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生贄に選ばれましたが、「菜食主義だから」と竜に拒否られ、なぜか成り行きで聖女になったようです ~“もふもふさん”と“超絶ちゃん”~

作者: 夜都 栞

『なんで、人間ってこう自己中なのかなあ……』


竜は困り切った表情でつぶやいた。


ここは、岩でできた天然の城。──伝説の魔獣・竜の棲み処だ。

美しく飾り付けられた娘が先ほど、村人たちによってここまで運ばれ、……そして放置された。


”村一番美しい娘”として、竜の花嫁──平たく言うと生贄に選ばれてしまったのである。


まあ、美しいことに異論はなく、守ってくれる家族も大事な人もなく、村での暮らしに何の未練もなかったので、娘は“これぞ美人薄命”と受け入れた。


その娘の目の前で、竜は両翼で頭を抱えている。


『自分にとって価値があるものは、竜にとっても価値があると勝手に思い込んでるんだよね。人間のエゴだよそれは!』


娘の背丈の三倍はあろうかという竜は、ドスンバタンと、のたうち回っていた。

美貌には自信があった娘だが、竜には通用しなかったようだ。


「申し訳ありません。私は気に入っていただけませんでしたか……。しかし、今から他の者は連れてこられません。なんとか私で妥協しませんか?」

『そういう問題じゃないの!』


竜はムキー!という感じで振り向いた。


『あのさ、例えばね?キミの元に、頼んでもないのに猿のボスから“群れで一番美しいオスです”って雄猿を捧げられたとしてね?猿と結婚する?』


(猿かぁ……)


『勝手に生贄を捧げるのも迷惑だけどさあ、少なくとも花嫁とか言うなら同種じゃない!?竜には竜じゃない!?』


(まあ、それはそう)


娘はぼんやり考えながら、ブチギレる竜を見守った。


『馬の妻にトカゲを選ぶ!? 鷲の夫に鮭をあてがう!? せめて両生類じゃない!? なんで哺乳類(ほにゅうるい)なの! 竜のストライクゾーン、“脊椎(せきつい)動物全般”って思われてる!?』

「へー。竜って両生類なんですね」

『今、そういう話してないよね!?』


確かに猿や豚を夫にと連れてこられても困るわね……と、娘は納得しかけ、ふと気が付く。


(……豚なら食べられるわ)


「あのぉ……、私が言うのもなんですけど、花嫁ってのは建前で、エサとして捧げられたのでは……」


『ボク、菜食主義なの!あと、人間って雑食だから臭くて嫌いなんだよね!それにエサって言い方、やめてくれる?そういうとこがほんっと人間!』


(あ、食べたことはあるんですね……)


『ボクは食べてないから!死んだじいさんに散々愚痴られて……それでボク菜食主義になったの!』


(じいさんは食べたんだ……)


ともかく、この竜は人間嫌いらしい。


「で、私はどうすれば……」

『できれば村に帰ってほしいんだけど。送るから』

「無理です。あの村に私の居場所はありません。また生贄にされるだけです。生贄体験は一生に一度で十分です」

『だよなーーー……、今まで来た全員、そう言うんだよなーーー』


ここらの村では古くから竜へ生贄を捧げる習慣があったが、特に娘の村では頻度が高かった。


「今までの生贄の娘たちはどうなったんですか?」

『ほとんど他の街まで送ったよ。そこで伴侶を見つけたり、商売や特技で立身出世した娘もいるし……“生贄にした村をぶっ潰す”ってウッキウキで去った娘もいたなあ。キミもそうする?』


人間嫌いのわりに、ずいぶんと面倒見が良い竜のようだ。


「うーん……」


娘の脳裏に選択肢がうかぶ。


>他の街で、絶世の美人として愛され玉の輿

>商売などで成功して美人経営者の成り上がり

>故郷の村を滅ぼして美人復讐者としてザマァ


(どれも面白そうではあるけれど……、いまいちピンとこないっていうか)


「そういえば竜さん、美青年に変身したりしません?そういう物語があって」

『フィクションと現実を混同しないでくれる?そもそも成体の両生類が哺乳類に変態するってどういう生態?』

「なんかごめんなさい……。魔獣だし、魔力とかでなんでもアリかなって」

『魔力ってあくまで、生物に元々ある力や自然の力を少し強化するだけだからね?夢みすぎないでね!?』


(ちょっとガッカリ……。まあ、ここは命が無事だっただけでヨシとしよう)


「すみません、今後どうするか決めるまで、しばらくここに住んでいいですか?」


村にいるときだって、物心ついたときには親もなく、村長に閉じ込められて放置され、檻の中で一人で生きていた。ここでもなんとかなるだろう。


『人道……竜道上、ダメって言うわけにいかないじゃん!今までの生贄も全員そう言ったし……」


やはり、かなりお人良し……お竜良し?──の竜のようだ。


『果実と木の実でよければ分けたげるし』

「えっ!?な、なぜですか!?」

『そんな驚く?』

「食べ物分けてくれるなんて、人間すら滅多になかったので……」

『人間って群れで生活する動物じゃなかったの?』

「周囲に人はいましたが、私は……一人でした」

『ふーん。ボクと同じだね』


さして興味もなさそうに呟くと、竜は丸まって眠り始めた。

──村人たちよりよほど人格者だ。竜だけど。


***


一方その頃、娘を生贄に出した村では、大騒ぎになっていた。


「あの娘を生贄に!?……なんてもったいないことを!」

「それが……いつもの占い師がやってきて、あの娘でなければならぬ、他の娘では竜の怒りをかうと言いまして……」


村長が緊急の要件で村をあけた隙に、生贄儀式は勝手に行われていたのだ。


「またあの占い師か!なぜワシの帰りを待たなかった!」

「証明札を持つ王宮付占い師ですし、急がねば今日にも村は全滅すると言われたものですから……」


この村には王都から通う専属占い師がおり、生贄の扱いや選択を決めていた。


「あの娘の美貌なら、育てて客を取らせるなり、横暴な領主の機嫌取りに差し出すなり……だから檻に入れて守ってやったのに!高く売るためには大事に扱えと言ったのもあの占い師だぞ!?」


村長は悔し紛れに地面を蹴りつけた。


「しかし、生贄になって帰ってきた娘はおりませぬ。諦めるしかないかと」

「ぬぬ……、だ、だいたいなぜ竜なんぞに……。この村の娘はこの村の男のモノであるはずだ!」


村長の叫びに、周囲の男たちも不満を噴きこぼした。


「た、確かに。俺だってあの娘を狙っていたのに!」

「そうだ! ワシだって後妻にしてやってもいいと思っておった!」


男たちは互いを胡乱(うろん)げな目つきで見やった。


***


娘はふいに悪寒が走り、身震いした。

何故か、村にいるときによく感じた、不穏で汚れた視線を思い出したのだ。


『今震えた?ひょっとして寒い?』

「いえ……多分、そういうのじゃないです」

『人間は恒温動物だっけ。ま、寒いならコレ使っていいよ』


竜はもふもふの毛並みに覆われたしっぽを、どんと娘の前に差し出した。

胴体や頭部は鱗で覆われているが、手足の先や尻尾にはふさふさした毛が生えている。


「でも、人間は臭いから嫌いなんでしょう?触れていいんですか?」

『キミは大分マシだからね。ひょっとして肉や魚はあまり食べなかった?』

「閉じ込められていた庭には植物しかなかったので……」

『ふーん。キミも菜食主義なんだ』

「主義じゃないですけど、……では、遠慮なく」


実はさっきから、このもふっとしたしっぽに触れてみたくてたまらなかったのだ。

指先で触れた瞬間、ふぁ……っとしたなんともいえないやわらかさ!


