第5話 1533年 3歳 初めての家来だぞ
今回は、主人公が「人を見抜く力」で重要な仲間を集めていく章になります。
雷蔵、風馬、水斗――三人の少年との出会いが、後の長尾家の戦力を大きく変えていきます。
主人公が3歳ながらも、愛嬌と金と知恵を武器に仲間を増やす物語をお楽しみください
春のある日のこと。
屋敷の門の前で、なにやら騒ぎが聞こえた。
「仕官させてくれ!」
「帰れ帰れ!」
どうやら背の高い十五歳くらいの少年が、門番に食ってかかっているらしい。
気になって見に行くと、少年の目はギラギラ、話しぶりは理路整然。
さらに俺の“オーラ見えるスキル”がビンビン反応した。
――こいつ、絶対デキる。
そのまま守役の安田に
「下男として雇いたい!」
と直訴した。
安田は最初こそ渋い顔をしたが、石けんの一件で俺の実績を信じてくれている。
「若様がそう仰るなら……悪くない気を感じますし、良いでしょう」
というわけで父・晴景へ相談しに行ったのだが――
父
「どこの馬の骨かわからん者など認められん」
……めんどくさい。
仕方なく、祖父・為景に石けんをお土産にして仲介を依頼したら、
祖父はあっさりOK。
結果、無事に雇えることになった。
少年の名は雷蔵。
後から思えば「どうせ父は気づかないから許可いらなかった」んだけどね。
■ 雷蔵の経歴がすごすぎた
雷蔵は農家の次男だが、
父は兵法マニアで全国修行の旅をして30戦無敗。
しかし道場破りで恨みを買って、復讐に遭い殺されたという。
死に際、
「雷蔵、お前は筋が良い。長尾家に仕えよ」
と言い残されたらしい。
試しに雷蔵と立ち会ってみたら――
速い。
強い。
足腰バケモノ。
逆に俺まで褒められた。
いいやつだ。
剣も槍も両方イケる万能型。
しかも昭和の映画俳優みたいな男前。
SSR当たり枠を引いた気分だ。
■ そして次の逸材、死刑囚(14)
後日、安田と雷蔵と奉行所見学へ。
そこで、
14歳でヤクザ10人殺した少年の死刑判決
という、刺激強めの場面に遭遇した。
どうやって10人……?と思ったら、
・酒に痺れ薬
・弱ったところを刺殺
・相手は両親の仇
少年の目は澄んでいて、覚悟完了の顔。
オーラも良い。
完全に“こっち側の人材”だ。
俺
「アイツ、長尾家の宝になる。貰ってきて」
安田
「猫じゃないんですから、死刑囚は簡単に貰えませーん!」
結局、代官に1000文握らせて、
“処刑したことにして裏門から脱出”させた。
石けんマネー、こういう時に役立つ。
代官
「若様が大きくなられたら……出世させてくださいね?」
ワイロで転ぶタイプか。
ほどほどの出世にしておこう。
目隠しを外された少年の前に立ち、俺は宣言した。
「お前は一度死に、俺がその命を拾った。
今から俺に仕えろ!」
少年は涙を堪えながら頷いた。
名を風馬と授けた。
顔は中性的で、優しげなハンサム。
雷蔵とは対照的だが、それが良い。
安田は珍しく怒った。
「若様に何かあったらどうするんですかーー!」
しかし俺は即座に、
「大丈夫大丈夫。それより美味しい物食べに行こう」
安田
「…………行きます」
ちょろい。
■ 三人目、水斗
春日商店に
「良い人材いたら紹介して」
と声をかけておいたら、またしてもヒット。
農家の三男坊・水斗(13)。
武芸ガチ勢で、農作業そっちのけ。
身長は190cm近く、顔はプロレス界の善玉みたいに爽やか。
雷蔵・風馬と立ち合わせたら、
動きも筋も強く、性格も素直で熱意たっぷり。
俺
「うん、採用。」
雷蔵と風馬は
「おお、デカい弟ができた!」
と大喜び。
水斗も二人を“兄貴!”と慕い、あっという間に仲良しに。
こうして、
雷(雷蔵)・風(風馬)・水(水斗)
の三人を束ねる「雷風水トリオ」が誕生した。
三歳の俺の周りに、
次々と人材が集まってくる。
軍神・謙信?
叔父さん強いのは知ってるけど――
こっちも着実に戦力増やしてるんで。覚悟しといてくれ。
主人公が見出した三人は、いずれ越後の国を支える柱となっていきます。
この出会いは、戦国の未来を変える始まりでもあります。




