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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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第245話 1540年 10歳 ドジ忍者蛍の細腕繁盛記(その3 蛍対インチキ行者)

社内での地位も少し上がってきた蛍。

でも居眠りして、よだれを垂らす蛍。


見れば仲間が一人。取立課のお天係長だ。

皆が見て見ぬ振りをする。


二人のいびきが、社内で二重奏を奏でる。


この雰囲気に我慢の限界を超えたお蝶課長。


お蝶「部長、お得意様周りに行って来て下さい。ほら、お天、貴方が部長に教えてあげて」


蛍が寝ぼけ眼をこする。

口元には盛大によだれの跡。机の上はよだれの海である。


お蝶が手拭いを蛍に渡し、


お蝶「部長、口元拭いて下さい。赤さん、秘書なんだから部長が寝てたら起こして下さい」


赤「ハイ(蛍、お前のせいで怒られたじゃねーかー)」


蛍が口元を拭いていると、お天も眠そうだ。


蛍「ハイ、お天も顔拭いたら」


お蝶の手拭いを渡す。

たっぷりと蛍のよだれがついている。


お天(こんなので顔が拭けるかーー)


後で、お蝶課長に洗って返そうと思うお天であった。


お天は身支度を整え、蛍を連れて、


お天「行って来ます」


二人が出て行った後、盛大にため息をつくお蝶課長。

横を見れば、取り立て回収額でダントツトップの成績の蛍。


お蝶(これがなければ越後に叩き返すんだけどね•••••)


<揺れる外回り>


外に出て、派手に伸びをする蛍。


蛍「あーよく寝た。でも、お天まで寝ているなんて珍しいね」


お天「•••••実は父親の調子が悪くて、帰ったら朝まで看病していて、夜はほとんど寝ていないんです」


蛍が同情する。


蛍「•••••そしたらお父さんに精が付くもの買うから、これから買いに行こうか」


お天が蛍の優しい言葉に感動する。


お天「良いんですか?」


蛍「良いよ。ついでに美味しい物でも食べよう」


お天「•••••えっ私、お金が」


蛍「いいって、奢るよ」


お天「ありがとうございます」


蛍「カズから教えてもらった店行こう」


お天「ハイ」


たらふく食べて、精がつくうなぎやドジョウを買い、お天の家に行く。


蛍「お邪魔しまーす」


中に入ると、お父さんが布団に寝ていて、行者が南無南無言って、気合いを入れた後、お父さんにゴマ二粒与え、


行者「エイ、エイ」


気合いを入れる。


お天「ありがとうございます」


お天が行者に百文渡している。

流石の蛍も高額の支払いに驚く。


行者が帰った後、お父さんに挨拶する。

お天に話を聞く。


お天「あの行者さんは奇跡の人で、自分の腕を刀で切って血が流れていてもすぐ治すし、刀も飲み込むし、目が見えないっていう人も治したのです。だからお父さんの病気も治してくれるってます」


お父さんは、意識があり喋れるようで、何やらお父さんが欲しい食べ物があったらしく、


お天「部長、すいません、ちょっと出かけます。すぐ戻ります」


お天が出て行った後、蛍がお父さんから話を聞く。


蛍「お父さん、あの行者さんで身体が良くなった?」


お父さんが首をふる。


蛍もあの手の行者に散々騙されたのだ。


蛍「お父さん、私でお医者さん連れて来て良い?」


お父さんは少し迷い、ウンウン頷く。


お天が帰って来て、お土産のうなぎをお父さんに食べさせる。


お天「お父さん、食べれるけど、どんどん痩せてくのです。下痢もひどくて起き上がれない時も多いです」


蛍「誰かお医者さんに見せる事はないの?」


お天がキッと蛍を睨み、


お天「行者さんが言うには、お父さんに気合いを貯めているそうです。自分以外の者に見せたら、気合いが一気に抜けるので、今までの治療の意味が無くなるそうなのです」


お天が深刻な顔をする。


蛍(私も、こんな連中に無茶苦茶されたからなー。熱湯風呂入らされたり、病魔出ていけと叩かれたり、熱ーーい熱湯飲まされたり。骨を折っているのにそんなのキクわけないって。一通り経験してからやっとわかったもん。何とかしてあげよう)


