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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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第21話 1534年  4歳 堺に行こう④ 九島との再会だぞ

堺に来た目的は「商売の拡大」と「人材探し」。

そのはずが、まさかの天才商人に遭遇することに。

八坂正宗が「造船工をもっと増やしてほしい」と望んでいたので、小西の紹介で使えそうな造船職人を何人も口説き、越後に来てもらう話を進めた。

手応えは十分。西洋帆船を作れる造船工場を あと八つ は作りたい。八坂がリーダーになる。


昼過ぎ、小西に連れられて堺の大商人たちが集まる会合に出席した。

神の声が聞ける/越乃柿酒と石けんの開発者/長尾家の次代――噂が広まり、俺はやたら人気者になってしまった。

そしてどこからともなく聞こえてくる「うんこで人を殺す少年」の噂。否定する気にもならないので放置しておく。あれは強盗団リーダーの呪いだろう。


会合から戻って小西と情報交換していると、もう夕方。

そういえば――あの「越乃柿酒500文で5000文稼いでこい」と命じた商人は来ないな。やはり無理だったかと思っていると、番頭が入ってきた。


番頭

「今井宗久様の元手代が、上杉龍義様を訪ねて来ておりますが……」


今井宗久? 堺一帯の超大物だ。

その元手代とやらが誰なのか考えていたら、店の前には――例の男が立っていた。


商人

「遅れまして申し訳ございません。五千文、お持ちいたしました!」


「よくやった。どうやって稼いだ?」


小西が「立ち話もなんですから」と奥へ案内し、三人で座る。


「まず名前を聞こう。今井宗久の元手代と言ったな?」


商人

「九島弥太郎と申します。」


「ではどうやって五千文にした?」


九島

「まず、越乃柿酒は酒精が強うございます。

 そこで一合(0.18L)を十倍に薄め、一升(1.8L)にしました。

 次に、それを百杯の一勺(18ml)に分けまして、一杯五十文で販売しました。」


小西

「清酒なら一勺十文が相場だろう。それを五十文か。よく売れたな。」


九島

「馴染みの店二十軒に五杯ずつ置いてもらいました。

 『今後この酒は小西殿が扱う。滅多に手に入らぬ』と説明したら、皆が喜んで引き受けてくれました。」


(なるほど、ブランドと希少性で押したか)


「合格だ。約束どおり四千文はお前のものだ。」


「それで九島よ、なぜ今井宗久の店を辞めた?」


九島

「嫉妬でございます。

 大きな仕事を連続で決めたことで、大旦那様にも番頭様にも目をかけていただきました。

 すると古株たちが、私が使い込みをしただの、情報を漏らしただの……ありもしない噂を上へ。」


小西

「よくある話だな。」


九島

「大旦那様は分かってくださっていましたが、私が我慢できず辞め申した。」


小西

「ならうちに来ないか? 越乃柿酒の扱いを任せたい。」


さすが小西。逸材をすぐに確保しようとする。

だが、ここは譲れない。


「小西殿、それは困ります。九島を最初に見つけ、機会を与えたのは長尾家です。」


こんな宝物、手放す理由がない。


「九島よ。俺は蝦夷から博多まで行き来する大商いをする。

 その全てを取り仕切る者が欲しい。……どうだ?」


九島

「ぜひ、お仕えさせてください!

 越後に向かうのでございますね。兄弟も連れて行ってよろしいでしょうか?」


「もちろんだ。」


九島が去った後、俺と小西は再び価格の話になる。


「越後上布・石けん・蜂蜜・そして越乃柿酒……全部の相場を決めねばなりませんな。

 九島の方法でいけば、越乃柿酒一合=五貫です。」


計算の結果――なんと 総額五万貫。


俺(当初の見立ては四万貫だったが……九島のおかげで一万貫も跳ねたな)


安田

「若があの商人に五百文を五千文にしろと言った意味、ようやく分かりました。」


「九島も手に入り、利益も増えた。これ以上の成功はないだろう。」

九島弥太郎の登場で、一気に商売の幅が広がってきました。

これから越後の産物が全国へ飛び回る下地が整っていきます。

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