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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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20/25

第20話 1534年  4歳 堺に行こう③ 赤目との出会いだぞ

堺で豪商との取引を終えた俺の前に現れたのは――噂に聞く“赤目流”。

伊賀も甲賀も本気で潰しに来るレベルのヤバい忍者集団。

だけど、話してみると意外と人情味があって面白い。

食事をとりながら小西と情報交換していると、ふと興味深い話が出た。


小西「若様、最近“伊賀と甲賀が手を結び、ある忍びの里を滅ぼした”という噂をご存知ですか?」


俺「犬猿の伊賀甲賀が? よほどの脅威だったのだろう。その里の名は?」


小西「赤目流と言いまして、名張の山奥にあった抜け忍の里です。伊賀と甲賀から逃げてきた男女が起こした集団でして……」


 ──小西の話は続く。


・抜け忍だけで構成されたため、諸流派の技を吸収し強力な忍び集団に成長

・しかし伊賀・甲賀からの流言で大名から雇われることはほとんどない

・それでも小規模な大名や地侍、商家からの依頼で細々と生き延びてきた

・今回ついに、伊賀・甲賀の若き精鋭男女が抜け忍になり、赤目が匿ったため大規模討伐が行われた


俺「なるほど。しかし小西殿はずいぶん詳しいな」


小西「遠縁の者が赤目に繋がりまして。何件か仕事を頼むうちに深い縁となりました」


 そういえば俺の間者は軒猿だが──2歳のとき依頼を断られたので、意地でも使っていない。


俺「赤目流の代表に会いたい。段取りを頼めるか?」


小西「承知しました。今日はもう遅いので、明朝に」


 


◆翌朝──赤目滝の登場


 朝食後、小西商店で待つと、番頭が来て報告する。


番頭「赤目様がお見えです」


 案内された座敷には、俺・小西・安田・番頭、そして見知らぬ中年男が平伏していた。


男「お初にお目にかかります。赤目滝丹波と申します」


 ただの地味な男だ。だが──違和感がある。

 場の空気、視線の流れ、匂い……妙に引っかかる。


 特に番頭。顔も姿もいつもの番頭だが、“オーラが違う”。


俺「……番頭さん。あなたは誰だ?」


 ピクリ、と気配が変わる。男は静かに変装を解いた。


偽番頭「申し訳ございません。本物の番頭様には“急用”で席を外して頂きました。赤目滝丹波にございます」


 こいつが本物の赤目滝か。


俺「なぜこんな真似を?」


赤目滝「命を狙われておりますので。いくら小西様の紹介でも、用心せねばならぬと」


小西「若様に対して無礼であろう、赤目滝!」


俺「構わない。それより──今度は俺が試してよいか?」


赤目滝「如何様にも」


 


◆風馬・水斗 vs 赤目滝


 風馬と水斗を呼び、赤目滝を囲ませる。


俺「手足は使っても良いが、怪我はさせるな。互いを戦闘不能にしたら勝ちとする」


赤目滝「では……両手を使わずに、この二人に勝てます」

 

 ん、なぜ自分が不利になるように?

 あー、分かった。

 これは二人を挑発して、怒らせて“相打ち狙い”だ。


俺「お前達、挑発に乗るな。奴の狙いは相討ちだ」


 赤目滝がこちらを見た。図星だ。


 風馬と水斗は以心伝心で動き、前後に挟んで間合いを測る。


 風馬が金的を蹴り上げようとした瞬間──


 赤目滝は足払いで風馬をひるませ、その勢いのまま背中で水斗へ八極拳の鉄山靠のような体当たり。

 二人を重ねて倒し、その上に座り込む。


俺「終了」


赤目滝「若様、審判が内情をバラすのはご勘弁を」


 …俺(…やりよる。)


 


◆赤目滝との本題


 席に着き、俺は改めて聞いた。


俺「長尾家について何を知っている?」


赤目滝「上条定憲様が反乱を計画しております」


 昨夜のうちに調べたのだろう。やるな。


俺「俺が赤目を雇うと言ったら来るか?」


赤目滝「ぜひ。ですが……長尾家は“腰掛け”程度に考えております」


 正直だな。


俺「何を望む?」


赤目滝「一族の安全。そして伊賀・甲賀への復讐。しかし越後では伊賀国へ侵攻など……」


俺「赤目滝、考え違いだ。これは越乃柿酒、石けん。試してみよ」


 小西が試させる。赤目滝の目が変わった。


俺「まだ小西にも言っていないが、盾・弓・槍も新兵器を開発中だ。戦場が変われば──」


赤目滝「……伊賀まで届く、という事でございますな」


俺「そうだ。俺の“目”となれ。もし届かぬと思ったときは離れれば良い」


 赤目滝は深々と頭を下げた。


赤目滝「赤目一族、若様にお仕えしたく存じます」


 安田まで涙ぐんでいる。


安田「若……やはり若は天下を取る御方ですぞ……!」


 


◆赤目滝、加入


俺「明日の朝には堺を立つ。それまでに支度してこい」


赤目滝「かしこまりました」


 立ち去る前、俺は聞いた。


俺「最後に。目が赤くもないのに、なぜ赤目と名乗る?」


赤目滝「名張の山中に“赤目滝”という滝があり、そこから取った名でございます」


 なるほど。地名か。

 赤い目の忍者なんて、間者では目立って仕方ない。


 赤目滝は穏やかな表情になり、静かに去っていった。

赤目流との出会いは、龍義にとって大きな転換点となりました。

伊賀・甲賀とは違う、独自の理と誇りを持つ忍びたち。

彼らが未来の越後にもたらす影響は、まだ誰も知りません。

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