第189話 1539年 9歳 松永久秀という刃を握る
細川晴元の居城へ、叔父の加地春綱と松永久秀を連れて行く。
細川晴元「いやぁ上杉龍義殿、お見事、お見事、儂は心配なぞ一切しなかったぞ」
嘘つけ!
俺「残す三好は阿波国(徳島県)ですので、細川晴元様への影響はわずかとなります。しかし騒乱の元となるのでいずれは討伐せねばなりません」
細川晴元「頼りにしているぞ」
俺「それでお願いです。第一に加賀の守護大名の代理が欲しいです。第二に堺に1500の兵を置き、駐留費を堺商人から接収する許可を頂きたい」
細川晴元、一瞬黙る。
<緊迫の駆け引き>
俺「細川様は本願寺の対応を考えておられるかもしれませんが、加賀が開かないと我々が京に来れません。細川様のためにも必要です」
細川晴元「確かにの、本願寺の反対も強いが通そう」
俺「ありがとうございます。本願寺と掛け合う際やその他ではこの者達をお使い下さい」
細川晴元「松永久秀を配下にするとは上杉龍義殿は思い切った事をするの。もう一人は?」
俺「叔父の加地春綱です。堺に駐留して細川晴元様の連絡や将軍様の連絡に動いてもらおうと思います」
細川春元「おーそうか、そうか」
(松永久秀より使いやすそうと思ったようだ)
俺「この松永も私だと思い使ってやって下さい。三好より使えますので。
私の代わりに常駐しますので盾にも刃にもなります。」
細川晴元に、わずかに笑みが浮かぶ。
(内心ホッとしているだろうな)
松永久秀は大人しく黙っていた。
細川晴元「上杉龍義殿は将軍の所にはいつ行かれるのか?」
俺「二、三日中には、何かありましたか?」
細川春元「将軍が龍義は早く1万貫持って来ないかのーっと言っておったぞ」
(9歳にたかるなーー)
<将軍の圧力>
細川邸を辞去し、堺の宿舎に戻る。
柿崎や馬場と打ち合わせをする。
柿崎「しかし、松永の(兄貴ー)には笑い堪えるのに大変でした」
馬場「いや、まったくで」
俺「松永だから裏があると見るべきで、あちこちで俺の事を兄貴って言っていたらアイツが何か粗相をした時、コチラの責任だとか、俺の命令じゃないかと言われる事を松永は計算していると思う」
馬場「それでは兄貴呼ばわりを止めさせれば良いのでは」
俺「呼ぶ、呼ばないは置いておいたとしても幾内の安定を考えたら松永の代わりはいない」
柿崎「松永はそこまで読んで若様の所に来たのか」
俺「そうだと思う。三好に付いているより越後に帰る俺達に付く方が松永にとって得が多い」
馬場「厄介な者を抱えましたね」
俺「そうでもない。細川晴元はイヤな顔していたけど、細川晴元の教育は松永に任せようかと思う」
柿崎、馬場は苦笑する。
安田「すると幾内は若様の影響下に入るという事ですね」
俺「そうだね、松永通して、幕府に圧力はかけれる状況になるね。
ついでに堺に駐留軍を置くから堺の商人も俺の顔色を伺うだろ」
静かに、だが確実に。
幾内は、俺の手の内に入りつつある。
<危うい均衡>
柿崎「松永が言う事きかなかったらどうします?」
俺「決まっている。愛の鉄拳制裁だよ」
利用する。
される。
その均衡を崩した方が負ける。
松永久秀という刃を、俺は握った。
だが――
刃は、持ち方を誤れば手を切る。
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