「竜のしっぽって……もふもふなんですね!」

『竜によるらしいけどね』

「そういえば両生類って変温動物ですよね。冬眠とかするんですか?」

『するわけないでしょ。竜、生物カースト頂点だよ?だから人間の言葉もわかるんだからね?』

「すみません……変温動物のことよく知らなくて」

『あと、恒温マウントやめてね?』

「え、ごめんなさい……??」


それマウントなんだ……?

異種間配慮の難しさに思いを巡らせながら、娘はもっふもふに包まれているうち、いつしか眠りに落ちた。


***


娘が次に目を開けたとき、とうに太陽は昇りきっていた。今まではどんなに疲れていても朝日と共に目を覚ましていたのに。


『起きた?しっぽしびれちゃったよ』

「……もふもふしゃん……、おはようごらいまふ……」


生贄として竜の足元にいるというのに、娘は生まれて初めて……心から安心して眠れた気がした。

今まで“安心できる他者”というものを、娘はほとんど知らなかった。──ずっと昔に、そういう存在がいたような気はするけれど、はるか遠い記憶は形を成さない。


『えっと、“もふもふ”ってまさかボクのこと?』

「そういえば、お名前ってあるんですか?」

『名前って、個体を識別するためにあるんでしょ?この国には、竜は他にいないから必要ないんだよね』


確かに、他の竜の話は聞いたことがない。


「この国には……ということは他の国には?」

『いるみたい。じいさんの代まではつきあいもあったらしいけど』

「会いたいとか思います?」

『別に。ずっと独りで生きてるし、それで別に不便ないし』


竜が言うには、人間と違い竜は一匹で生きるのが普通なのだそう。


『“匹”はやめてね?せめて“体”ね?』

「独りぼっち……ってことですか」

『”ぼっち”つけなくていいよね?単に、竜は強いから群れる必要ないんだよねー』


純粋に娘は羨ましかった。

自分も強くなれば……、いつかこの竜のように、自由に生きていけるだろうか。


「……じゃあ、とりあえず“もふもふさん”て呼びますね」

『どういう流れで“じゃあ”になるの?』


文句を言いつつも、竜は娘に与える果実を摘みに飛んでいく。


娘は少し伸びをすると、わずかに岩山に生えている木を触った──すると、ふわりと梢中の露が輝いて流れ落ち、すぐに器いっぱいに溜まった。

いつもどおりそれで顔を洗う。

小さな池も、いつも娘が覗き込んだ瞬間、波が消え鏡面となる。天然の鏡で娘は身支度を整えた。


──娘は幼少期より、なぜか水に不自由することはなかった。しかし娘はそれを当たり前のこととして、不思議に感じたことはなかった。

……何が「当たり前」なのかを教えてくれる人はいなかった。


(私自身が美しいから、飾り付けなくていいわよね)


派手な花嫁衣裳は脱ぎ捨てる。どんなに豪華でも、あの村で”死装束”として与えられた物を着ていたくはない。

今までの生贄先輩たちのおかげか、着替えや生活道具は城に十分残されていた。



ぐぅ~~~………。


娘が朝支度を終えお腹を押さえていたころ、ばっさばっさという羽音と共に竜が戻り、咥えてきた果実を枝ごと娘の前にどさりと落とした。


『ボクの残りだけど、あげる』


口いっぱいに果実をほおばる。──甘い!


「ありがとうございます、もふもふさん!」

(ひと)の呼び名を勝手に決めちゃダメって親に教わらなかった?』

「親がいたら生贄にされてないです、多分。……あ、でも」


こんな美味しい物を分けてくれるなんて……という感動をきっかけに、娘は思い出した。

村にいたときたった一人、柵の隙間からよく美味しい物や本を差し入れてくれた女の人のことを。

読み書きや言葉も、その人が教えてくれた気がする。


「その人は、竜は優しいって言ってました。竜が素敵な王子様に変身する本も、その人がくれたのです」

『それ、生贄にするための洗脳じゃない?キミどんな悲惨な環境で育ったの』


確かに、生贄に選ばれたときに強い抵抗感がなかったのは、村に未練が無かったからだけでなく、その洗脳のせいもあるかもしれない。


(でも実際に、もふもふさんは優しいよね?)


娘は、食べやすく栄養も考えられた果実の山を見て思った。


「まあ、檻で育った時点で生贄候補だったんでしょうね。──こんなに美しく生まれた以上、仕方ないかと」

『生育環境の割に、自己肯定感と自己評価めっちゃ高いね』

「ありがとうございます」



そのまま、なしくずしに娘は数週間を竜のそばで過ごすこととなった。


***


竜が分けてくれる果実や木の実を食べ、朝露を飲み、小さな池で身体を拭き洗濯をし、夜は竜のしっぽをベッドにして眠る……穏やかな生活が続いた。


(一人でも生きられると思っていたけれど……、実際はもふもふさんにお世話になりっぱなしね)


せめてもの恩返しに、城を片付けたり、竜の翼ではやりづらい細かい作業をすると、竜も喜んでくれた。


「竜の翼って、前脚とは別にあると思っていました。物語の挿絵ではこう、肩甲骨(けんこうこつ)あたりに生えているので」


以前からの疑問をぶつけてみると、竜は大げさにため息をついた。


『フィクションにケチつける気はないけどさあ。竜の翼って人間でいうところの手だからね?両手両足と別に肩甲骨からも腕が生えていたら、少なくとも四肢(しし)動物ではないし、もはや脊椎(せきつい)動物かも怪しいよね?』

「でも、ワンチャン肩甲骨が翼に進化する可能性は」

『数億年以上かかる可能性をワンチャン扱いされても』


娘はやがて、岩山のわずかな土に果実の種や豆を撒き、作物を育てるようになった。


『よくこんなところで育つね?ろくに雨も降らないのに』

「多分ですけど、植物を育てるのには向いていて……というか、水でしょうか。水の扱いが得意っていうか」


村にいたころから、元気がない植物も触れると水を吸い上げて元気になるし、土の水はけも思うように操ることができた。

そのおかげで小さな庭でも果実や豆を収穫でき、食べ物にはあまり困らなかった。


『ああ、そりゃキミには水魔力があるからね』

「……え?」


何気ない竜の言葉に、娘は耳を疑う。


「こ、こんなのが魔力なんですか!?もっとこう、派手に手から水流を出したり、氷の刃とばしたり……」

『物語の読みすぎ!キミのは水をちょっと操ったり調整できる力だね』


魔力の本もちゃんと読んだはずだが、物語の方が娘にとってはずっと魅力的だったのだ。


(こんなものが魔力なら……そりゃ、竜が美青年になれるわけがないわね)


