第158話 1538年 8歳 明国の技術を導入するぞ(技術輸出禁止、李牧)
1538年 8歳 明国の技術を導入するぞ(技術輸出禁止、李牧)
① 明の技術輸出禁止
1538年の明国の技術は、日本のはるか先を行っていた。
明は技術先進国であった。
しかし明は、技術の輸出を禁止していた。
明に技術を売ってくれと言っても、売ってくれないのである。
いくら個人的に仲良くなったとしても、国家技術なので無理だ。
たとえば現代のアメリカで、軍事技術を金で売ってくれ、友達だから売ってくれと言っても、売ってくれるわけがない。
それと同じである。
ではどうするか。
技術者を説得して、国の目を掻い潜り、亡命してきてもらうだけだ。
要は、技術者亡命の受け入れだ。
今の現代で日本がアメリカから軍事技術者亡命を大量に受け入れたらどうなるか。
戦争である。
では戦国時代の日本が、明から技術者亡命を大量に受け入れたらどうなるか。
戦争とはならないのである。
明は、それだけの体力がない。
勘合貿易はすでに停止している。
建前は、明と日本の取引禁止。
だが実態は、明政府の目を掻い潜り琉球で取引している。
つまり技術者亡命を受け入れても、影響がないのである。
しかも俺には、明政府と仲良くする秘策がある。
(これは技術者流出が問題になってから出す策なのだ)
よって明国の技術者が納得さえしてくれれば、全く問題がない。
それではどうやって明国の技術者を日本に連れてくるか。
俺には、明国政府とも太いパイプを持つ倭冦・李牧がいる。
俺は李牧に依頼をしてあるのだ。
無論、李牧には大量の金銀を送っている。
連絡を密にしているので俺に不安はないが、事務員真田は不安だったようで――。
事務員真田「若様、李牧にもし騙されていたらどうするのですか?」
俺「俺は李牧を信じる。もし騙されていたら他の倭冦を探すだけだ」
事務員真田「それだけ金銀を失うんですよ」
俺「大丈夫だ真田。金銀はまた掘れば良い。そのための蝦夷地だぞ」
事務員真田「そういうの言えるの若様だけですよ」
俺の周りを不安にさせるだけさせていた李牧が、この秋来る。
<李牧が連れてきたぞ>
② 李牧降り立つ
李牧が直江津港に降り立った。
船は3隻で来ている。
李牧は190センチ位の陽気な風貌の男で、人を引き付ける魅力がある。
1536年、李牧は博多沖で部下に裏切られ、他の海賊に襲われている所を俺が救った。
そこで今回の依頼をした。
そこから継続して連絡を取り合い、多額の金銀を李牧に送り、事務員真田が青くなっていた。
――どうだ真田。
俺が李牧を信じて正解だったろ。
李牧「若様、ご無沙汰しております。大変お待たせ致しました。若様から拝命を受けました技術者50名、その家族150名を連れて参りました」
俺「ご苦労。大変だったな李牧」
李牧「役人に散々金銀をバラまいて、買収と脅しで大変でした。若様の送ってくれた金銀で、かなりの上層部までこちら陣営となりましたよ」
俺「かなりの上層部というと?」
李牧「皇帝の右腕です」
俺「そこまでいけたらスゴイな」
李牧「今後は物凄く楽になると思いますよ」
俺は李牧に、菊姫、守役安田、林爛々を紹介した。
林爛々は、小西商店で紹介してもらった通訳兼大食い料理人だ。
俺「まずは技術者とその家族が滞在する居住する村を作った。そこに案内して、技術者や家族を安心してもらってから話を聞こう」
<明国村を作ったぞ>
俺は明国の技術者とその家族を迎えるに当たり、越後の住民との接触を減らし、無用のトラブルを避けるため、300人程度が住める村を作っておいた。
(以下、明国村)
今回200人なので余裕だ。
メリットは二つ。
秘密保持が可能となること
同国人同士コミュニティが築けるので、技術者も安心して働けること
秘密保持の観点から場所は川沿いで、直江津港から歩いて1時間ほどの場所とした。
少し遠いが、馬で行けばすぐだ。
明国村に着いた。
技術者とその家族から歓声が上がる。
住居は日本風ではなく、明国人風に仕上げてある。
ストレスなく過ごせるようにという配慮だ。
村の中心には、集会用の大きな建物がある。
そこで食事会や、日本人技術者が来て技術研修が出来るようにしてある。
食料はこちらで定めた商人が毎日明国村を訪れることで、越後住民との接触を避け、無用なトラブルを回避している。
無論、明国人は街に出かけても良い。
だがルールは守ってもらう。
言葉の壁は、よく使う単語――
(これいくら? 買う等)
を木札に書き、表に日本語、裏に中国語を記してコミュニケーションを図る。
とにかく、かなり細かい点まで明国人技術者には配慮し、ストレスなく過ごせるようにしてある。
安田が明国人技術者や家族に蜂蜜団子と飲み物を配っている。
蜂蜜団子は明国の人達にも好評で安田も自分の好物が評価されて嬉しそうだ。
安田「まずは、私が蜂蜜団子の美味しい食べ方を教えてあげよう」
(安田、それはみんながわかるから大丈夫だよ)
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