第145話 1538年 8歳 楽市楽座より効果がある移住だぞ(その5)
前回、食料問題を解決したドジ忍者蛍、今回も活躍します!!
(2)富山城
翌日、伏木港で魚津港から来た米や食料を受け取った。
船団を率いて来たのは、弟の馬場信頼だ。
再会を喜ぶ二人。
橋を渡る作戦案を話し合う。
馬場が蛍と鬼瓦武蔵を呼び出す。
馬場
「お前達には富山城近くで火を起こして、煙を出して欲しい。
これが若様の発明した簡易発火装置だ。
これの近くで火打石を使えば、すぐ火種が出来るぞ」
蛍
「若様スゴイ!若様どんな人だろう~。カッコ良いだろう~な~。私可愛いから若様に惚れられたらどうしようーーキャ~」
馬場
「蛍、聞いているのか?」
蛍
「聞いています。行って来ます」
蛍は“近くで”という肝心な一言を、いつものように脳内から削除した。
蛍は富山城を火事にすると解釈してしまった。
馬場
「大丈夫か、アイツ。鬼瓦、面倒見てやれ」
蛍
「びっくり。隊長いきなり話かけてくんだもん。ビックリだよ。
えーと、富山城で火事を起こせば良いのね」
馬場は富山城近くで火事と言ったのに、蛍は富山城で火事と聞き違いをしていた。
蛍
「そうしたら富山城に行かないとね」
蛍が富山城の通用門の前に来た所、商人が頭を下げて出て行った。
蛍
『あの商人の後付けたらどこのお店かわかるでしょ。私賢い。やっぱり私流石よね』
蛍は自分で自分を褒め出したら止まらない。
商人に付いて行くと店は富山城の近くにある食料問屋だった。
小売りもしており店の者が田中商店と書いたハッピを着ていた。
蛍の目がキラリと光る。
蛍は田中商店のハッピを着て食料と火種と発火装置を背中のかごに入れて来た。
蛍は田中商店からハッピを盗んでいたのだ。
蛍は通用門の番人に
蛍
『田中商店です。食料を持って来ました』
番人
『見かけない顔だな」
蛍
『新人なんです。でもほらほら」
蛍はハッピの田中商店の文字を見せる
番人
『まぁ悪そうな奴でもないし、まぁいいか、入れ」
通用門を開けてやる
蛍
「あのーー~食料庫ってどこでしたっけ?」
番人呆れる
番人
『お前そんな事も知らんのか、教えてやるから後で酒を持ってこいよ』
番人から食料庫の場所を聞き、食料庫の中に入る蛍
蛍
『やっぱり私、スゴイ! 私可愛』
無駄に自分を褒めながら食料庫の燃えそうな物を集めた。
蛍
『この旦那様が作った簡易発火装置で火をつけて」
いつから若様がお前の旦那になったんだーと誰かがいたら突っ込んでいる。
火は燃え上がり、外に出た所
富山城の侍が
『あー火事じゃないか、火を消さないと
女付いてこい、火を消すぞ」
蛍は侍と一緒に井戸に行き水が入った桶と一緒に火事の現場に戻る
食料庫はボヤくらいの感じだ
何十回か水をかければ消える。
侍は自分が持って来た桶で水をかけた
侍
『何をボサっとしている、水かけろ」
蛍
『ハイ」
蛍が前に出て行き水をかけようとすると転びそうになった。
壁に掴まりそうになったがそこには壺があった
(ガッシャーン)
壺の中には液体が入っていた。
蛍(中はクスリでしょ)
しかし中身は行灯用菜種油だった
火に油のことわざ通り食料庫の火事は燃え広がる。
侍は激怒
侍
『クビだー、お前は田中商店に言って絶対にクビにさせるからなー、出ていけーーーークビだー』
富山城中の侍が桶リレーをしたり延焼を防ぐため回りを取り壊したり大わらわである。
クビだーと言われショックを受ける蛍
蛍は甲賀の里で毎回クビと言われて来たので人一倍ショックを受け思考が停止するのである。
この時は得意のポジティブシンキングも発動しない。
とにかく蛍は富山城を出た。
すぐ目の前で森が燃えていた。
