第10話 1533年 3歳 養蜂を始めるぞ
いよいよ養蜂スタート!
蜂蜜、植物油、団子と、一気に越後の食文化が変わる回です。
転生前、俺の母方の祖父母は養蜂家だった。
蜂の扱い方も巣箱作りも、何度も見て覚えている。
「石けん」「酒」「造船」と来たら、
次はもちろん――
蜂蜜だ。
蜂蜜は保存も利くし、甘味は戦国時代では超高級。
副産物の蜜蝋はロウソク・コーティング材としても価値がある。
つまり、
養蜂は儲かる。絶対に儲かる。
■ 養蜂家候補の“農家スカウト”
蜂を飼うには条件がある。
山が近くて花が多い
畑があり、花を育てられる
辛抱強い
この3つを満たす農家を領内で探し、
10軒を“養蜂家候補”として選抜。
それぞれに
**重箱式巣箱×5(合計50個)**を支給した。
巣箱には蜜蝋を塗り、
入り口は小さめでスズメバチ対策もバッチリ。
畑にはすでに
春→アブラナ
夏→大豆
秋→ベニバナ
が植えてあり、蜜源は確保済み。
今は春なので、アブラナが一面の黄色に咲いている。
蜂を飼うには最適だ。
■ 戦国式フル防護服を開発
まずは作業のための防護服を作る。
・麻布で作った胴衣
・その上に藁を縫い付けたローブ(蓑っぽい)
・袖や裾は紐で縛って蜂の侵入を防止
・顔は竹+麻布で作った面頬型マスク
戦国のミツバチも本気を出せば痛いので、
これぐらいでちょうどいい。
安田は、蜂が怖いのか
いつになく距離を取って俺を見ていた。
幼児か?
■ 蜂の捕獲 → 巣箱へ移住
蜂球(分蜂群)を見つけたら、
麻袋や竹籠で包んで捕獲。
煙を焚いて落ち着かせ、
元の巣脾を巣箱に固定して蜂を放つ。
巣箱は
・日陰
・風の弱い場所
・蜜源に近い
これらの条件を満たす場所に設置した。
戦国式ながら、かなり安定した養蜂体制が整った。
■ 蜜と油は春日商店へ
蜂蜜と、蜂の受粉で採れる植物油は
春日商店に販売する。
俺
「独占じゃなくていいからな?」
春日商店主人
「いやいやいや若様、そんなことより!
今回も素晴らしい商品ですなぁぁ!!」
ニコニコが止まらない。
石けんと蜂蜜まで押さえたら
そりゃ笑いも止まらん。
■ 蜂蜜団子、大ヒット!
蜂蜜を使って団子を作りたいと言うと、
春日商店が和菓子屋を紹介してくれた。
試作品を作ってもらい、
俺は祖父(為景・定実)に献上。
2人とも大喜び。
よし、今後は
“祖父を攻略するアイテム=蜂蜜団子”
に決定だ。
守役・安田にも渡すと、
目を輝かせて食べながら言った。
安田
「私は蜂は嫌いですが……蜂蜜は好き……♡」
どこの乙女だ。
★蜂蜜 × 造船 × 海軍 × 蒸留酒 × 石けん
越後は今、
多数の産業が同時に立ち上がりつつある。
蜂蜜も、確実にその一角になる。
戦国版・越後スタートアップの勢いは止まらない
養蜂が始まると、一気に越後が甘くて豊かになりますね。
団子も大成功で、祖父たちの心を掴む戦略も完璧。