娘はため息と同時に納得もした。


『なんか失礼な落胆してない?──魔力を持つ人間は珍しくないけど、たいていは特技と勘違いする程度かなあ。あ、でもキミの場合は……』


はっと竜は顔を上げる。


『ちょい待ち!!キミ、何持ってるの!』

「え?ああ、美味しそうだったので」


娘のポケットには、紫色のキノコが大量に詰め込まれていた。


『毒キノコだよ!!猛毒!』

「え、ええ!?」


慌てて娘はキノコを放り出す。


「これがキノコなんだ……」


村では、鍵付きの小屋と檻つきの庭で育った。そこにキノコは無かった。

檻ごしに見える空と、小屋にある最低限の家具。狭い庭にある僅かな木々と畑、たまに差し入れられる本──……それが娘の知る全てだった。


「ところで、もふもふさん、さっき何か言いかけませんでした?」

『毒キノコで忘れたよ!キノコは怖いから本当、気を付けてよね!』

「すみません。本では知っていたんですが……」


女の人が持ってきてくれた何冊もの本には、動植物に関する本も、魔力の本もあった。娘は暗記するほどに、何度もそれらの本を読みこんだが……、キノコの見分けもつかなければ、自分に魔力があることすら気づけなかった。

檻の中で育った自分には、所詮は紙の知識だったのか──。


(待って。でも、今なら──!)


娘は竜に駆け寄った。


「もふもふさん、考えたんですけれど、私って箱入り娘なので、人生を選べるほどの経験がないんです」

『キミの境遇を“箱入り娘”って言えるメンタルすごいね』

「そこで、お願いがあるのですが、私に社会勉強をさせてもらえませんか?」


竜は「???」という表情で、太い首をぐいっと傾げた。


***


その日から、竜は娘を背に乗せ、国中を飛び回ることとなった。


あるときは美しい森に飛び、果実をたくさんもいでは、木の上で一緒に食べた。


「美味しい~~~!」


娘にとっては初めての“他者との食事”だった。よく知ったはずの果実の味も、なんだか違って感じる。


「なんか、食べ物の感想を言える相手がいるって、いいですね!」

『そういうもん?……ああ、人間は群れるから』

「群にはいましたけど、あの人間たちには感想言いたくないですね」

『ま、個体差はあるよね』


そういうことじゃない気がする……と思いつつも、娘は竜のもふもふしっぽにもたれかかり、気のすむまで果実を食べた。

娘が、食事を共にすることを喜ぶので、竜はそれからなるべく隣で食事を摂るようになった。


また別の日は港町の近くへゆき、娘は生まれて初めて“海”を見た。

どこまでも続く水平線、船や港で働く人々。何もかもが新鮮な光景だった。

海面が夕焼けに染まってゆくのを、娘は竜の背から、声もなく見つめていた。


『夕焼けくらい村でも見たでしょ』

「──私が見ていた夕焼けは四角かったので……」


娘は、檻に切り取られた空を見慣れていた。


『ふーん?……まあ、確かに改めて見ると面白い現象だよね』


竜は、感動に共感はできないようだったが、娘の反応は新鮮なようだった。


それからも毎日のように“社会勉強”は続いた。



ある日は王都までも飛んだ。

故郷の村とは比べ物にならない清潔で美しい町並み、行き交う身なりの良い人々、色とりどりの屋根を持つ屋敷。

そして物語の挿絵でしか知らない豪奢な城が、現実のものとして眼下に広がり、普段食べ物以外にあまり喜怒哀楽を出さない娘も、さすがに興奮した。


『いたいいたい!背中の(うろこ)ひっぱらないでぇ!』

「えっ。ごめんなさい!鱗って痛覚あるんだ!?」

『髪の毛に痛覚なくても髪引っ張られたら痛いでしょ!』


申し訳なく思った娘は、数日かけて試行錯誤し、竜の身体を傷つけない柔らかい(くら)を作った。


『えっと、……乗り物扱い?一応人間の上位存在なんだけど、竜』

「いえ、私の反省と配慮と感謝です」


竜は微妙な表情をしたが、慣れない作業に傷だらけになった娘の指を見ると、ふいと横を向く。


『まあ、もう鱗を引っ張られたくないし……仕方ないか』



それからも、鞍をつけた竜と娘は、国中を飛び続け──。

……そしてある日、ずっと避けていた場所を、娘は口にした。


***


数か月ぶりに見る故郷の村──。上空から見ると、本当に小さくみすぼらしい村だった。


(あんな小さな村で、さらにその中の檻だけが、私のすべてだったんだわ)


世界の広さを知った今、娘は初めて、過去の自分を哀れだと感じた。

村人たちの姿も見える……、檻の中にいた時に、あんなに大きく恐ろしく見えた大人たちも、今はただ貧しく疲れた人々にしか見えなかった。


あの中の誰一人、娘を心配し気遣う人はいなかった──あの、たまに来る女の人以外は。


『どうする?復讐でもする?』

「……こんなくだらない村に、そんな労力かけたくないです。──帰りましょう、もふもふさん」

『ツッコミ疲れただけで、その呼び名認めたわけじゃないからね?』


ぶつくさ言いながらも、竜は普段より速く城へ舞い戻ってくれた。


「“もふもふさん”が嫌なら、他に呼ばれたい名前あります?」

『せっかく竜なんだから、ダークネス・ブラック・エンペラードラゴンとか呼ばれてみたいよね』

「可愛くないので却下です。体色が緑と赤なのに“ブラック”は意味不明ですし」

『うう……。キミにも変な名前つけたい……』


そのとき娘は、自分に“名前がない”ことにようやく気付いた。

村でも、呼ばれるときは「おい」か「おまえ」程度で不便がなかったのだ。



──城に戻ると、娘は竜のしっぽにもたれて崩れ落ちる。

久々の故郷は、予想以上に心を削ったらしい。家に戻った安心感で、ようやく呼吸が整った。

いつしか娘は、竜の城を“自分の家”だと認識していた。


(……でも、あの村を見ておいてよかった)


あの狭く寂れた村──それ自体が娘にとって檻だった。

外から眺めたことで、はっきり故郷と決別できたのだ。


(私は、檻の外に出た──)


『キミに変な名前つけたいけど、何がいい?』


娘の密やかな感動を竜がぶち壊してくれ、思わず苦笑する。


「名前は元々ないんですけど、たまに来てくれた女の人には、“超絶カワイコちゃん”とか“美人すぎる最強美少女”って呼ばれてました」

『キミの(むれ)、ヤバイ人間しかいなかったの?』

「あの人は群……村の人じゃないですね。王都から来たと言ってました」

『王都の人間もヤバイんだ……』


竜は呆れつつも、外見に関して妙に娘の自己評価が高い理由を知った。

もっとも竜に人間の美醜はまったくわからなかったが。


「でも、名前にするには長いですよね。“超絶”、“カワイコちゃん”、“美人すぎる”、“最強”、“美少女”……どれにします?」

『分割すればいいってもんじゃないけど。っていうか“超絶”って名前で本当にいいの?』

「あ、迷わずソレ選ぶんですね。“カワイコちゃん”とか“美少女”は不採用……。まあ、当たり前すぎて竜を“竜さん”って呼ぶようなものか」

『──やっぱ、“キミ”でいいや……』



竜の元に来て、すでに半年以上が経っていた。


娘は、今まで竜と共に見た広い世界を思い浮かべながら、自分がどこでどう生きるのか想像しようとした。

故郷は論外としても、どこか別の街で働いて、運が良ければ素敵な伴侶を見つけて……?