夕方になったので会社に戻る。

蛍は業務報告書を記入する。


素直に「ご飯を食べた。美味しかった」

と書き、お蝶課長から蛍はガミガミ怒られていた。


<危機! お天の父>


次の日、蛍は出社して直ぐ、


蛍「得意先周りして来ます」


そう言って出かける。


赤(蛍の秘書)が不思議がる。


赤「アイツ得意先なんて覚えてないだろ」


蛍が向かった先は小西商店。

手代とは顔見知りなので、良い医者を教えてもらう。

その医者を連れてお天の家に向かう。


お天は今は会社にいるので、自宅にはいない。

蛍は優しいので、インチキ行者を信じているお天を傷つけるのがイヤなので、お天には黙って行く。


蛍「こんにちは、お父さんお医者さん連れて来たよ」


恐縮する父親。


医者が父親を診断して、症状を聞く。


医者「腹に虫が居る。食ったものを全部取られておる。この虫下しを飲むと良い」


お代で四十文を蛍が払う。

恐縮する父親。


会社に戻る蛍。

疲れてまた寝る蛍。


一週間後。


今度はお茶を配っている蛍に、お天が元気良く話しかけてきた。


お天「蛍部長聞いて下さい。お父さんの病気が治って、お父さんが是非蛍部長にお礼を言いたいそうです。」


蛍「じゃ行こうかな」


赤「蛍、仕事しろ」


蛍「行こう、お天」


お天「ハイ」


赤「蛍!!!!」


お天と蛍がお天の家に着くと、父親と行者が喧嘩してる。


お天「お父さん、止めてよ、お父さんの病気治してくれたのはこの行者さんなのよ」


行者「そうじゃ」


父親が顔を真っ赤にして激怒。


父親「俺が治ったのは、蛍さんが連れて来たお医者さんの薬のおかげだ。帰れ、お前のゴマなんて全く効いて無かったわ、帰れ、叩き出されたいか」


真実を知らされ驚くお天。

行者が助けを求めるようにお天を見る。

父親は、そんなインチキにもう関わるなよとお天を見る。


蛍が行者に、


蛍「どうせ金でしょ、百文やるから二度とこの家に来ないで」


行者は何も言わず、蛍から金を受け取った。


父親「蛍部長、こんなインチキにお金を払わなくて良いよ。オイ、インチキ野郎、蛍さんに金を返せ」


行者「誰が返すか、アバヨ」


行者が出て行った。


父親「蛍さん、あなたは命の恩人だ。ありがとうございます。」


父親は何度も蛍に頭を下げる。

それを見て、お天も蛍に頭を下げる。


お天「蛍部長、本当にありがとうございます。私は騙されていたと今気付きました」


お天(私、この人について行こう)


蛍「いいよ、いいよ、そしたらお父さんと一緒に美味しいご飯でも食べよう」


お天「部長、業務中ですけど…(笑)」


<部下が出来た日>


次の日、蛍が盛大にイビキをかき、よだれを垂らして寝ていた。


お天「部長、部長、一緒に取り立て行きましょう」


お天は蛍に、口元を拭く手拭いを渡して、机の上のよだれを雑巾で拭く。


お天「部長、行きましょう」


蛍「わかったー、行って来ます。ついでに赤、付いて来てよ」


赤「わかったよ」


蛍のいつものラッキーがあって、取り立ても無事回収。

またもや、取り立て回収額ダントツトップとなる。


お天「蛍部長、スゴイ!」


蛍はこの一件で、初めて本当の部下を持った。

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