第195話 1539年 9歳 蘆名家を攻略出来るかな(伊達家父子、ついに割れる)
義父伊達稙宗から書簡が来た。
菊姫の婚姻のとき、伊達家が次に滅ぼす所はどこかと義父伊達稙宗に聞かれ、俺は蘆名家と答えた。
その場にいた祖父長尾為景は昔蘆名家に世話になっていたが、今は若い当主蘆名盛氏となっていた。
祖父長尾為景承認の元、伊達と長尾家の共同で蘆名家を討伐することになったのだ。
このため、俺は陸路で1万の兵を率いて3週間かけて伊達家居城米沢城に向かう。
遠距離だが菊姫と鶴姫も籠にて同行することになった。
菊姫は婚姻後、始めての里帰りとなる。
伊達家が近づくにつれ、籠の中でも落ち着かぬ様子だ。
ようやく米沢城につく。
義父伊達稙宗や長男伊達晴宗が出迎えてくれた。
やはり1万人の援軍を連れて来ていることが大きいのであろう。
早速と奥に通される。
菊姫は生母と涙の再会をしている。
菊姫は伊達稙宗側室の娘である。
中条定資の娘を母とする。
伊達稙宗の正室は蘆名盛高の娘であり、当然今回の蘆名家との争いには大反対だそうだ。
<緊迫する評定>
伊達稙宗
「よく来てくれた婿殿、今回蘆名との争いのきっかけはいつもの領土問題じゃ。いつもならば話し合いと金銭で解決しておる所だ。
蘆名が先代までならそうしておった。
しかし蘆名が代替わりして蘆名盛氏となった。
蘆名家臣団も一枚岩ではなくなった。戦国の世であるから狙い目であるように思う。
婿殿はどう思う」
俺
「長尾家も伊達家も蘆名家とは繋がりがある家ですから、正直攻め辛い家です。
しかし、機会があるならば狙うべきだと思います」
伊達稙宗
「それで一つ問題があって蘆名家が佐竹家に泣きついて佐竹家がこの度の扮争に介入をしようとしてきている。
その作戦案で儂と長男で2つに割れておるのだ」
伊達晴宗
「義弟殿(上杉龍義)聞いてくれ、儂は蘆名と佐竹を米沢城まで引き込み背後から義弟殿の軍で蘆名と佐竹を挟撃するべきだと思う。さすれば蘆名だけではなく、佐竹領も手に入るであろう」
伊達稙宗
「儂は反対で、儂ら伊達家が佐竹家を防ぎ、攻撃力のある長尾家が蘆名家を攻める方が上策なのだ」
<揺れる伊達家>
俺は小声で菊姫に意見を聞く。
菊姫
「お兄様(伊達晴宗)は理想論過ぎる。もし米沢城が先に落とされたら長尾家は人質を背負って戦うようなものだわ。」(小声)
俺は菊姫の見立ての確かさに満足する。
兵は各個撃破が原則なのだ。
俺
「義兄様の意見も蘆名と佐竹を同時に攻撃出来て大変に良いとは思います。
しかし、長尾家に何かありますと米沢城の救出が出来なくなり、背後が狙えなくなります。
よって義父様の案が良いかと思います」
長尾家は1万の兵を率いて来ている。
俺の意見は軽くない。
伊達晴宗
「義弟殿は安全策ばかりだな」
伊達晴宗は立腹して席を立ち、部屋を出て行った。
伊達稙宗がため息する。
伊達稙宗
「長男は理想論過ぎるのだ・・・・時に菊姫や長尾家へ嫁に行って幸せか?」
菊姫は満面の笑顔で
菊姫
「はい、幸せです」
その一言で、場の空気がわずかに和らいだ。
だが――
伊達家の父子の溝は、確かにそこにあった
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