第126話 1538年 8歳 南部氏訪問するぞ
前回は、本間のバカ息子が
思った以上に成長していて、正直びっくりした
十三湊着いた。
南部氏の居城は三戸城となる。
十三湊に舟の防備のため100名程残し、
三戸城郊外の宇佐美の邸宅へ向かう。
毎年南部氏の所に来るので、
軍馬二千頭の購入と飼育を宇佐美に頼んであったのだ。
宇佐美が俺達を出迎える。
宇佐美
『若様、遠い所までよく来て頂きました。』
俺
『宇佐美には大変苦労をかけたな』
俺達は邸宅に入り話を聞く。
宇佐美は俺の指示通り軍馬を二千頭揃えていた。
加えて宇佐美から現在の戦況を聞いた。
現在南部氏の当主は南部安信であり、
長男の晴政へ権力を移行しようとしている。
晴政とその周囲の若手勢力と、旧来の重臣層との対立がある。
今回反乱を起こしたのはその旧来の重臣で工藤信広だ。
工藤氏は、三戸周辺や糠部郡の一部に所領を持っている。
兵力は200人位なのでゲリラ戦を仕掛けてきて、
南部氏の補給や通行の邪魔をしてくる。
長期戦になると工藤氏に呼応する者も出てくるので、
短期間で片付けたいが工藤信広の行方がわからない。
戦況は分かったので千人程連れて南部氏の居城三戸城に行く。
三戸城へ向かう途中で馬場信春から質問を受ける。
何故越後から離れた所で戦争をしなければならないのか?
俺は次のように答えた。
蝦夷地の安定化のために南部氏を助けるのだ。
元々南部氏と蝦夷地は距離が近く南部氏が蝦夷地の領地を主張しても良かった。
しかし、南部氏には堺や琉球に運ぶ舟がないのだ。
長尾家が南部氏の領地安定を手伝う事を条件に、
蝦夷地の権益を全て譲ってくれたのだ。
だから、南部氏の領地安定を手伝うのだ。
加えて俺の軍団が戦い慣れをする利点がある。
大内氏のようにいくら金を持っていても、
沢山戦争しないから奴らは弱い。
(大内が弱い原因は他にもある)
すると馬場信春は蝦夷地の価値とは何かと聞いてきた。
俺は答える。
一つは、越後は貿易立国なので売れる商品が必要なのだ。
蝦夷地の商品は売れる。
(江戸、明治大正の北前船の発展を見れば明らかだ)
二つ目は、蝦夷地は米に換算すると一千万石の未開拓地がある。
これを開拓し蕎麦やキビを植え、ニワトリを飼育していく予定だ。
蝦夷地では米と小麦は栽培出来ない。
蝦夷地での主食は蕎麦となる。
(令和では品種改良した米や小麦があるので栽培可能だ。)
三つ目は、鴻之舞金山や夕張炭鉱等の鉱物資源が豊富だ。
他の大名にとって蝦夷地とは、
舟がないので行けない場所で、
米が栽培出来ない場所で、
金山の場所もわからない。
だから他の大名にとって蝦夷地の評価は低く、
蝦夷地に進出して来ないのだ。
<三戸城へ>
南部氏の居城三戸城に到着した。
現在当主の南部安信と長男の彦三郎が俺を出迎える。
新津焼等いつものお土産を渡して型通りの挨拶をする。
南部安信
『お手数おかけして申し訳ない。たかが200名ほどだが、工藤信広が毎日拠点を変えている。蚊のように飛び回りコチラのイヤな所を突いてくる。敵にするとこんなにイヤな奴とは気づかなかった』
俺
『すると、工藤信広の居場所さえ分かれば良いのですな。』
俺は赤目に見つけるよう指示を出した。
珍しく赤目から3日は欲しいと言って来た。
俺はその旨を南部氏に伝え宇佐美の所に戻る。
夜、宇佐美から遠回しに越後に戻りたいとの事を聞く。
後釜に悩む。
案1 雷蔵か風馬か水斗
案2 馬場信春
案3 軍団の志村大吾と髙木信人
どうする。
案1は3人は抜けたら穴がふさがらない。
案2は馬場信春との当初の約束と異なるため、
俺への不信となっても困る。
案3が妥当だろう。
志村は髙木という元部下がいるから色々動けるだろう。
志村と髙木を呼び出す。
俺
『いきなりで悪いが志村と髙木には宇佐美の後釜として南部氏と長尾家の連絡係と軍馬の育成等でこの地に残って欲しい』
髙木
『軍団で大暴れ出来るって聞いたんだけど』
俺
『別に髙木だけ軍団に残っても良いぞ。
ただこれは志村にとって将来領地持ちになれる良い機会なんだぞ。
髙木は志村を手伝ってやりたくないか?
