第59話 1536年 6歳 よし、十三湊港に着いたぞ
今回は十三湊港編です。
蝦夷地に向かうための大事な港です。
十三湊港が不安定ですと、今後の蝦夷地との取引に影響が出ます。
十三湊港に着いた。
第一印象――荒廃している。
(ここは……安東氏の港だったはずだが)
そう考えていると、
明らかに海賊のような身なりの連中が近づいてきた。
「税金を払え」
怪しすぎる。
俺は即座に判断する。
矢を構えさせ、下っぱに言った。
「偉い奴を連れてこい」
連中は、
「わかった。逃げるなよ」
と言い残し、見張りも置かず全員で去った。
(……海賊にしてもレベルが低い)
偉い奴が来るまでの間に、
情報収集と水・食料の確保を急ぐ。
赤目を五人、全員走らせた。
すぐに報告が入る。
――安東氏は南部氏に敗北。
十三湊港の実効支配は南部氏。
(さっきの連中、安東氏の残党か)
片付けても良かった、ということだ。
馬を六頭、急ぎ購入。
南部氏、伊達氏への手紙を書く。
安田長秀を呼び、
越後柿酒、越後上布、銭と共に手紙を託す。
俺
「将来的に南部氏と同盟を結びたい。
下調べと交渉を頼む。
その後、伊達氏を頼り陸路で春日山城へ戻ってくれ」
安田は即座に去った。
残った者たちに指示を出す。
俺の側には、
島田官兵衛、水斗、甘粕、直江。
後方には、
黒崎仁と黒田リン。
長弓を構え、いつでも撃てる体勢。
逃走経路には赤目五人。
――万全だ。
しばらくして、
今度はきちんとした身なりの男が現れた。
だが、連れているのは海賊。
(こいつが頭だな)
海賊の頭
「長尾家の皆様。
先ほどはボンクラどもが失礼しました」
そして、さらりと言う。
「七隻分。
諸経費込みで五千貫ほど、いただきたく」
……通常の千倍だ。
俺
「もう払った」
海賊の頭は驚いた顔になる。
「……貰っていないが?」
俺
「ここは南部氏の支配だろ?
南部氏に払ってきた」
次の瞬間――
「この糞餓鬼!」
抜刀しかけた、その瞬間。
島田官兵衛の居合が先だった。
首が飛ぶ。
一気に混乱。
下っぱは次々と斬られていく。
俺
「逃がしてやる。
仲間を連れて来い」
一人の男が、
喜色満面で逃げ出す。
後に続こうとした男を、
俺は水斗に指示して斬らせた。
逃げた男を追う赤目。
すぐに赤目滝が戻る。
「ここから二キロ先。
アジトがあります」
留守番を安田の四十七人に任せ、
兵二百を武装させ進軍。
俺は赤目滝に背負われ、先頭に立つ。
辿り着いたのは、
安東氏が邸宅としていた屋敷。
四方を赤目が警戒。
中から怒号。
――準備中だな。
松明を投げ込む。
屋根、壁、次々と。
慌てて飛び出す海賊たち。
夜襲する予定だったらしい。
悪いな。
こちらの奇襲が先だ。
拐われたと思われる娘や非戦闘員は逃がす。
それ以外は、切る。
燃えている。
逃げなければ焼け死ぬ。
外に出れば斬られる。
答えは一つ。
白旗。
だが――
牢も、連行の余裕もない。
それは事前に伝えてある。
海賊は全員始末。
五十人ほど。
屋敷は焼け落ち、
死体が転がる。
村長を呼び、金を渡し後処理を頼む。
「大変、助かりました」
村民も皆、喜んでいた。
相当、迷惑をかけられていたらしい。
海側に残党はもういない。
内陸にはまだいるが――港は守れた。
十三湊港は、
本州と蝦夷地を繋ぐ要衝だ。
南部氏と、
しっかり話をする必要がある。
帰路。
甘粕
「下っぱを全滅させず、
一人逃がしてアジトを突き止め、奇襲……流石です」
直江
「勉強になりました」
甘粕
「お館様が、
若様の行動を全て容認されている理由が分かりました」
国人衆の中には、
俺を面白く思わない者もいるらしい。
……誰だろうな。
俺たちは準備を整え、
蝦夷地へ向け出発した。
十三湊港、制圧完了です。
放置されていた港がどうなるか、という話でした。
次回から舞台は蝦夷地。
引き続きお楽しみください。
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後書き③(ギャグ寄り・軽め)




