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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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41/555

第41話 1535年 5歳 雷蔵、戻る

直江を迎え、体制は整いつつある。

だが――強さとは、組織だけで完成するものではない。

この日、一本の槍が、新たな戦の形を示す。


半年前。

雷蔵を宝蔵院へ修行に出した。

十字槍で名高い寺だ。

そして今日、その雷蔵が戻ってきた。

雷蔵

「若様、雷蔵、ただいま戻りました」

俺

「よく戻った。修行の成果はどうだ」

雷蔵

「十字槍も、結局は槍の基本から成り立っています。

基本を疎かにしては、どんな武器も活きません」

……いい顔になった。

雷蔵

「それと、若様にお会いさせたい方がおります。

宝蔵院の方丈、胤嵐(いんらん)殿です」

俺

「方丈、とは?」

雷蔵

「宝蔵院で二番目に高い位です」

若いが、只者じゃないな。

胤嵐

「胤嵐と申します。

若様に、一つお伺いしたく参りました」

胤嵐

「槍は両手で扱うのが基本。

片手槍では威力が落ちます」

胤嵐

「雷蔵は、私と並ぶ腕前。

その才能を片手槍に縛るのは、惜しいと思いまして」

……友情、だな。

雷蔵

「胤嵐殿!

武家の作法に疎く、失礼を――」

俺

「なら簡単だ」

俺

「胤嵐の十字槍と、雷蔵の片手十字槍。

立ち会えばいい」

胤嵐が目を丸くする。

俺

「風馬、準備だ」


雷蔵は盾と片手十字槍。

胤嵐は通常の十字槍。

武器は訓練用の竹刀。

胤嵐

「これは……当てても怪我をしないのか」

俺

「そうだ。思い切り来い」

風馬

「――はじめ!」

胤嵐が正面を突く。

と見せかけ、側面から首を狙う。

連続攻撃。

十字槍の真骨頂だ。

だが雷蔵は、盾で側面を塞いだ。

すかさず雷蔵が足元を突く。

胤嵐、跳ぶ。

追撃。

さらに跳ぶ。

胤嵐が横薙ぎに払う。

下段――盾では防げないと読んだ。

だが。

雷蔵は、自身の槍で槍を叩いた。

距離を詰める。

盾の側面――視界の死角。

雷蔵の槍が、首元へ。

胤嵐は反射的に跳んだ。

体勢が崩れる。

その一瞬を、雷蔵は逃さない。

――一突き。

風馬

「そこまで!」

静寂。

胤嵐

「……見事」

胤嵐

「片手槍は、盾を活かすための武だな」

俺

「胤嵐殿」

俺

「雷蔵と共に、

盾と片手槍の戦法を作り上げてくれないか」

胤嵐

「面白い」

胤嵐

「その戦法を宝蔵院へ持ち帰って良いなら、

喜んで協力しよう」

俺

「許す。雷蔵、案内しろ」

――重装歩兵の、最高の教官を得た。


ふと見ると、

部屋の端で島田官兵衛が、食い入るように見ていた。

……いい顔だ。

俺

「島田。

お前も片手槍と盾を使っていいぞ」

島田

「拙者は、剣に生きると神に誓った身」

だが、声に力がない。

強くなりたい者にとって、

今の光景はあまりに衝撃だったのだろう。

島田

「……風馬、水斗」

島田

「行くぞ」

逃げた。


槍は武器であり、思想でもある。

型を守る者と、型を壊す者。

その違いが、やがて戦場の景色を変えていきます。

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