第188話 1539年 9歳 1500兵常駐の裏で、眠れる策士を雇う
小西商店に、三好騒動が終わったことを報告しに行く。
加えて、叔父の加地春綱も連れていく。
小西「若様、おめでとうございます。この度はご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」
俺「今回はまいったよ。でも、うちの船を沈めた松永は俺の配下としたし、今後は松永が幾内で色々活躍してくれると思う。それで松永が何か粗相した時は必ず俺に報告してくれ」
小西「承知いたしました。」
俺「それと、まだ許可は取ってないけど、ここ堺に兵1500を常駐させることにした。無論常駐費も堺から取るけどね。その管理をこの叔父の加地春綱に頼むことにした」
加地「以後お見知り置きをお願い致します。」
俺「加地叔父には京都の幕府とか公家とか商人とかややこしい政治関係の一切を任せようと思っている。今回はその顔つなぎも兼ねて来た。加地叔父さんは困った事があったらこの小西を頼って欲しい」
小西「こちらこそよろしくお願い致します」
俺は店内を見回す。
堺の空気は甘くない。
金も、情報も、裏も表も、ここに集まる。
――だからこそ、ここを押さえる。
俺「それと小西に聞きたいのだが、誰か財政とか国の経営を任せられるような切れる奴いないかな」
小西「それは、領主ならば誰でも欲しい人材ですね。う~~ん 商人の息子で一人います。私から見ても才能はとてもあるのですけれども、どこに務めててもすぐクビになってくるのです」
また、このパターンか?
俺「それはなぜ」
小西「寝坊で朝来れないのです」
俺「(子供か?)とりあえず会ってみたいのですが大丈夫ですか?」
小西「大丈夫です。寝ていますからすぐ連れてこれます」
小西が番頭を呼び、手伝い四人ほどで出ていく。
<緊迫の人材面接>
一刻後。
戸板に載せられた男が床に降ろされる。
小西「名前は淀橋亀吉です。才能は売るほどありますが見ての通りの男です。これ、淀橋起きなさい」
番頭は水と手ぬぐいを持ってきて顔を拭う。
……おい、鼻と口を押さえているぞ。起こすつもりか、落とすつもりか。
淀橋「苦しい、ぷっはぁー、どこですかここは、あっ小西様 おはようございます」
夕方だぞ。
小西「淀橋や、よくお聞きなさい。お前が務められる場所は長尾家しかございません。ここに勤めなさい」
淀橋「わかりました。よろしくお願い致します」
小西、待て。
俺はまだコイツを雇うと言ってないぞ。
俺「国の財政を保つ方法を答えて見ろ」
淀橋「人の管理。物の管理。金の管理。情報の管理。以上をキチンとすれば財政は周ります」
一瞬、店内の空気が変わる。
俺「お前は回せるか? うん淀橋、淀橋」
加地「淀橋寝てます。若様、この男で良いのですか?」
……答えた直後に寝るな。
<危機か天才か>
俺「まぁ及第点以上の解答も得たし、後は新しい弟を小島がどう扱うかだな。加地叔父さんには申し訳ないが、この淀橋を次の俺の船に乗せておいて、この男に陸路で直江津は無理だよ」
加地「わかりました。若様は優しいですね」
俺「出来る奴にはね」
眠れる天才か、ただの怠け者か。
だが――
国を回すのは刀ではない。
数字と、人と、流れだ。
俺は、ニヤリと笑った。
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