第184話 1539年 9歳 三好氏の攻略をするぞ (怪しげな来訪者)
<怪しげな来訪者>
安田「怪しげな男が『上杉龍義殿に会いたい、俺を上杉龍義殿に会わせないと損をするぞ』と言っていまして、普通なら追い返すのですが、顔が異形でして雰囲気もあります。どうしましょうか?」
俺「そしたら、そいつを身体検査を徹底させて、ふんどしまでこちらで用意した物にかえ、身に寸鉄が一切ない状態にさせろ。」
俺も忙しい身だ。
いきなりのアポ無しで来られても会えるほど下位の身分でもない。
しかし、安田でさえ異形と雰囲気というのなら相当な人物だろう。
興味がある。
男がこちらで用意した服に着替えて、俺の部屋に入ってきた。
確かに異形。
目の光が尋常ではない。
場の空気がわずかに変わる。
男が口を開いた。
「松永久秀です。」
その名前で、俺の血は逆流する。
髪の毛が逆立つのを感じた。
島田も水斗も鯉口を切る。
膝を立て、俺の合図一つで一瞬で終わらせられる距離だ。
俺「よくも俺の船を沈めてくれたな。後、本願寺に手を回して加賀も封鎖してくれたそうだな。他にも余罪はあるだろ。ここに来たら殺されるとは思わなかったか?」
松永「若様は、単身で来た俺を殺しません。そうでしょ?」
ニコリと笑う。
俺「わからんぞ。俺がこの二人に言えば、お前は明日から冷たい土の中での生活が始まるぞ。」
松永「いーえ、若様はそうしませぬ。なぜなら俺を生かしておいた方が利があるから。」
俺「何を寝ぼけている? 船を沈めて、加賀を閉じて利なんてあるわけないだろう。」
島田が眉をひそめ、水斗は刀の柄に手を置いたまま微動だにしない。
<利の提示>
松永「これまでは若様に損をおかけして申し訳ございませんでした。」
深々と頭を下げる。
松永「これからの利について話します。
まず私は船と加賀の件で三好政康・三好長逸と仲違いをしました。以後奴らは私の敵となります。
これが何を意味するかおわかりでしょう。
松永兵四千人が長尾家にお味方をし、食料もご提供致します。」
俺「その四千人なんて信用出来るわけないだろ? どうやって信用しろと。」
松永「私どもだけで、三好政康・三好長逸と戦います。若様の軍は後方におられたら良い。
私どもの軍がやられたら、若様にとって痛くも痒くもない。
仮に私どもが裏切ったら、長尾家と三好家とに挟まれるのだから、これも痛くも痒くもない。
仮に私どもが勝ったら、勝利の果実は全て若様に献上します。
それでも信用できないと言われるなら、人質で私の親でも嫁でも子供でも差し出しましょう。
これが利です。」
俺「船を沈めた時と、そこまで俺に全てを賭けるお前との違いが大きすぎて理解できない。何がお前をそう変えた?」
松永「三好政康・三好長逸と喧嘩した後、私は若様が演説された堺商人の会場にいたのです。
若様の話と雰囲気、それだけで俺は三好長慶以上の価値を若様に見ました。
それ以上の理由が必要なら、まだ言いますが。」
俺「結構だ。帰って良いぞ。」
松永「今後は兄貴と呼ばさせてもらいます。兄貴よろしくお願いします。」
俺「俺は九歳だぞ、兄貴ではない。」
松永は今後の連絡手段についても打ち合わせをして帰った。
<残る疑念>
俺は柿崎や馬場とも相談する。
皆、最初は俺と同じ反応だった。
しかし最前線で戦い、それで味方か敵か判定してくれなど、普通は絶対に言えない。
安田「兄貴……イエ若様、松永の今後どうしましょうか?」
安田、今のはわざと言っただろ?
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