「この美貌なら、仕事には困らないでしょうし、伴侶だってすぐ見つかるでしょうけど……」

『竜が言うのもなんだけど、キミ、人間社会ナメすぎだよね?もうちょっと社会勉強しようか』

「そうしてもらえたら助かります」


娘は真剣に考えているつもりだったが、どう想像しても脳裏に浮かぶのは、

──竜の背に乗って飛ぶ自分。

──竜と木の上から森を眺める自分。

──竜のしっぽにくるまって眠る自分……。


(──ずっとこのまま、というのは……、無理なんでしょうね)


気の良い竜は娘に付き合ってくれているが、本来は人間嫌いだ。

面倒を見てくれているのも、社会勉強をさせているのも、自分を巣立たせるため……。


(いつまでも甘えているわけにはいかない)


娘が憂鬱な決意を固めていた頃──。

娘と竜の“社会勉強”は、人間社会に思わぬ影響をもたらしていた。


***


王都では、その日、深刻な会議が開かれていた。

──最近、毎日のように国のどこかで目撃されている竜についてである。


「竜伝説が本当だったとは……。民も怯えております」

「一部の田舎では、いまだ生贄などの野蛮な習慣も残っておりますし」

「少女を背に乗せていたという話もあるが、本当ならその少女が危険だ」


そのとき、会議室の端に座っていた女が静かに口を開いた。


「──恐れながら。あの竜は神獣にして吉兆の象徴。娘は、おそらく神獣に認められし聖女……。けっして手出ししてはなりませぬ」


一人の臣下が不快そうに振り向いた。

女は顔を薄いヴェールで隠し、身体全体もローブで覆われている。


「誰だ。重要な会議にこんな怪しげな者を入れたのは」

「かまわぬ。余が厚い信頼をおく者だ」


王の言葉に、臣下は慌てて頭を下げた。

新任の若き臣下は“王宮付占い師”を知らなかったのだ。


「十年以上前より、后を救う事故の予言を皮切りに、王子の病を癒す薬草を発見し、政局をたびたび助け、国の難事を大小いくつも解決してきた。その功績ゆえ、準王族として会議参加を許している」

