第105話 1537年 7歳 外交報告を受けるぞ。(前編)
前々回、
反乱組に外交を丸投げしました。
今回は、
その報告をまとめて聞く回です。
任命から一カ月後の夜、
竹俣清綱、色部勝長から外交交渉の中途会議を聞く。
もちろん外交交渉があった日の夜には随時報告も受けているし、
俺も経済同盟国の使節団には挨拶をしに行っている。
今回は、
現在までの交渉過程を整理するための会議だ。
<各国との交渉状況>
① 朝倉孝景 越前
敦賀港や三国湊を有しており、長年友好を結んでいる。
婚姻を申し込んで来たが断った。
どの国も越後の佐渡ヶ島の金銀が目当てなのだ。
そりゃ関係を結びたくもなる。
経済同盟が成立。
② 六角定頼 近江国
港は無いが長年友好関係にある。
婚姻を申し込んで来たが断った。
六角の顔を思い出すと断りたい。
経済同盟が成立。
③ 今川義元 駿河
清水港や石津湊を有しており、
前回一度寄港した国だ。
使者が太原雪斎と聞いて、俺は会いに行った。
太原雪斎
『若様、お初にお目にかかります。太原雪斎と申します』
俺
『お主は現在領主の今川義元殿の教育係で、
知恵者と聞く。
お主は儂に何を説く』
俺は太原雪斎を試した。
太原雪斎
『若様は大変な知恵者と伺っております。
私が若様に差し上げまする知恵はございませぬ。
ただ越後国には多数の鉱山があり、
山師が不足していると伺っております。
腕利きの山師を五人連れて参りました。
何卒若様の元で使って下さい』
太原雪斎は流石だな。
俺が佐渡ヶ島攻略を行ったと聞き、
俺の関心がどこにあるか見抜いた。
俺
『流石は太原雪斎。知恵者である。
して、太原雪斎は何を望む』
太原雪斎
『軍事同盟と言いたい所ですが難しいでしょう。
経済同盟をお願い致します』
俺
『わかった。経済同盟を結ぼうぞ。
話は変わるが、
今川と武田は同盟国であるな?』
太原雪斎
『左様でございます』
俺
『さすれば我が国と武田の戦いになったら、
今川はどちらにつくか?』
太原雪斎
『強い方にございます』
俺
『我が国の情報を武田に流さぬ事だ。
武田の情報は分かるぞ』
どうせ太原雪斎はこちらの会話を全て武田に流す。
これで武田信虎は、
「越後からスパイが入っている」
と疑心暗鬼になる。
実際、俺はまだ武田の所に
スパイを入れてはいない。
要は、
入れていないのに「入れたぞ」と思わせる策 だ。
そしたら武田信虎は、また家臣を疑うだろう。
太原雪斎
『拙僧は駿河国以外の責任はござらん』
この解答の意味は、
「私は駿河国以外は責任を持たぬ。
ゆえに、この会話は武田に伝える」
という宣言だ。
同時に、
こちらが武田を揺さぶる意図を読んだ上で、
あえて黙認する
という意味でもある。
――互いに嘘をつき、互いにそれを承知している。
それが外交というものだ。
太原雪斎
『若様も堺に行かれるついでに、
駿河国に寄って頂けますと、
国を上げて歓待致しますぞ』
俺は山師五人の世話係として中条を任命し、
彼らの技術を我が国の技術者に学ばせることにした。
この指示は、
太原雪斎の口からも明確に伝えさせた。
我が国の技術者がある程度出来るようになってから、
中山お鉱や金城兄弟から学ばせようと思う。
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