第146話 1538年、8歳。 津田宗及、登場だぞ
しばらく12000人の移住の話が続いていましたが、
その間も主人公たちは同時進行で行動しています。
<堺港>
堺港に、軽騎兵五百名と重装歩兵九百名で到着した。
上陸時の護衛は、軽騎兵五百名が務める。
菊姫や鶴姫の輿もついてきている。
堺港では、津田宗及が俺を待っていた。
腰が低く、柔和な笑顔だ。
言わずと知れた堺の豪商。
歴史の教科書にも載るレベルの人物である。
津田宗及
「若様、ご戦勝おめでとうございます。
小西殿だけではなく、我々とも話をして下され。
耳よりな情報がありまして、是非とも若様のお耳に入れたいのです」
俺
「耳よりな情報とは」
津田宗及
「立ち話もなんですから、拙宅で茶の湯でも嗜みながら、お話いたしましょう」
茶の湯?
津田宗及は、俺が茶の湯嫌いという事を知らないのか?
──情報収集していない、という事だな。
俺
「申し訳ない。時間がないので、この話はまた今度でお願いします」
呆気にとられる津田宗及。
少し血の気が引いている。
俺は気にしない。
安田は気を使い、津田宗及にペコペコと平謝りだ。
俺達はその場を去り、小西宅へ向かった。
<茶の湯という文化>
安田
「若様、良いのですか?
若様の大好きな情報ですよ」
安田が、珍しくまともな事を言う。
俺
「多分、大した情報じゃないよ。
その証拠に、津田宗及は俺が茶の湯嫌いだという事を知らないだろ。
大した話でもないさ」
待ち構えるくらいなら、俺の事を調べておけ。
安田
「若様は、なぜ茶の湯がお嫌いなのですか?
正座が嫌いだからでしょ」
俺
「確かに正座は嫌いだがな。
茶の湯は大名や公家にも受けが良い。
茶碗を、大名への報酬代わりにも使えるしな。
長所は分かっている」
茶の湯の効用は他にもある。
茶の湯を通して、大名同士や家臣同士のコミュニケーションを図れる。
俺から言わせれば、茶の湯は令和で言う接待ゴルフだ。
安田
「でしたら、茶の湯を嫌う必要はないじゃないですか?
お茶菓子も美味しいですし」
俺
「茶の湯は所詮、上流階級の文化だ。
一般大衆受けはしない。
一般大衆が欲しがらないと、文化は発達しない。
俺は、茶の湯に代わる
大名同士、家臣同士のコミュニケーションを考えている。
だが、俺にはまだ
それを主催出来るだけの力がない。
今は出来ないだけだ。
俺
「安田だって、『わびさび』と言われても困るだろ。
神妙な顔をして、分かったふりをするだけさ」
安田
「わかるのは、ワサビ位なものですね」
俺は、安田よりは
わびさびは分かるぞ。
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