「し、失礼いたしました……!」


占い師は気に留めることなく、淡々と続けた。


「竜が里や人々に害をなした報告は、一つもありません。……竜は国の宝にして守り神。民には安心するようお伝えを」

「確かに……。これだけ目撃があるのに実害が無いとは。伝説の竜は魔獣ではなく──神獣であったか」

「はい。ゆえに、竜や聖女に(あだ)なす者こそ、真の危険であり国賊。決して許してはなりませぬ。さもなくば、国の未来すら揺らぎましょう」

「なんと……!」


王は直ちに、竜と娘へのいかなる危害も禁じ、万一手を出そうとした者は厳罰に処すよう国中へ伝令を出すことを決めた。


「──ああ、この村だけは、私が直接伝えましょう。村長と懇意(こんい)にございますゆえ、その方が確実にございます」


占い師は、そう申出ると、ある村への伝令だけは止めた。


***


それから数日後の夜。

娘はいつものように竜のもふもふ……しっぽの中で、ぐっすりと眠っていた。


『キミ、ちょっと起きてよ』


ちょいちょいと竜の鼻先でつつかれた娘は、目をこする。


「……うぅ……これ以上、もふもふは食べられまふぇん……」

『え、ボクのしっぽ食べる夢みてる?』

「──ちょっと、これ何の音ですか?」


娘ははっと身体を起こした。

……普段は竜と自分しかいないはずのこの岩山の城が、妙に騒がしい。


『さあ……。ここに来るのは生贄を捧げに来る人間くらいだけど、こんな騒がしさは初めてだ』


岩山の上から見下ろすと──多くの松明がこちらへ向かってくるのが見えた。


***


数時間前──娘の故郷の村でのこと。

いつもの占い師が現れて、村長に告げた。


「緊急の知らせがあります。竜がこの村を狙っております。──竜は生贄だけでは満足せず、ついに人を襲うようになりました」

「な、なんだと……!?」

「先日この村の上空を飛びましたね? あれは下見だったのでしょう。……下手をすれば今夜にも……」


真っ青になった村長はガタガタと震え出した。


「ど、どうすればいいのだ!?た、助けてくれ……!」


占い師は、そっと村長の耳元でささやいた。


「竜は寒くなると冬眠に入ります。その前に蓄えようと、村を襲うつもりなのでしょう。しかし、すでに晩秋──竜の動きも鈍い。今なら間違いなく勝てます」


まもなく村長は、村中の男たちを集会所に招集した。

占い師の話を聞くと、皆、恐怖で顔をひきつらせる。


「あんなに美しい娘を捧げたのに……まだ足りぬと言うのか!」

「そ、それなら村中の女を差し出すのではどうだ……?美しい女はもうおらんが、老婆や醜女でも腹の足しに……」


何人かが頷きかけたところで、占い師は、残念そうに首を振った。


「むしろ最近は男を好んで食らうようなのです。ああ、村中の男を差し出すのなら、あるいは──」

「な……!?よ、よくもそんな非道を平気な顔で言えるな!?」


男たちは悲鳴のように叫ぶ。

しかし占い師は一歩前に出て、堂々と腕を広げた。


「皆さま。私の占いでは──男たちが憎き竜を討てば、必ず勝利できます。私の占いが外れたことは一度もありません!王都から莫大な報酬も得られましょう」

「……報酬……」


空気が変わった。


「竜め……俺たちから美しい女を奪い、ついには男までも狙うとは!」

「そ、そうだ!報酬をもらえるならば……!」


男たちの心は、次第に“竜討伐”へ傾いていく。


「ほ、本当に勝利は確実なのだな!?貴様が保証するのだな!?」


村長が泡を飛ばしながら叫ぶと、占い師は力強く頷いた。

そして朗々とした声で宣言する。


「皆さま!今こそ積年の恨みを晴らす時!あなた方なら必ず英雄となれます!」


──だが、ヴェールの下で浮かんだ薄い笑みを見た者はいなかった。


***


男たちは猟銃や(すき)(くわ)を手に竜討伐へと出立し、女たちは無感情にそれを見送った。


……この村が慢性的に困窮し、やたら生贄を捧げているのは、天候や災害のせいだけではない。


村長はじめ一部の権力者が利益を独占しているうえ、農作業も商売も昔ながらの非効率なやり方に固執しているからだ。

既得権益(きとくけんえき)を守るため、男たちは変化を徹底的に拒み……優秀な人ほど村を出ていった。


竜への生贄も──意味がないことに気づいている者は多い。

だが贄に選ばれるのは女ばかり、それも男親のいない者や身寄りのない者が中心だったため、惰性で続けられてきた。


それが、男たちに危険が及ぶとなれば急に竜討伐。しかも女たちには「おまえたちを守るためだ」と言い残していったのだ。

「残った女を全員差し出す」という提案を外でこっそり聞いていた女たちは、もはや冷笑する気にもなれなかった。


だが、女たちもまた男たちを責められる立場ではない。

奴隷の立場に甘んじて思考を放棄し、時折先進的な女が現れると、むしろ男と共に排除した。

惨めさに気づかずに生き抜くには、そうした存在を認めてはならなかった──、男たちはその愚かさを「女の敵は女」と喜んだ。


あの村に残っているのは……そういう者ばかりだった。


***


竜と娘は、山中に響く物音にただごとではないと判断し、とりあえず城の上空から状況を見定めていた。

……二十ほどの松明が、城を目指して少しずつ登ってくる。


『あれって、キミの村の人間たちだよね?』

「そうっぽいですね?なんか見たことあるような顔もいるし」


(次の生贄だとしても、人数が多すぎるわよね……?)


『ところでさ。だったら、あっちの大群はなんだろ?』


竜は空中で、くるりと逆方向を示した。

──百をゆうに超える松明が、同じく竜の城を目指していた。


「えっと、わからないですけど、……なんか軍隊っぽく見えます」

『待って、このまんまじゃボクの家で鉢合わせしない??迷惑ってレベルじゃないんだけど!?』

「竜さん!!」


突然、娘以外の人間の女の声が響いた。

驚いて竜と娘は、旋回しつつ声の主を探す。


──長い黒髪をなびかせ、岩山の上に一人の女が立っていた。


『あれ?その黒髪……』

「あなたは……!」


竜と娘は、同時に叫んで、顔を見合わせる。


『前に、ここを巣立った生贄のコだよね?』

「私に良くしてくださった女の人ですよね?」


そして、再び竜と娘は顔を見合わせた。


女は、黙ったまま、力強く微笑んでいた。


***


遡ること十二年前、王都──。


「じゃあね、優しい竜さん。私は王都で成功して、いつかあの村をぶっ潰すわ!」


艶やかな髪を風に躍らせ、女は竜に大きく手を振った。


『そうしてくれたら助かるよ。もうあの村だけだからね、生贄おくってくるの』

「はーい!……でも、それまで生贄は増えると思いますので、面倒みてやってくださいな」

『えぇ……』


笑顔を残し、颯爽(さっそう)と歩き出す女──。


──しかしその過去は、過酷だった。


彼女は少女時代に両親を失ったが、その美貌ゆえ男たちにチヤホヤされて育った。ある者は菓子を持ってきて世話を焼き、ある者は甘い言葉で遊びに誘った。

一方で、女たちは難癖をつけて男の邪魔をし、少女の前で菓子も捨てた。”女どもは若く美しい少女に嫉妬している”──そう男から教わった少女は、意地悪な女たちを嫌った。


しかしある日、男がくれた菓子をこっそり食べた少女は昏倒(こんとう)し……、気づいたときには、怒り顔の女に看病をされていた。──菓子に怪しげな薬が仕込まれていたのだ。

幸い、薬に乗じて少女を襲おうとした男は女たちがたたき出し、事なきを得ていた。


男たちの”親切”が、ただの醜い欲だったと知り、少女は強いショックを受ける。

しかし女たちとて、防波堤にはなってくれていたものの──けっして少女が頼れる相手ではなかった。


身体が回復するとすぐに追い出され、少女は村はずれのあばら家で、男と獣におびえながら育った。


***


それでも必死に生き延びた少女は数年後、……恋に落ちた。

村の男ではなく、旅の男に。


ヨソから来たその男は少女を“チヤホヤ”などせず、むしろ警戒を崩さなかった。

少女も例の件以来、男を恐れるようになっていたが……、互いの人柄を知るにつれ、二人はだんだんと惹かれ合っていった。


体ではなく“心”に価値を見出してくれる男に出会ったことで、少女は初めて、自分が“人間”であると知った。それはあまりに衝撃だった。

人間として愛される幸せ──、少女は、つかの間の幸福を味わった。


……しかし、少女が身ごもると、二人に地獄が訪れる。


「散々親切にしてやったのに、ヨソ者の子を(はら)むとは……淫乱な恩知らずが!」


村の男たちは連日、少女をあらゆる醜い言葉で(さげす)み石を投げるようになった。

女たちは産後までは少女を守ってくれたが、少女の身体が回復するとやはり距離を置いた。


──そしてある日。忽然(こつぜん)と恋人が消えた。


ヨソ者に(だま)された馬鹿女と(ののし)られながらも、少女は必死で彼を探し続け、──村人に殺されたのだと突き止めた時には、もう涙も枯れていた。


まもなく竜の生贄に選ばれ、ごく幼い娘まで取り上げられたとき──彼女は絶望のあまり感情を完全に失った。

そのまま、壊れた人形のように竜の城へと打ち捨てられ……。


『だからさあ! なんで人間は……!』


──そして、竜はいつものように頭を抱えることになったのである。


***


『キミ、あの時のコだよねえ!?なんで戻ってきちゃったの!?確か王都に送って……』


竜はそこまで話して、女と娘を交互に見た。


『……個体が増えた。“キミ”じゃ識別できない……』

「じゃあ、私のことはとりあえず“超絶”でいいです」

「では、私のことは“美人すぎる占い師”で」


二人の即答に、竜は思わず翼をバサつかせる。

頭を抱えたいが、両手である翼は飛んでいるので使えない。


『肩甲骨を翼に進化させる件、今後は前向きに考えるよ……』

「何を言ってるか全然わかりませんが、とりあえず状況を説明しますね」


自称・美人すぎる占い師は、岩山から竜の背に軽やかに飛び乗った。


「まず、あちらの少ない松明は、“超絶ちゃん”の故郷の村人たち。そして多い方は王都軍です」


(超絶ちゃん……)


娘は、人生で初めて与えられた自分の名に、ふわっと胸が温かくなった。


「名前って……いいですね!」

『人間のセンスって……。ま、まあ今はそれはいいや。なんでそんなことに!?何か知ってるの??』

「話すと長くなりますが──まもなく王都軍が村人共をひっとらえて、あのクソ村をぶっ潰します」

『ぜんっぜん長くないよね!? 長くなってもいいからもっと説明して!?』


わたわたと城の上空をふらつく竜の背で、占い師は竜を見つめる。


「……覚えていませんか?あなたと別れるとき、『村をぶっ潰す』と宣言したことを。──それを粛々(しゅくしゅく)と実行しているだけです」


そして彼女は、冷ややかな目を、遠くの村人たちへと向けた。


***


あの日──、幼い娘と引き離され、失意の中で竜の生贄となった女は、竜の元で少しずつ回復し、健康と心を取り戻していった。

……同時に、彼女の内には強い決意が芽生えていった。


(いつか、娘を助け、恋人の(かたき)を討つ──!)