鬼瓦
『あー蛍、どこ行っていた、探したんだぞ』
蛍
『私田中商店クビになったー」
鬼瓦
『???お前は田中商店に勤めてないからクビにはならないぞ』
なぜ落ち込んでいたのだ。
すぐ持ち前のポジティブシンキングが出る
蛍
『私はクビじゃない、当たり前よね」
鬼瓦
『富山城を燃やしたのは蛍か?」
蛍はない胸を反りからして威張る
蛍
『どう、すっーーごいでしょう』
鬼瓦
『スゴイけど命令違反で怒られるぞ、でも、とりあえずよくやったな蛍」
鬼瓦はさわやかな笑顔でポンっと蛍の背中を叩く
蛍(鬼瓦さんって私の事好きなの)
盛大に間違った事を考えていた。
一方こちらは軽騎兵450人木沢兵300人
その後方に15000人の移住者が控えていた。
目の前には神保兵3000人がいた。
しばらくにらみ合いが続いた。
約束の時間になり富山城方面から黒煙が上がった。
馬場大声で
『富山城を燃やしたぞ、後ろから襲わないから帰らしてやるぞ』
神保大声で
『嘘を申せ、今確認に行かせるぞ』
馬場は焦った。
行かれたら虚構がバレるのである。
軽騎兵で突撃準備をする。
しばらくすると後方から弟の部隊が突撃してくれて挟撃が出来るのである。
弟の部隊と息を合わさないといけないため時間調整で3分ほど待つ
頃合いだ
馬場
『突撃』
神保
『待ってくれ、さっきの条件を飲もう。後方から来るなよ」
馬場
『????」
馬場は気を取り直し15000人の移住者に橋を渡らせた。
馬場が15000人の移住者と共に自らの領地でもある越中東部に進んでいくとその過程で富山城が見えた。
最初は鬼瓦の擬装火災は上手いと思っていたがよく見ると富山城が燃えていた。
擬装火災の予定だった。だが蛍は“本物”にしていた。
夕方馬場達15000人は馬場の居城の一つでもある魚津城に着いた。
弟信頼が出迎えてくれた。
まだ直江津までは距離があるが自国の領地である。
庭を散歩する気分となるだろう。
その夜鬼瓦を呼んで報告を受ける。
鬼瓦に報酬3貫をやった。
続いて命令違反を犯した蛍を呼ぶ。
褒められると思っている蛍はウキウキだ。
馬場は命令違反についてガミガミ怒る。
命令違反は場合によっては味方が大勢死ぬ危険があるから怒るのは当然である。
馬場
『それはさておき蛍のおかげで無駄な突撃をしなくて良かった。褒美だ3貫やる。
調子乗るなよ(笑)』
馬場のテントを出た蛍。
そう言われても調子ノリノリの蛍であった。
3貫だ!3貫だ!。私大金持ちだよ。何買おうかなー~!(笑)
鬼瓦
『あーこんな所にいたのか蛍」
また怒られるかと思い身構える蛍
鬼瓦
『大宴会だぞ、主役が来ないと盛り上がらないだろ、行くぞ蛍』
蛍
「私が主役?????」
蛍の目には涙が浮かんでいた。
甲賀の里に産まれこれまでずっーーーと褒められた事なく脇役すらなれなかった自分が主役。
鬼瓦が蛍の異変に気付く
鬼瓦
『泣いているのか、どうした蛍』
蛍
「私、命令違反して良かったーー(涙)」
「違うぞーーーー」
全員で突っ込んだ
その夜の大宴会で蛍は初めて心の底から笑い楽しんだ。
蛍が独り言を言う
『私は人生を変えれたのかな?? 多分そうね』
蛍に声がかかる
鬼瓦
『蛍、こっち来て飲め』
蛍
『うん、今行く。待って』
もう一人の主役は馬場隊長だ。
移住者や兵達は皆馬場隊長の元でまた働きたいと口々に言った。
「隊長、越後に着いてからも、また一緒に戦わせて下さい。
ここまで命一つ落とさず運んでくれた殿様なんて、他にいませんから」
黙ってうなづく馬場隊長であった。
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