第一話 202✕年 転生前だぞ(改稿)
序盤に設定説明がありますが、物語はすぐに加速していきます。
戦国の世界で駆け抜ける主人公たちの物語を、ぜひお楽しみください。
<第0話 まだ誰も知らない未来>
京の外れ。
燃え落ちる都を背に、二つの軍が向き合っていた。
鉄砲の轟音が京の空を震わせる。
西の軍勢の旗には――
『織田木瓜』
室町幕府軍。
その中央に立つ男が、ゆっくりと笑う。
織田信長。
信長
「最初に会うた時から思うておった。
いずれ貴様とは刃を交えるとな――鎌倉公」
織田信長は、不敵に笑う。
その視線の先。
東から来た軍勢の旗は――
『上杉』
鎌倉幕府軍。
その中央に立つ男。
上杉龍義。
信長
(天下を壊した男)
龍義
(世界を変えた男)
信長が刀を抜く。
信長
「世界を取るのは儂か」
龍義も刀を抜く。
龍義
「国家を作るのは俺か」
火の粉が舞う。
――この戦いが始まった時、日本は二つに割れていた。
室町幕府は滅びず、
鎌倉幕府が復活していた。
そして物語は、ここから大きく時を遡る。
第一話 転生前
変な夢を見て目覚めた。
俺の名前は長尾景一(32)。
新潟の米農家の息子で、父いわく
「うちは上杉謙信の血筋だ」とのこと。
……でも一度も上杉家の親族会に呼ばれたことはない。
きっと遠すぎる血縁なんだろう。
そんな環境だからか、俺は物心ついたときから
歴史と戦史オタクになっていた。
戦国、日本史、ローマ、ナポレオン、中国史……
とにかく血が騒ぐ。
中でも特に好きなのが、
軍神・上杉謙信と、維新の英雄・坂本龍馬。
ゲームでは鉱山イベントが出るとテンションMAX。
当時の友達には「キモッ」と言われたが、
そのおかげで日本中の鉱山の位置を暗記した。
高校ではアーチェリー部。
大学は念願の防衛大学校に進み、
戦術・戦史にどハマり。
歴史を知る者だけが、生き残るのだ。
先生に褒められまくり、ついには首席卒業。
龍馬を敬愛していた俺は、迷わず海上自衛隊へ。
上司・同期・部下とうまくやれて、出世も順調。
ついには32歳で三等海佐(少佐)。
人生、まあまあ悪くなかった。
独身だけど。
<緊迫の瞬間>
そんな俺にも久しぶりにできた彼女。
――気が強いけど可愛い瀬沼環奈。
キスしようとした瞬間、
俺は心臓発作で死んだ。
……と思ったら、目の前に“神様”を名乗る存在。
どうやら俺は神様の手違いで死んだらしい。
お詫びとして「願いを叶える」と言われたので、
思わず言ってしまった。
「上杉謙信に会ってみたい」
神様は笑って言った。
「史実とは少し違う並行世界なら可能だよ。
運は……そっち次第だけどね」
そして意識が途切れ――
<運命の始まり>
俺は、上杉謙信の兄・長尾晴景の息子、
猿千代として転生していた。
つまり、
軍神・上杉謙信は、俺から見て叔父。
1507年。
俺が生まれる少し前、
祖父・長尾為景は守護上杉房能を討ち取り、
反対勢力を蘆名・伊達の援軍で押し返し、
新たな上杉定実(母方の祖父)を守護に据えた。
――祖父が“上杉家を下克上した直後”という、
上杉家が一番ゴタついてる、最悪のタイミングだった。
軍神の甥。
下克上の家。
戦国の渦中。
持ち前の戦術知識・軍事理論・海軍経験・鉱山知識……
全部使って、この危険な時代を生き抜いてやる。
そして尊敬する坂本竜馬が思い描いた日本を、
戦国の世から始めてやる。
日本の夜明けをもたらすのは――
俺だ。
本作は、戦国時代を舞台にした
異世界転生×国家運営ファンタジーです。
刀や奇跡ではなく、
人材と準備で戦国を動かす物語になります。
気に入っていただけたら、
ぜひ最後までお付き合いください。
(いつか、漫画やアニメで動く日を夢見つつ)