しかし、一年以上かけてようやく動けるようになり、こっそり村に行ってみると、娘は無事ではあるものの、母譲りの美貌に目を付けた村長により監禁されていた。

目的はどうあれ一応守られてはいるが、すぐに助け出すのは難しい……。無茶をすれば娘ともども、どうなるかわからなかった。


──女は、最短で村への影響力を持つ方法から考えることにした。


「私、王都にゆき、占いで身を立てようかと思います。昔からなんかそれらしいことを言うと、だいたい当たるので才能あるかなって」


女は竜にそう告げた。


『それ、詐欺とか霊感商法って言わない?』

「高額な壺やお札は売らないからセーフね」


そこで女は竜よりとある事実を告げられた。


『そういえば、キミ、魔力あるよ』

「え!?」

『占いが当たっていたのはそのせいかも。予知系の魔力かな』


この国で魔力は珍しい存在ではないし、ほとんどの魔力はたいした効果を持たない。それこそ”ちょっと占いが当たりやすい”程度だが……。


『でも、キミの魔力はかなり強くなってる。なんで……?』

「じゃあ、壺を売らなくても成功できるわね!」

『売るつもりだったんじゃん!?』


やがて女は、王族の信頼を得る程に成功すると、顔を隠し“王宮付占い師”と名乗って、あの村へ出入りするようになった。

王宮の証明札があれば、誰もが彼女の言葉を信じた。


女は、不遇な少女たちを選んでは竜のもとへ送った。あの竜なら彼女たちを守ってくれると信じていたし、それは間違っていなかった。

──生贄が来るたびに頭を抱えるだろう竜には、少々申し訳なく思ったが。


娘にも、こっそり柵越しに会っては、出来る限りの食べ物や本を与え、生きるための知識を伝えた。

──少女だったあの頃、もっと知識があれば、せめて魔力に気づいていれば、恋人や娘を失わずに済んだかもしれないと、女は悔いていた。娘に同じ後悔はさせたくなかったのだ。


やがて娘が自立できる年齢になると、いよいよ女は娘を生贄に選んだ。……娘が怖がって逃げたりしないよう、幼少期から竜の良い話ばかりを伝えておいた。


竜のもとにいれば、娘は自分の人生を自分で選べるようになる──女はそう確信していた。



そして──、心に決めていた。

娘に、決して母親だと名乗らない。


恋人を殺し、娘を奪い監禁した村人たちへの復讐は必ず果たす。

しかし娘に、母が受けた仕打ちを……父は故郷の人々に無残に殺されたのだと……そんなことを知られたくはなかった。


──娘にだけは、これ以上の重荷を背負わせたくない。

復讐心など……暗く孤独な檻にすぎない。そこに囚われ逃げられないのは、自分だけで十分だ。


***


「えっと、じゃあ、あの村人たちと王都軍は、美人すぎる占い師さんの差し金なのですか?」


竜の背で、娘は無邪気に首を傾げた。


「そうよ、超絶ちゃん。……王都軍に村を潰させるために計画したの。私はあの村に並々ならぬ恨みがあってね!!」

『“美人すぎる”は省略しても個体識別できるよ……』


占い師は、村人たちを竜討伐にけしかける前に、王都にも伝令を出していた。


“あの村は私の言葉に耳を貸さず、あろうことか、神獣たる竜の討伐に出てしまいました。このままでは国に大災厄が襲い掛かります……、どうか手段を択ばず、卑劣で愚かな村人どもを止め、厳重な処罰を!”


『あのさ、それはいいんだけど、ボクの城でバッティングさせる必要あった??』

「大丈夫です。よく見てください」


占い師が差し示す先……、王都軍は竜の城ではなく、むしろ村に向かっていた。


「訓練された王都軍は、素人集団より遥かに速い……、竜の城より手前の森でぶつかるはずです」


果たして占い師の言うとおりの場所で王都軍は村人軍を包囲した。

占い師は厳しい表情でその様子を上空から見つめる。


「竜さん、私を王都軍の前に降ろしてください」

『いいけど、危なくない?』

「──お願いします」


竜は言われたとおり、王都軍の前に低空飛行を始める。


「おお……!伝説の神獣が……!」

「聖女も乗っているぞ!──神獣も聖女も、我らが守るのだ!」


王都軍の士気が一斉にあがった。一方、すでに王都軍に確保された村人たちは元々失っていた顔色を、いっそう白くする。


「あ、そういえば“竜さんは国を守る神獣、超絶ちゃんは聖女“って設定になってるので、なんかそういう感じでお願いしますね」

『どゆこと!?ボク、人間の国なんて知ったこっちゃないんだけど!?』

「“せいじょ”って何ですか?“便所”みたいなものです?」

『大分違うと思うよ』

「じゃあ、そういうことで!」


叫ぶなり、女は竜の背から飛び降りて王都軍の前に見事着地した。

王都軍から歓声とどよめきが上がり、指揮官は思わず叫んだ。


「あなたは王宮付占い師……!?神獣の背から舞い降りるとは……あなたも聖女の類であったか!」


すでに縛られていた村長も、占い師を見た瞬間に唾を飛ばした。


「お、おまえ……!こいつです!こいつがワシらを(そそのか)したんだ!ワシらはただ、野蛮な竜を退治に……!」

「黙れ!神獣と聖女に凶器を向けようとしたばかりか、何度も国を救った占い師殿に罪をなすりつけようなどと……、さらなる厳罰とする!」

「そ、そんな……!」


占い師はヴェールをとると、艶然と微笑んだ。


「お久しぶりです、村長。……ああ、若く美しい女にしか興味のないあなた方は、中年になった私はもうわかりませぬか」


村長はしばしぽかんとしたものの、……ようやく思い当たったのか、一気に顔をひきつらせた。


「お、おまえは……、まさか!だって、竜に……!」

「竜は本当に神獣でしたのよ。──まあ、あなた方に比べたらこの世の動物はすべて神獣ですけどね。畜生以下とはよく言ったもの」


低空飛行を続けながら、竜はつぶやいた。


『なんか失礼なこと言われてる気がする』

「褒めてますよ!珍獣だって!」

『“神獣”ね?……キミ、言語の勉強もまだまだ必要みたいね?』


占い師は、もう笑ってはいなかった。


「今回のこと以外にも、あなた方の悪行については細かく調査し、すべて王都に報告してあります。──もちろん、あの殺人についても」

「な、何を……!?……う、嘘だ!でたらめだ!」

「ああ、村に残してきた女たちについては心配なく。彼女たちは此度(こたび)のこと無関係のため、保護し別の村や町へ移住させます」

「保護!?なぜ女どもだけ……!?」


最低限とはいえ、女たちが守ってくれたことを、占い師は忘れていなかった。

……奴隷の鎖を外せば幸せになるとは限らない。あんな生き方しか知らない女たちは新たな地では苦労するだろう──。それでもあの村で生きながら腐ってゆくよりはマシになることを願うしかない。


()()()と出会わなければ、私も同じだった……、自分が人間だということすら知らなかった)


占い師は十年近い歳月をかけ、恋人を殺した計画に参加した者、知りながら傍観した者を調べ上げた。当然証拠もすべて集めてある。

──恋人が殺された理由はただ、“村の女に手をだしたから”だけだった。


(そんなくだらない理由で、よくもあの人を──!)


