第12話 1534年 4歳 弓を作るぞ
弓の射程が二倍三倍になれば、戦場の常識は覆る。
半弓と長弓――戦国越後に初めて現れる新兵器が、ここに誕生します。
俺の手紙を読んで、
弓職人が6組 も越後まで来てくれた。
まずは、
「日本の和弓は素晴らしいが“効率が悪い”」
という現実から説明する。
和弓は220cm。長い。
だから弓兵と槍兵を分ける必要があり、
騎兵も使えない。
だがコンパウンドボウなら 110cm で済む。
槍兵・騎兵・歩兵、全てが弓を扱える。
俺は転生前にアーチェリー部だったので、
この非効率さが骨身に染みている。
そこで俺は、職人たちに新武器を紹介した。
『半弓』だ。
■ 半弓の説明で職人の顔色が変わる
俺
「カムシステムという“楕円形の滑車”を使うんだ」
・引きはじめは重い
・引けば引くほど軽くなる
・テコの原理で威力を落とさず射程を伸ばす
和弓がCの字なら、
半弓は Eをそのまま武器にした形 に近い。
材料は竹+鉄の複合。
カムの中心部は固い木の削り出し。
構造部品は標準化し、図面で統一。
職人
「えっ……こんな仕組みが……?」
俺
「有効射程50~80m。
和弓の30~50mより長い。」
さらに言えば、
火縄銃(射程50~100m)に匹敵する。
試作半弓を職人に撃たせると――
職人
「な、何だこの弓は!?
軽いのに……矢が飛ぶ……!」
一気に空気が変わった。
★ 次に“化け物兵器”の紹介 ― 長弓(弓の火縄銃超え)
半弓で驚いている職人に、俺はさらにトドメを刺す。
俺
「次は長弓だ。」
職人
「まだあるんですか!?」
ある。
俺が出した長弓は――
T字型の巨大兵器。
横(弓の部分)2m
張力70kgの弦
カムで弦を引っ掛ける構造
縦1m
総重量40kg(俺の体重より重い)
撃ち方はこうだ。
つま先を輪にかけ
70kgの弦を両腕で持ち上げ
金具に引っ掛ける
矢をセット
発射!
有効射程は 120m。
和弓の3倍。
火縄銃(50〜100m)すら超える。
職人
「こんな弓、見たことがねぇ……!」
ただし欠点も説明しておく。
・重量40kgあるのでマッチョ専用
・視力が良くないと使えない
・
だが、
敵大将を狙撃できる“戦国狙撃兵器” だ。
■ 軽量矢でさらに飛距離1.3〜1.5倍
通常矢
シャフト:8~10mm → 6~7mm
重量:40~50g → 25~35g
矢尻:10~15g →7~10g
合計15~20g軽くなる。
1.3~1.5倍飛ぶ。
ただし貫通力が落ちるので使い分け必須。
職人たちは
「……これ、本当に弓か?」
という顔になっていた。
★ 最後は“和弓 vs 半弓 vs 長弓”の射撃デモ
俺は遠い的と近い的を並べ、
和弓・半弓・長弓、
通常矢・軽量矢を全部用意。
職人が順番に射つ。
和弓 → 的の手前
半弓 → すぱーん
長弓 → 的の奥までぶち抜く
職人
「「「これは……戦場を変える……!!」」」
雷蔵・風馬・水斗まで目を輝かせていた。
★ 俺の言葉で職人の熱が爆発する
俺
「これは戦場を変える弓だ。
越後を勝たせる弓だ。
頼む、量産してくれ。
俺に勝利を――越後に未来をくれ!」
職人たち
「「「若様ァァァ!!!」」」
熱気が天井を突き抜けた。
越後の弓は、今日から別次元に進化する。
射程差は戦場を制す最大の武器となります。
半弓・長弓の量産が始まれば、越後の軍勢はこれまでとまったく違う姿を見せるでしょう。




