第123話 1538年 8歳 宗教改革をするぞ。
前回、龍義は亀山社中という金融会社を設立した。
金は戦を動かし、国を変える。
<宗教改革の始動>
安田長秀が帰って来た。
安田長秀とは守役安田の息子だ。
戦国武将共通の悩みである百姓一揆を無くす為、
一揆を起こす本願寺派浄土真宗を追い出し、
一揆を起こさない高田門徒派浄土真宗に切り替えるのだ。
安田長秀を俺の自室に招く。
安田長秀の父で、最近は俺の婚姻の世話で忙しい守役安田も招いた。
長秀
『若様、この度はご婚姻おめでとうございます』
俺
『有難う。長秀の父にも苦労をかけているよ』
守役安田
『何のこれしき、若様と菊姫の婚礼は楽しみにして下され。
儂が京都、堺、伊達氏の所を何度往復した事か』
俺
『楽しみにしておくよ。さて長秀よ、どうであったか』
以下、安田長秀の報告をまとめる。
越後高田(上越市周辺)に五つ寺がある。
越後高田の代表は信行という。
安田長秀は、越後高田代表の信行と共に
高田門徒派の総本山・専修寺に行った。
専修寺は下野国にあり領主は宇都宮氏だ。
安田長秀は宇都宮氏に土産を渡し、
高田門徒の何人かを越後に連れて行く了承を取った。
最近、高田門徒は応真派対真智派で対立し、真智派が敗れたのだ。
安田長秀は専修寺に行く。
応真派の代表・応真が対応した。
型通りの挨拶を交わした後、安田長秀が要件を言う。
土産の三千貫を渡す。
応真は、長尾家という全国有数の金持ちと友好関係を持てば
莫大な褒美が予想されるので極めて積極的だ。
応真
『是非とも越後まで伺い、若様のお手伝いをさせて頂きたい』
安田長秀
『申し訳ないが、若様は応真様だけでなく真智様も招くようご所望です。
真智様は何処に居られるかご存知か?』
応真は態度が急変し、
応真
『知りませぬな。安田殿で探されたらよかろう』
安田長秀は、下野国に土地勘がある越後高田の信行に
真智の行方を探させる。
すると山寺で真智派が修行しているとのこと。
安田長秀は真智に会いに山寺へ行く。
安田長秀が行くと、真智が出迎えてくれた。
安田長秀が真智に要件を言う。
土産の三千貫を渡す。
真智は涙を流して感激する。
真智
『このような朽ち果てていくだけの我々に
このような機会を与えて頂き感謝致す。
我々は若様の言う通りにいたそう。
早速出発の準備を致す』
安田長秀は再び応真に会いに行き、
真智が越後に行く旨を伝えた。
応真
『安田長秀殿、我々は最大限の人数で越後に向かわさせて頂く』
安田長秀の報告が終わり、
別室で応真と真智が控えている。
俺は両者をこの部屋に呼ぶ。
応真と真智に型通りの挨拶をする。
両者には見えない火花が飛んでいる。
俺は二人に、越後に高田派を招く目的を説明した。
すると、
応真
『我らは真智派と違い人数がおりますから、本願寺派に対抗して行きます』
真智
『我らは私を含め、皆で若様の要求全てに対応致します』
応真
『私の息子は父の私が言うのも何ですが天才です。
私の右腕住職と息子を越後に常駐させて、若様の要求全てに応えます』
さて、応真の天才という息子も魅力的だ。
甲乙付け難いな。どうするか。
俺
『聞くが、来年全国的に米が不作となる。
このような時に備えて混合農業と言い、
米以外にも小麦や大豆を育て、ニワトリも食料とする。
仏教では殺生を禁ずるが、
ニワトリや牛、豚その他を例外とする事が出来るか。
これを許さないと、領民は米が不作の時、食べ物がなく飢え死する』
応真
『幹部会を開き、若様の仰せの通りに致します』
真智
『若様の仰せの通りに致します』
答えは出たな。
俺
『先ず応真よ、応真の寺に毎年千貫のお布施をしよう』
喜色満面の応真、敗色の真智。
応真
『若様、有難うございます』
俺
『長尾家は今後全国に出て行く。
その時は応真の協力が必要となる。
その時までには、先程のニワトリ等を食料とする教えにして欲しい。良いな』
応真
『若様、承知致しました』
俺
『応真よ、幹部会を開いて意思決定とかは
本願寺との戦いの上では致命的に問題なのだ。
ましていくら天才的息子と言えど、専修寺の許可が必要なのであろう。
意思決定に時間がかかるのは困る。
よって、今回越後に常駐し我々と共同して
本願寺と戦うのは真智と致す。
先程も言った通り、長尾家と応真とは良好な関係を築いて行きたい。
応真も良いな。
応真は別室に下がって良い。
安田長秀、応真の対応を頼む』
応真は一気に元気が無くなり、
一気に元気が出る真智。
応真は歯を食いしばり、黙礼して部屋を出た。
<高田門徒の拡張>
俺
『真智よ、真智派を長尾家公認の宗教とする。
真智派の問題は坊主の人数が少ない事だ。
どう考えるか?』
真智
『はい、私が応真に敗れた時に離れて行った者がおります。
彼らを呼び戻せば即戦力となります』
俺
『足りぬ。
真智と信行で合力して、坊主を最低十倍にして欲しい。
募集をかけろ。
高田門徒の寺の住職となれば
長尾家から五百文の給料を出す。
住職はこれにお布施が加算される。
これで人は来る。
真智と信行は新人をひたすら一人前にしてくれ。
後は越後に本願寺派の寺は八十ある。
越中で六十だ。
これを全て高田門徒に切り替える。
どうするかだが、山本勘助と飛猿を呼んでくれ』
山本勘助とは前日までに打ち合わせをしておいたので、すぐ来る。
飛猿の加藤と自来也も来る。
俺
『勘助、加藤、自来也。
彼らが真智と信行だ。見知りおけ。
越後と越中の本願寺派の寺の合計が百四十程だ。
これら現存の本願寺派住職を高田門徒に切り替えさせる。
一度に百四十人の住職を集めて準備させず、
各個人で攻略していけ。
高田門徒に切り替れば月五百文報酬とし、
切り替えなければ遠島に流す。
これで最低七割は本願寺派から高田門徒に切り替わる。
すると本願寺派から高田門徒への宗派の違いを
百人程に説明しなければならない。
切り替えを拒否する者は四十程だろう。
その拒否する者は越後国内で無人島の粟島に流す。
空いた四十程の寺には
高田門徒の住職を派遣しなければならない。
真智と信行はこの数字を意識して
人を育てるようにしてくれ。
山本勘助は飛猿を使い全体の指揮をして欲しい。
真智と信行の寺の改築や新築は安田に任せるので
そちらに聞くようにしてくれ』
真智
『若様、このような大役をお任せ頂き有難うございました』
俺
『ニワトリの方は早めにな。
例えば安田はどう思う』
守役安田
『ニワトリは神様の使いじゃないのですか?』
俺
『真智よ、まずは安田にたっぷりと教えてやってくれ』
真智
『それでは安田殿、向こうの部屋でじっくりお話致しましょう』
安田
『まだ、やる事が・・・・』
逃げようとする安田。
真智
『さあさあコチラのお部屋に、信行も手伝って』
信行
『さあさあ安田様コチラへどうぞ』
守役安田はニワトリのように連れ去られ、
隣の部屋で説教だ。
明日、守役安田には
美味しいチキンソテーでも食べさせてやろう。
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