計画に反対した者、計画を知らなかった者も僅かながらいた──、そういった者には恩情をかけるように手配をした。

しかし、それ以外の者については──。


「当然、あの村は廃村となります」

「そ、そのような横暴……」

「村長、ご自分の命を心配した方が良いですよ。……陛下が寛大な処分をくださると良いですね」


決してそのようなことはない。それは占い師が一番よく知っていた。……村長には最も重い罰を与えるべきと王に進言したのは、他ならぬ彼女自身なのだから。

──恋人を亡き者にした首謀者こそ、この村長だったのだ。


もはや占い師は村人たちを(かえり)みることなく、美しい黒髪とローブを(ひるがえ)し、王都軍に向かっていく。


……しかしその瞬間、村長が縛られたまま見苦しく暴れ出した。


「ちくしょおぉぉぉ!!ワシらが何をした!?ハメられたんだ!そのペテン師を殺せ!!」


それに乗じて他の男たちも悪あがきを始める。

もちろん、それしきで王都軍が緩むことはなかった──。が、暴れていた男たちの罵声が、突如として悲鳴に変わった。


男たちが暴れたせいで、置かれていた松明の一つが倒れ……、またたく間に燃え広がったのだ。



『……ありゃ、まずいな』


上空から様子を見ていた竜がつぶやいた。

このところの晴天で、森は乾燥しきっている。

王都軍もこの事態は想定していなかったのか、慌てて退避を始めるものの……、燃え広がるスピートはかなり早い。


「大変!美人すぎる占い師さんが……!」


助けに向かおうにも、もはや王都軍に交じってしまった彼女を見つけることはできない。

それに、彼女だけを助ければいいわけでもない。


「もふもふさん、火を消すことは!?魔力とかでさっと!」

『ボクの魔力って風系統だから、むしろ燃え広げちゃうね』

「じゃ、じゃあ、私の水魔力……でも、あの程度の力じゃ……」


娘のささやかな魔力では雨を降らせたり水を出すこともできない……。しかも川や池は遠く、いくら竜でも、この勢いの炎を止められるほどの水は運べない。


(何か方法は……。知ってることを全部思い出さなきゃ……!)


娘は必死で考えた。

占い師が差し入れてくれた本には、風や雲、雨に関する本もあった──。


(確か、山火事が起きると雨が降りやすくなるって……、あれは何故だった!?雨が降る仕組み……雨雲はどうやってできる……!?)


本はほぼ暗記したのだ、──思い出せる!


「もふもふさん、風魔力で上昇気流ってやつを作れますか!?」

『ああ、なるほどね!』


竜は即座に娘の意図を理解したのか、その巨大な翼と魔力で、一気に上昇気流を作り出す。


「いい感じです!炎の熱になるべく風を重ねて、雲をつくってください!」

『あいよー』


竜は旋回しながら、竜巻のような渦で、雲の元になる空気を巻き込みつつ、さらに上空の冷たい空気をも引き込んだ。


「これでなんとか雨を……」


娘は祈るような気持ちで竜の背にしがみつく。


『あ、そうそう。前に言い損ねたけど、キミの魔力、相当強くなってるよ』

「えっ……」

『あの占い師もそうだったんだけど、どうやら魔獣の側にいると、魔力ってどんどん強化されるみたい』

「じゃあ!今すぐ私が大雨を降らせ……」

『あ、そこまでの力はない。言ったでしょ、夢みすぎないでって』

「……」


燃え広がる炎を眼下に、思わず言葉を失った娘に、竜はちょっとだけ目を細め、


『……キミ一人なら、ね』


と続けた。


『でも、ボクがいたら別!』


そう叫んで大きく旋回する竜の中央には、雲がすでにできかけている。


『ボクが作る雲の中に集中して!水蒸気を集めるイメージを作って!』


(水蒸気って、水が霧みたいになったやつ……、それを集めて、ぶつけて、大きくして……)


暗記した本の図を思い出しながら、必死で娘は雲に意識を傾ける。

竜は娘を落とさぬよう気遣いながらも、内心驚きを隠せなかった──、それほどに娘の魔力は強力になっていたのだ。


(お願い、雨降って──!美人すぎる占い師さんを、王都の人達を、森の動物たちを……、あと一応ついでに村人たちも……、守って──!!)


竜は目を閉じて強く祈る娘を背に、一際大きく旋回し舞い上がった。


(雨よ───!!!)


