第190話 1539年9歳 織田信長登場
12 帰路 信長登場だぞ
松永のせいで加賀経由で帰れず、
尾張 → 信濃 → 越後となる。
尾張に着いた。
この時代は、織田信長の父・織田信秀が領主だ。
織田信秀は時代を読み取る目を持っていたため、我々は熱烈歓迎を受ける。
織田信秀「上杉龍義殿、どうぞ何泊でもされて下さい。糧食も兵士様の宿泊場所も全てご提供させて下さい」
こちらは1万人。
簡単ではないはずだが、織田信秀は引き受けた。
実務能力の高さが伺い知れる。
織田信秀の清洲城に招かれる。
柿崎や馬場ら幹部を含め、接待を受ける。
型通りの挨拶を交わしたのち――
織田信秀「上杉龍義殿は亀山社中という高利貸し始められたとかで、私どもも1万貫ほど借りれないかと」
俺「良いですよ、担保は頂きますが人は無しですよ」
里見家の鶴姫で懲りた。
織田信秀は当てが外れた顔で、ガックリした様子だ。
……ふすまの向こうに娘が控えていた可能性は、考えないことにする。
<緊迫の親子対面>
織田信秀「息子を紹介したいのですが、連れて参れ」
正装した涼やかな子供がやってきた。
目が印象的だ。
全てを見通すかのような目。
「吉法師(織田信長)です。よろしくお願いいたします」
深々と挨拶される。
うわ、信長だよ――と内心感動する。
織田信秀と京の展望や今後について情報交換をする。
織田信秀「上杉龍義殿は佐渡金山お持ちだから違いますねーー」
経済状況や財政状況について語る中、
それまで黙っていた信長が口を開く。
信長「上杉様の力って船でしょ」
俺(うわ、信長だわ――)
俺「そちらこそ、本質見抜くと周りが警戒するから粗暴なフリしてるだけでしょ」
一瞬、空気が凍る。
信長は図星だったのか、視線が鋭くなる。
信長「上杉様の船を買うとしたらいくら」
信秀「失礼であるぞ、下がれ」
<危うい才能の火花>
俺「いや大丈夫です。俺の舟は売り物ではないが、尾張でも作る事は出来る。現在の舟の生産を拡大されたらよかろう」
信長「……それでは上杉様を抜かす事は出来ない」
信秀「もう良い、爺、吉法師(信長)を連れて行け。上杉様申し訳ございませんでした。」
信長は何やら考え込む表情で、部屋を出て行った。
あの目。
あれは――
いつか、天下を噛みに来る目だ。
帰り道。
信長の守役・平手と、俺の守役・安田を比べてみる。
平手は信長の粗暴を諌めようとしたが、
安田なら「流石若様」と言っていただろうな。
信長がどんな顔をするか、少し見てみたい気もする。
俺には安田が合っていたようだ。
安田「若様、私の顔をじっと見てどうされたんですか?」
俺「安田、いつもありがとうな」
安田「でしょう、蜂蜜団子1年分で良いですよ」
この男、いつも調子に乗る。
だが――
乱世で一番怖いのは敵ではない。
未来だ。
そして今、
その未来の片鱗を見た。
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