第144話 1538年 8歳 楽市楽座より効果がある移住だぞ(その4)
前々回登場したドジ忍者蛍が今回どんな活躍をするかお楽しみに!!
(1)越中中央部
馬場は高岡で米を購入する事にした。
鬼瓦武蔵を走らせた。
しかし高岡の米問屋は皆、富山中央部の神保家が怖いので米を売ってくれない。
闇米で手に入る量はわずかで、100㎏単位しかないのだ。
越中東部は馬場の領地なので、そこまでいけばいくらでも食料は手に入る。
ここに来て馬場は、補給線の強制接続作戦を展開しなければならない事になった。
最初に伏木港に行った。
長尾家となると警戒されて、船を借りることはできなかった。
その報告を、馬場のテントで受けた。
海路がダメなので陸路しかない。
鬼瓦武蔵を魚津城まで走らすことにした。
そこにドジ女忍者の蛍が、馬場のテントに入って来た。
馬場
「また暗殺に来たのか。忙しいからダメだぞ」
蛍
「そんなんじゃありません。軽騎兵の皆が遠出の準備をしていたから、陸路で魚津城に行くのかなーと思って」
馬場
「そんな事を言いに来たのか? 暇じゃないんだぞ。ほら帰った、帰った」
蛍
「もう、そんなんじゃありません。海路はどうかなーって。私、昔の作戦で成功した事あるんですよ」
ない胸を反り返る蛍。
哀れな目で蛍を見る馬場。
馬場
「気持ちはありがたいが、海路は一番最初に調べたよ。ダメなの。絶対。いや、こっち忙しいから相手している暇ないんだけど」
蛍
「馬場隊長が絶対やっていない作戦があります」
馬場
「何だ?」
蛍
「色仕掛けです」
蛍の身体を見る馬場。
このずん胴で色仕掛けとはよく言った。
馬場
「お前には無理だぞ? わかったわかった。馬1頭やる。弟宛の手紙も書いてやる。だからここから出ていけ」
蛍は馬場から手紙を受け取り、テントから追い出された。
蛍
「これは馬場隊長が私に早く出発しろって事ね」
蛍は無駄にポジティブシンキングなのである。
蛍は食料庫に忍びこみ、酒と米を少しもらって行った。
蛍
「私が増やすから大丈夫」
蛍は夜に井波を出発した。
休憩をはさみながら、明け方3時くらいに伏木港に着いた。
蛍
「さてと、魚津港に行ってくれる船を探さなくちゃね。こーんな可愛い私が言えば一発よ」
重ねて言う。
蛍は無駄にポジティブシンキングなのだ。
当然のごとく、各船の船長に断られる蛍。
色仕掛けしかないか~。
この肌を親父どもに見せるのは惜しいんだけどな~~
ギリギリまで胸と足を出す蛍。
「ねぇちゃん風邪ひくぞ」
蛍
「これは私を心配してくれているんだわ」
重ねて言う。
蛍は無駄にポジティブシンキングなのだ。
蛍
「こんな事もあろうかと、賄賂の世の中ですわ。米と酒と美人。これで転ばない男はいない」
漁船船長
「うーん、この魚全部買ってくれたら、魚津まで行っていいよ」
蛍
「いくらですか」
漁船船長
「1貫だよ。お嬢ちゃんには無理だろ。帰った帰った、ガハハハッ」
蛍
「魚津城に行ってくれる人を見つけたんだから収穫でしょ。流石私、偉い、賢い」
蛍は誰も褒めてくれないから、自分で自分を褒めてばかりいるのである。
蛍
「1貫なんて1000文でしょ。私の給料の10か月分よ。どうしよう。ねぇ~~」
と、蛍は馬の顔を見た。
閃いた。
蛍は先ほどの船長の所に、1貫のお金を持って行った。
蛍
「魚津港まで行って」
驚く船長。
朝3時位に伏木港につき、7時に伏木港から魚津港に向け出発した。
移動は6時間くらいかかる。
長い道中、蛍は船長から聞かれた。
船長
「まさかお嬢ちゃんが1貫持ってくるなんて思わなかったよ。どうしたんだい」
蛍
「売ったの」
船長
「何を」
蛍
「馬」
驚く船長。
そりゃそうだ。武家のお使いで来ていて、武家の所有財産を勝手に売れば大問題である。牢獄行き決定である。
船長
「牢獄まで覚悟して魚津に行くなんて、良い人でもいるのかね」
蛍
「私はこのお使い成功させて、人生変えたいの」
