第148話 1538年8歳 小西商店についたぞ(その2)
前回は、亀山社中の堺支店を作るために、
小西商店から「灰島左門」を紹介してもらいました!
今回はさらに堺で人材が増えます!
<国友村の鍛冶>
小西『今、国友村から当代随一の鍛冶職人が来ているのですが会われますか?』
国友村とは1543年に鉄砲が伝来すると、国友村で大量に鉄砲を制作したという凄腕鍛冶職人が多く住む村だ。
越後にも何人かの国友村出身者がいる。
ちなみに今は1538年で、まだ鉄砲は伝来していない。
俺『是非』
しばらくしたら、二歳位の男の子を連れたぶっきらぼうな感じの男が現れた。
根鳥『根鳥右衛門と申します。
こちらが息子の悟郎と言います』
俺『火薬で飛ばす弾丸のからくりに興味があるか?』
根鳥『からくりに今日、興味あります』
俺『悟郎を連れて来た理由があるのか?』
根鳥『根鳥だけに奥さんを寝取られちゃってこの様です。
寝取ったのが同じ鍛冶職人で隣家のやつです。
悟郎をゴミみたいに扱いやがって。許されないでしょ?』
根鳥のだじゃれかゴロが多すぎて、全く可哀想に聞こえない。
俺『そしたら俺が根鳥の嫁さん兼、悟郎のお母さんを探してやるから越後にこい。
国友村の職人に仕返しさせてやる』
根鳥『信じます。私、この子と心中前でした』
俺『一週間後の朝出発だ。それまで用意してこい』
<大衆演劇の種>
しばらく小西と世間話が続き――
小西『若様は大衆演劇とかはご興味ございますか?』
俺「能とかよりは興味がある」
この時代の能は上流階級のものだ。
小西『実はここの脚本家兼座長が若様の冒険談を活劇にしたいと言っておりまして、
かなりしつこく言われておりまして。会って頂けると助かります』
俺『もちろん会おう』
しばらくして、えらく男前で快活な男が来た。
市川『市川右衛門と申します。
若様に物凄く会いたかったです。
私は若様の冒険を物語にして、舞台で演じたいのです!!!!!』
俺『俺8歳だぞ。誰が演じるんだよ』
市川『それが苦しい所でして。
若様の役を8歳でやれたら、大々天才なのですよ』
俺『それでは俺の伝記をやらさせてやるから、新しい物語を越後でしてくれないか』
市川『どのような物語を』
俺『能や猿楽に代わる大衆演劇だ。
例えば源義経を題材として、やってみて欲しい』
市川『面白いですね。ただ越後というのは――』
俺『越後を馬鹿にするなら、この話しはなかった事にする。無駄な時間だった』
市川『誤解させてしまいました。
越後の町の人は義経様をどの程度ご存知なのかと思いまして』
俺『義経を知らない人も、お前の演劇を見せて感動させてくれ。
俺は越後を大衆文化大国にしたいのだ。
今、越後の産業は栄えてきた。金だけを稼ぐ場所だ。
しかし、俺は越後を皆が楽しめて憧れる場所にしたいのだ』
俺は市川を、越後での大衆文化発展のきっかけにしたいのだ。
俺『どうだ市川。やるのか、やらないのか?』
市川「是非ともお願い致します」
俺「それでは明後日朝出発だ。それまで用意してこい」
市川が退室した。
小西「しかし市川が演じる若様の物語なら、私も見たいですね」
俺「市川に8歳の演技なんてできないだろ。誰か見つけてくるかもな」
<夜まで買い物>
夜が来た。
菊姫も鶴姫も、まだまだ服をえらべてない。
菊姫「この小袖良いけど、ここがねーー」
言えば、直ちに――
呉服屋「菊姫様、こちら見て下さいませ」
菊姫「素敵じゃない」
呉服屋「菊姫様にはこちらの色もお似合いですよ」
決まるハズがないのである。
菊姫や鶴姫が購入を決めた着物や履き物、髪飾りは別部屋に置いてある。
菊姫や鶴姫は購入した物を着て、俺に――
『若様見てー、これ可愛いでしょ』
俺「可愛いね。似合うよ」
きちんと1時間ほど付き合う。
それから菊姫、鶴姫を含め、柿崎や守役安田達と食事会だ。
こういう時の菊姫は、小西の話しや柿崎の話しにきちんと対応出来ていて頼もしい。
良い奥様なのである。
何処に出しても大丈夫。
こうして夜が更けていく。
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