志村はどうするか?』
志村
『若様、私の望みは畠山を倒す事です。それの望みが叶うのでしたらお受けします。
しかも領地を任せて貰える機会があるという事は自分の家来を持てるという事です』
志村
『髙木、俺を手伝え。頼む。』
髙木
『兄貴に頼まれると断れる訳がない。俺やるよ。』
俺
『志村は宇佐美から業務の引き継ぎをして、家を起こすやり方を教えて貰ったら良い。
3年位はこの地で修行しろ。
兵士を100人程置いていくから志村の判断で南部氏と他の豪族との争いに参加しても良いぞ』
志村
『若様御配慮有難うございます。』
<工藤討伐>
3日後、赤目から工藤氏の場所が分かったとの連絡が入った。
山中の雪解け水で足跡が消え、
赤目が三度追跡をやり直したとのこと。
山の洞窟に隠れているらしい。
見つからないわけだ。
夜明け前の奇襲とする。
軽騎兵中心で火で燻して討ち取る事にする。
相手が200名程だし、簡単な作戦だ。
柿崎と宇佐美と雷蔵を呼び出す。
計画を言う。
俺
『簡単な作戦だし慣れて貰うため馬場信春に任せようと思うけど、どう思うか』
皆が了承したので軍監として雷蔵が付いて行き、
あまり口出ししないように指示する。
馬場信春を呼び出し、計画を伝える。
馬場信春は俺の意図を正確に読み取る。
俺
『いきなり軍監だから皆のやっかみがあると思うけど、この作戦を成功させて実力を証明してくれ』
馬場信春
『承知致しました』
馬場信春は赤目からの情報を正確に把握し、
工藤が逃げられないよう二重三重にも網を張った。
明け方、工藤氏の見張りを全て始末し、
洞窟に火を投げこんでいき燻す。
次々と出てくる者を武装解除させ縛る。
あっけなく工藤信広を確保する。
洞窟内に他の潜伏者がいないか更に燻して確認し、
捉えた者を隔離して尋問して情報の摺り合わせをする念の入れ方。
封鎖後、隠れた所に人を置き援助者を確保する。
雷蔵から報告を聞いたが満点だと思った。
馬場信春なんて普通スカウトなんて絶対に出来ない。
スカウト出来たのは、武田信虎が史実より錯乱度合いが増大していて
馬場信春の父を無実で殺した事が大きかった。
だからスカウト出来たのだ。
南部氏の居城に行くと、
南部安信と長男の晴政が俺を出迎えた。
工藤信広その他捕らえた者達を引き渡した。
安信と彦三郎はビックリである。
感謝の宴となる。
南部安信と彦三郎と俺とで、
清姫の婚姻をいつにするかで話し合う。
南部安信
『こちらは清姫を明日から越後に行かせても構いませぬ』
俺
『4歳の娘さんなので故郷が恋しくなり、またこの地に戻る事になる方が困るでしょ。
清姫は成人まで十年程この地に留まって頂きたい。
となれば当方は十年ほど正室の座が空く事になり非常に困る。どうしたものか?』
南部安信
『聞いております。伊達氏の娘さんとご婚姻されるのですね。伊達氏は側室でご納得されていると伺っております。』
俺
『伊達氏の菊姫は14歳で成人まですぐです。他方清姫は十年待たないといけません。』
南部安信
『それでしたら十年後の清姫との婚姻を書面にて確約して頂けるなら清姫は側室でも構いません』
南部氏は婚約解消を言い出される位なら側室でも良いのである。
要は長尾家と南部家の同盟関係が継続出来れば、
今回のように敵を撃破して貰えるのである。
無理を言って俺の機嫌を損ねるよりマシなのである。
俺
『書面にて確約致しましょう。用意して下さい』
次の日、清姫と婚約の儀を交わし、
十年後正式に婚姻の儀式をする事で合意した。
そして俺達は十三湊から蝦夷地へ向かった。
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