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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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第39話 1535年 5歳  よし、甘粕景持に会いに行くぞ

武だけでは、天下は取れない。

知があり、胆力があり、そして――それを支える“人”が要る。


宇佐美定満に続き、

今度は甘粕景持。

1535年

よし、甘粕景持に会いに行くぞ。

桝形城へ向かう。

メンバーは前回と同じだ。

城門の前で、甘粕景持が待っていた。

甘粕景持

「若様、よくぞいらっしゃいました。歓迎いたします」

そう言われ、城内へ通される。

俺

「募兵で五千の部隊を組織する。

侍に限らず、武芸大会で精鋭を集めたい。

力を貸してほしい」

甘粕景持

「承知いたしました。

……一つ、お願いがございます」

俺

「なんだ?」

甘粕景持

「若様の西洋帆船に、乗せていただけませんか」

俺

「甘粕殿、船が好きなのか?」

甘粕景持

「山育ちなもので、海に憧れがありまして。

西洋帆船をお持ちと聞き、どうにも気になりましてな」

――船が好きな人間に、悪い奴はいない。

龍馬も、きっとそう言う。

俺

「よし。今から乗りに行こう。ついてこい」


俺たちは越後海軍操練所へ向かった。

西洋帆船を体系的に学ぶための学校だ。

卒業後は高給で雇われるとあって、越後中から志願者が集まっている。

生徒は二百六十三人。

すでに卒業生も出ており、乗組員に困ることはない。

他国からも希望者は来るが、

秘密保持のため断っている。

俺

「こちらは甘粕景持だ。よく見知りおけ。

練習船は空いているか?」

教官

「空いております。若様も?」

俺

「そうだ。この甘粕殿と一緒にな」

途端に、

「俺も!」「私も!」

と同乗希望者が殺到する。

それを見て、守役の安田が誇らしげだ。

安田

「うちの若様は人気者だろう!」

俺

「安田、お前は船酔いするから留守番だ」

安田

「私は若様に、どこまでも――」

……しょうがない。

俺

「水斗、安田の介抱用の水を持ち込んでおけ」


出航。

風を掴み、舟は滑るように進む。


舟は風を掴み、静かに沖へ出た。

帆が張り、船体がきしむ。

甘粕景持は、しばらく無言で海を眺めていたが、

やがてぽつりと口を開いた。

甘粕景持

「若様……」

俺

「どうした?」

甘粕景持

「西洋帆船は、和船より沈まぬと、皆が申しております。

ですが……船というものは、結局は海次第。

なぜ、そこまで差が出るのでしょうか」

いい質問だ。

甘粕は、噂ではなく“理由”を聞きにきている。

俺

「まず前提だがな」

俺

「和船が劣っているわけじゃない。

昔からの徒弟で育った船乗りが多く、

船の癖も、海の怖さも知っている」

俺

「だから、和船でも――

十のうち七は、ちゃんと戻ってくる」

甘粕景持

「……七割」

俺

「十分立派だ。

だがな」

俺は帆を見上げ、続ける。

俺

「西洋帆船は、船そのものの性能が違う。

波に強く、風を選ばず、船体も頑丈だ」

甘粕景持

「やはり、船の差ですか」

俺

「それ“だけ”じゃない」

甘粕がこちらを見る。

俺

「越後海軍操練所では、

操船と一緒に応急修理まで叩き込んでいる」

甘粕景持

「応急修理……?」

俺

「帆が裂けたらどうする。

索が切れたらどう繋ぐ。

船底から水が入ったら、どう止める」

俺

「壊れない船を作るんじゃない。

壊れても、戻れる船にする」

甘粕景持は、はっとしたように息を呑んだ。

俺

「だからだ」

俺

「西洋帆船は――

十に九以上は、戻る」



俺

「甘粕聞いてくれ、俺は舟で天下を取りたい。

明から仕入れているのは、今は絹や陶磁器だが……

いずれは越後で作り、西洋に売る」

俺

「そうなれば、西洋の連中が頭を下げに来る。

富も、兵も、兵糧も集まる。

天下は――取れる」

俺

「甘粕景持。俺について来い。

舟で天下を語ろうぞ」

甘粕景持

「……承知いたしました。

ずっと若様にお仕えしたいと思っておりました」

――感動の瞬間。

だが。

「オエェ……」

「安田様、大丈夫ですか!」

……台無しだ。


帰港すると、港で声をかけられた。

風馬

「若様。こちらへ」

数人の船主たちだ。

船主

「若様、西洋帆船を増やされるとか。

我々の仕事を奪うおつもりで?」

甘粕景持が身構える。

俺

「敵対したいのか。

それとも、俺と仕事がしたいのか。どっちだ」

船主

「仕事を回していただけるなら……。

敵対など考えておりません!」

俺

「なら話は簡単だ。

この港と佐渡は、これから人も荷も増える。

材料の買い出しもある。

お前たちの舟が要る」

船主

「……ありがてぇ!」

酒を振る舞い、機嫌よく帰した。

対応は風馬に任せる。

こういう場は、あいつが一番だ。


俺

「甘粕景持。

越後海軍操練所、西洋帆船、帆船工場――

これらをまとめて海援隊と呼ぶ」

俺

「その面倒を見てくれ。

細かいことは親方たちがやる。

俺は留守も多い。助けてほしい」

甘粕景持

「……至らぬ身ですが、承知いたしました」

信頼は、十分だ。


帰り道。

安田

「若様……申し訳ございませんでした」

俺

「気にするな」

安田

「次は、眠くなる術をかけていただければ……」

俺

「最初から船に乗らなければ、もっと酔わん」

一同、笑う。

こうして、

甘粕景持は――

俺の海援隊の一員となった。


宇佐美に続いて、甘粕も仲間入りです。

今回は戦ではなく、船と海の話。


「壊れない船」じゃなく

「壊れても戻れる船」

この考え方、けんおいの世界観そのものだったりします。


そして安田、相変わらずです(笑)

次回もよろしくお願いします!

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