第110話 1537年 7歳 よし、一人で馬に乗るぞ。
前回、龍義は蝦夷地に渡る民と家臣を集め終えた。
越後の未来は、北の大地へと伸び始めている。
久しぶりに野馬川に会いに行く。
俺
『野馬川、悪いけど甲斐国とは断交した。
これから馬の購入は奥羽が中心になるぞ』
野馬川
『えーーーーー何故ですか』
俺
『理由は……まあ、信虎の暴走だ』
野馬川
『あの殿様、またですか……』
俺
『野馬川に約束するよ。
十五から二十年以内には甲斐国は俺の領地になっている。
その時には帰れるから安心しろ。
俺と野馬川の関係でも、俺と越後の情報を誰かに流すなよ。
流した時は――分かってるよね?』
俺はニコリ。
野馬川は青くなっている。
俺
『前に話をしていた、俺でも乗れる馬はあるか?』
ホッとした表情になり、近くにいた馬丁に指示を出す。
俺と野馬川で外に出る。
優しい顔をした、筋肉質で一回り大きい馬が立っていた。
俺
『馬、デカ過ぎだろ。どうやって乗るんだ』
野馬川はイタズラっぽく笑う。
野馬川
『桜、伏せ』
馬が静かに伏せる。
俺
『馬の伏せなんて初めて見たぞ』
野馬川
『馬が大きい方が、若様を乗せて立ち上がれます。
若様、乗られてみて下さい』
俺は桜に跨る。
野馬川から手綱を受け取る。
野馬川
『桜、立て』
桜は、俺が乗っていないかのように軽々と立ち上がった。
野馬川
『桜、歩け』
桜が歩く。
俺
(馬の重心移動が分かりやすい。
自衛隊の訓練馬より素直だな)
野馬川
『桜、駆け足』
桜が走る。
野馬川
『桜、止まれ』
桜が止まる。
俺
『桜、伏せ』
桜は伏せ、俺が降りる。
俺
『野馬川、有難う。最高の馬だよ』
桜は俺の手の匂いをくんくん嗅ぎ、鼻先で軽くつついてきた。
野馬川
『奥羽の馬で雌です。
奥羽の寒さで鍛えられた馬です。
脚が強く、雪でも転びません。
毎日餌をあげて愛情を注いで下さい。
愛情には、愛情で返してくれる馬です』
俺
『桜は何が好物だ?』
野馬川
『普通に牧草や大麦も好きです。
あと、おからも好きです』
俺は桜に毎日会いに来て餌をやる事を決意する。
<守役の感慨>
最近、守役安田は俺の婚姻で忙しい。
今日の付き添いは水斗だ。
俺は桜に乗り、守役安田に会いに行く。
邸宅では、安田が婚姻の準備をしていた。
水斗に安田を呼びに行かせる。
守役安田は、俺が一人で馬に乗っている姿を見て、腰を抜かさんばかりに驚いた。
安田
『ついにこの日がきちゃったか〜〜〜』
感慨深い顔になる。
俺
『俺の子供を抱く日は近いぞ』
安田
『私は嬉しいですけど、
菊姫の嫌がる事しちゃダメですよ』
俺
『するか〜〜〜』
<毎朝の習慣>
桜が来てから、
毎朝桜と乗馬をしてから餌やりをするのが日課となった。
桜はおからが大好物と分かった。
可愛いのでつい多めにあげてしまう。
だが馬丁から忠告が入る。
「桜の馬体重が上がり過ぎています」
……食べ過ぎには注意だな。
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