船長
「いいかい、お嬢ちゃん。人生ってのはそうそう簡単には上に向かないんだぞ。下に行く時は一瞬だぞ。真面目に働きな。なーに、牢獄に行ってもすぐ出れるよ」
蛍
「いいの。私は、きっとうまく行くんだからね」
蛍は何の根拠のない自信も得意であった。
船長
「……人生変える前に、まずは頭を冷やした方がいいと思うがな」
13時くらいに魚津港に着いた。
船長
「おじょうちゃん、この魚どうしたら良いんだい? おじょうちゃんの物なんだけど?」
蛍
「そしたらその魚を全部あげるから、1刻か2刻ここで待ってて。必ず帰ってくるから」
蛍は魚津城に向かった。
門番に馬場からの手紙を見せたら、すぐに馬場隊長の弟、馬場信頼の元に通してくれた。
馬場信頼
「兄者は息災か? 手紙を見せてくれ」
兄からの手紙を読み、
馬場信頼
「ご苦労であった。それではこの手紙を届けて欲しいのだが、出来るか」
蛍
「あの~~お願いが~~」
馬場信頼
「何だ?」
蛍
「馬を売り払って船を借りたので、伏木港で馬を買い戻すお金、1貫下さい」
蛍は馬場信頼から手紙と1貫をもらい、船長の元に行った。
蛍
「船長、伏木港に大至急で戻って」
船長
「捕まるぞ」
蛍
「??? 大丈夫。捕まらないから伏木港に戻って」
昨日から夜通し動いていたので、よだれを流して寝る蛍。
船長も、誰も彼女が忍者と言っても信じないであろう。
伏木港に着いた。
19時である。
蛍は馬を売った店を探した。
どこの店か忘れてしまっていた。
全ての店は閉まっている。
蛍
「これは宿に行けって神様が言っているんだわ」
蛍は時々、無駄に神様からの啓示を受ける。
違う事の方が多い。
この当時の宿は、必ず馬小屋が近くにある。
蛍が見る所、元気な馬だらけだ。
蛍に馬を見る目はない。
蛍は宿屋に行き、1貫で馬を売ってくれと交渉してみた。
宿屋の主人は驚く。
「うちは馬屋ではないんだがね」
蛍
「1貫出すよ」
馬の持ち主が現れて、
「売った。持っていけ、泥棒」
蛍
「泥棒じゃないし。変な人。まぁいいや。馬も手に入ったし」
しばらく進むと、馬が進まない。
蛍がいくら怒っても、馬は屁をするだけだ。
蛍
「進め」
馬は屁で応える。
蛍
「臭ッ。屁をこいても進まないのよ。進め」
馬は屁で応える。
蛍
「だから屁じゃないの。進むの」
これを繰り返した。
蛍に馬を見る目はない。
物凄い駄馬に1貫も出していた。騙されたのだ。
蛍は無駄にポジティブシンキングで、無駄に神様の啓示を受ける。
蛍
「これは神様が私に走れと言っているんだわ」
そう言って走る。
一応忍者だ。走るのには慣れている。
しばらく行くと、馬場達15000人の移住者の野営地に遭遇した。
馬は買う必要はなかったのだ。
蛍は馬場隊長の元へ行く。
馬場隊長の所では、鬼瓦武蔵が東部へ向かう橋が神保によって封鎖され、一戦せざるを得ないとの報告をしている所だった。
蛍は馬場に褒めてもらえると思い、
蛍
「行って来ました」
馬場
「またお前か。もういいから帰れ。こっちは忙しいんだ」
蛍
「手紙」
馬場は手紙を見る。
弟の文字だ。
内容は、明日舟で食料を伏木港に持って来るというものだった。
馬場
「よくやった。褒美は何が良い。えーと、名前は」
蛍
「蛍です。赤目に入れさせて下さい」
馬場
「分かった。若様と赤目滝に儂から話すが、入れるかどうかは確約出来んぞ。
後、褒美で5貫だ。よくやったな(笑)」
蛍は初めての5貫という大金に大はしゃぎだ。
蛍
「やった!私スゴイ!私が“超可愛い”から成功でしょ」
盛大な一人言だ。
ニンマリが止まらない。
喜んでいる所に、100人隊副隊長の女性がやって来た。
「あー、あんただろ。
酒盗んだのは。こっち来なさい。ハイ、正座する」
ガミガミと怒られる蛍であった。
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