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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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第251話 1540年 10歳 武田信玄登場だぞ(③ 武田信玄、父に見捨てられて初陣が地獄になる)



武田軍八千。

海野軍が二千。

戦場は小県郡・海野平。

千曲川沿いに広がる信濃東部の要地である。


武田信虎が軍議を開き、重臣に言う。


武田信虎「海野が二千とは哀れな事よ。これで戦いになると思っているとは愚かな」


板垣信方「信濃北部連合の後詰はどうなっておるか? 軒猿を走らせてもよろしいですか?」


武田信虎「既に走らせておるわ。村上義清も高梨政頼も、自分の軍勢を城に入れて防衛させているということよ。何じゃあの信濃北部連合というのは名ばかりだの。そうであろう」


家臣一同笑う。


武田信虎「一同かかれ」


陣太鼓や法螺貝が鳴り響き、武田軍は海野に襲いかかる。

武田軍の兵士「殺せーー」「やってしまえー」と威勢が良い。


その時、背後の丘陵から無数の鬨の声が轟いた。

武田信虎の顔が青ざめる。

手が震え、杯を落とした。

重臣が慌てふためく。


背後から信濃北部連合一万五千が現れたのだ。


板垣信方「おい、信虎様の所に報告に来た軒猿はどうなっている? 全員帰ってきているのか?」


兵士が調べる。


兵士「後方に放った軒猿は、全て帰ってきておりません」


情報戦で武田は負けたのだ。


板垣信方は武田信虎に言う。


板垣信方「図られました。一点突破で脱出すれば、今の段階なら被害は最小限に抑えられましょう。お館様、ご決断を」


武田信虎は顔面蒼白だ。

頭は既に、被害がどの程度までいくか計算している。


武田信虎「・・・・撤退しろ。殿は武田信玄(晴信)に任せよ」


この場合の殿は、ほぼ死ぬ。


武田信玄、このとき十九歳。

父親の「死ね」と同義の命令に、


武田信玄「承知しました」


武田信玄を次のお館と考えている『飯富虎昌』、『甘利虎泰』、『板垣信方』は焦る。


板垣信方「儂が信虎様に取り成す。飯富虎昌、甘利虎泰は信玄様を守れ」


飯富虎昌、甘利虎泰「心得た!!!」


『飯富虎昌』、『甘利虎泰』は、十九歳という若さで父から死ねと同義の命令をされたのだ。

励ますつもりで武田信玄の所に行く。


『飯富虎昌』、『甘利虎泰』は武田信玄に、殿を手伝う旨を伝える。

武田信玄はニッと笑い、


武田信玄「俺に考えがある。殿でも死なない。俺の命令に一寸の狂いもなく従え」


<緊迫の撤退戦>


武田軍八千対、信濃北部連合一万五千の追撃戦が始まった。

信玄に与えられた兵士は千人だ。

殿としては比較的多い人数をもらえた。


信玄の作戦はシンプルなものだ。

殿として一万五千人の圧力を全て抑えようとすれば、全滅は間違いない。


<通常の殿>

武田軍守られる

|(通常の殿     )|

| 道の全てを     |

| 塞ぐ        |

|   ↑       |

  信濃北部の圧力


信玄の作戦は、道の一部分だけを防ぎ、信濃北部軍を通すのだ。

ある程度通したら、信濃北部連合の側面を撃つ事ができ、

流れを遅くすることが出来る。


言い換えれば、味方を餌にして、敵が側面を晒してくるのを攻撃するのだ。


<信玄の殿>

武田軍の一部分だけ守られる

|(信玄の殿)   ↑  |

| 道の一部   ↑   |

| のみ塞ぐ   ↑   |

|   ↑    ↑   |

  信濃北部の圧力


しかし、言うは易く行うは難しの典型のような戦術だ。

武田信玄、『飯富虎昌』、『甘利虎泰』は何度も死にそうな目にあい、

互いを励ましあいながら撤退戦をこなした。


追撃戦は武田家占領の諏訪まで続いた。

武田軍は三千やられ、残存五千人となった。


<不気味な一言>


武田信玄、『飯富虎昌』、『甘利虎泰』は、ひょうたんの水をがぶがぶ飲み、

ぷはーっとする。


生きたという実感が湧く。


『飯富虎昌』、『甘利虎泰』は、戦の歴が浅い武田信玄が、

歴戦の自分達でも思いつかないような作戦を立て、実行したことに興奮を覚える。

武田の未来が見えた気がした。


『飯富虎昌』、『甘利虎泰』が武田信玄に声をかけようとした。

逆に武田信玄から声をかけられる。


武田信玄「おい、飯富虎昌、甘利虎泰、武田の勝ちを取りに行くぞ!!

今から出る用意しろ。」


飯富虎昌、甘利虎泰「??????」


今、命からがら逃げ延びたばかりだ。

それなのに「勝ちを取りに行く」とは――意味が分からない。

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