷地の果てしない大平原をその目で見ていたら。

彼らはきっと、

目の前の合戦や政争ではなく、

その先にある「天下の形」そのものに、

強いロマンを感じたのではないかと思います。

蝦夷地は、

戦国を戦国のまま終わらせない可能性を秘めた土地です。

龍義がそこに目を向ける理由も、

少しずつ伝わっていれば嬉しいです。

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