娘が片手を伸ばし……、雲に向かって突きつけると同時に、黒く重たく育った雲が一気に崩壊するかのように──大量の水がたたきつけられた。


***


炎に追われ一心不乱に退却していた王都軍は、ふいに薄暗くなった空を見上げた。

月が雲に隠れたのだ。


「見ろ!神獣が……旋回している」

「あれは……雨雲だ……!神獣と聖女が雨雲を……!?」


占い師も空を見上げた。


「竜さん……、超絶ちゃん……」


兵士たちが見守る中、娘の片手が空を切ると同時に、まもなく凄まじい勢いで、雨が降り出す。

森から喜びの歓声があがり、豪雨は火が完全に消し止められるまで続いた。


やがて夜明けの頃……、無事を喜び合った兵士達が見上げる天空には、雲の切れ間から差し込む朝日に照らされた竜と、その背に立つ少女の姿があった。


「なんと、神々しい光景……」

「まさに神獣と聖女……!素晴らしい奇跡で我々を救いたもうた……!」


ある兵士が思わず(ひざまず)けば、それに続き祈る者が続出する。


竜と娘──“もふもふさん”と“超絶ちゃん”が、“神獣と聖女”だと人々に完璧に認められた瞬間であった。


***


その夜、娘は熱を出して寝込んだ。

意識して魔力を使ったのが初めてだったため、心身に負荷がかかったのだ。


竜はしっぽをベッドとして提供しつつ、なんとか果実を娘の口元に運んでは看病をしてやり……、数日後にはようやく娘は回復した。


さらに数日がたった頃に、占い師が再び竜の城にやってきた。


「どうも、その節はありがとうございました」


あの火災では、村人も含め死者や重傷者は出さずに済んだそうだ。

王都もようやっと神獣騒ぎが落ち着き、村人たちもしっかり収監されて厳しい処分を待つのみ。村の女たちの保護や移住の手配も順調に進んでいる。


「それはよかったです」

『人間的には良かったんだろうけどさあ』


無邪気に喜ぶ娘に対し、竜は不服そうだ。


「ええ……、本当にごめんなさい。いろいろと想定ミスだったわ。私の予知もまだまだですね」

『火事はさあ、仕方ないよ。なんとか消せたしさ……でも、』


竜は口をとがらせ、占い師も少々疲弊している……この城の中にたどり着くまで、大変だったのだ。


『この始末をどうしてくれるのさ!!』


岩山の城の隙間から、城をとりまく大量の人間たちを眺めて、竜はわめいた。


***


事と次第を知った王は、いたく感動し、神獣と聖女の起こした奇跡の物語は、たちまち王都を中心に国全体に広まっていった。


そうして……、わずかな期間のうちに、竜の城はすっかり、“巡礼聖地”になってしまったのである。


噂の神獣にあやかろう、聖女の顔を一目見ようと、人々が押し寄せる。

竜は娘に決して外に出ないよう言い含めた。しかしそうなると食料調達すら困難となる。


『なんで勝手にボクらの設定盛ったの!?しかも住所特定されてるし!!』

「そうしないと王都軍もあなた方を討伐しかねなかったので……」

『なんで無害な竜を!?人間こわ!』


しっぽの中で娘がしょげた。


「ご、ごめんなさい……。私がもふもふさんに、あちこちに飛んでもらったせいですよね」

「超絶ちゃんは何も悪くないんですよ!」


慌てて占い師は病み上がりの娘をそっとなでると、改めて竜に向き直った。


「で、提案なんですけど。この際です。あの村も無事ぶっ潰したことですし、ここから旅立っては?」

『えぇ!?そんな勝手な!』

「……でも、あなたが不要な生贄に頭を抱えつつも、ここに棲み続けたのは、あの村の生贄の面倒をみるためですよね?」


騒いでいた竜は黙り込んだ。


「あなたはいつだって、どこにだって行けました。でも自分がいなくなっても、生贄は惰性で続き、娘たちは岩山で行き倒れになる……。優しいあなたはそう考えて動けなかっただけですよね」

『別に……そんなんじゃないけどさぁ』


そっぽを向いてしまった竜に、占い師はにっこり笑った。


「大丈夫です。私から王には上手く説明しておきます。奇跡を起こした竜は同じところには留まれないけれど、国への加護は消えないとかなんとか」

『ボクらの設定、ご都合主義すぎない?』

「……あの、もふもふさん」


しっぽの中で黙っていた娘は、遠慮がちに竜を見上げた。


「私……、よくよく考えたんですけれど、やっぱりまだまだ勉強が足りません。魔力があることもわかったし、もっとたくさんのことを知りたい……。他の国にも行きたい、もふもふさんの仲間にも会いたい……。何より、」


娘はふりしぼるように、言葉をつなげた。


「もう一人で生きていきたくない……」


一人で生きていけると思っていた、生きていけるようになりたかった。

でも……、竜との生活を続けるほどに、娘の気持ちは変わっていった。


竜と占い師は、じっと娘の話に耳を傾ける。


「そこで、四つ目の選択肢を選びたいのですが……」

『四つ目?……あの、まず他の三つを知らないんだけど』


娘は、初めて竜に出会ったときに考えた選択肢を説明した。


>他の街で、絶世の美人として愛され玉の輿

>商売などで成功して美人経営者の成り上がり

>故郷の村を滅ぼして美人復讐者としてザマァ


『なんですべてに美人って入ってるの……』

「さすが私の……超絶ちゃんですね!わかってる!」


あやうく”さすが私の娘”と言いかけた占い師は、慌ててごまかした。


「三つ目は私がやっておきましたよ!」

『反省してないよね!?……で、四つ目って』


娘は竜のしっぽにぎゅっと抱き着くと、必死の決意を竜に告げた。


「“竜と共に旅を続けて、竜伝説に登場する美人すぎる聖女になる”……です!」


竜は一瞬大きな眼を見開くと……ふっと、ため息とも苦笑ともつかない息を漏らした。


***


そして、そこから約一ヵ月後。

よく晴れた早朝に、竜と娘は出発した。


「美人すぎる占い師さんもお元気で!」

「ふふ。超絶ちゃんもね」


そして、ふいに占い師は娘を抱き寄せる。

……これが、最初で最後だからと、自分に言い聞かせながら。


「……どこででも、あなたなら強く自由に生きていけるわ」


強く抱きしめられた胸のぬくもりに、一瞬遠く懐かしい記憶が蘇りかけたものの、娘はただにっこりと笑った。

占い師は竜を見上げる。


「竜さんも……本当にありがとう」

『別に今生(こんじょう)の別れみたいにしなくても、ボクはいつでも帰ってくるよ。君らと違ってひとっとびだしね』


竜の寿命は千年を軽く超える……、人間との数年の邂逅(かいこう)は、竜にとっては一瞬のことだろう。

それでも、占い師は竜の翼にそっと触れ……別れを惜しんだ。


竜と娘の姿が彼方に消えるまで、じっと見送った占い師は、朝焼けの空につぶやく。


「どうか元気で……。──レシリア」


それは、最後まで娘には告げなかった……母として娘に贈った、彼女の本当の名前だった。


***


『ところでさあ、キミどこか行きたいところとかあんの?』


だんだんと光を帯びる空を飛びながら、竜が娘に尋ねた。


「えーと、その前にですね、やっぱり“キミ”じゃなくて、個体名は必要だと思うんです」

『なんで。今はキミしかいないから識別不要じゃん』

「でも……、うまく説明できないんですけど」


娘は自分でも首を傾げながらたどたどしく話す。


「美人すぎる占い師さんのことを、もふもふさんが“キミ”って呼んだとき、なんかモヤってしたんです。……呼び名って、やっぱり個体ごとに必要ですよ」

『何それ?意味わからないんだけど』

「ですね。私もわかりません。なので、私のことは“超絶ちゃん”でお願いします」

『相変わらず接続詞おかしいね!?』


娘は、落ちないように気を付けながら、竜の顔を覗き込んだ。


「もふもふさんこそ、本当に良かったんですか?人間嫌いだし、一匹狼が性に合ってたんですよね?」

『竜に狼って』


しばらく考え込むと竜は、独りごとのように言葉を続ける。


『……まあ、心境の変化っていうか……。キミとしばらく一緒にいてさ、匂いにも慣れたし……、一緒に食事したり夕焼けを見たりすると、変わった感想も聞けるし……、一体じゃできないこともできたし……、』


眼を細め、竜はなるべく何気ない風につぶやいた。


『まあ、”一体と一人”で生きるのも、そう悪くないかなって』

「……」


朝日に照らされる竜の顔を見つめたまま、言葉を失ってしまった娘に、竜はかすかにみじろぐ。


『な、何?黙んないでよ!?』

「いえ──」


娘は破顔すると、竜の背にあらためてしっかりしがみつく。


「いつか“美人すぎる聖女”を名乗れるよう頑張るので、よろしくお願いします!まだちょっとだけ実績足りないので」

『ちょっとだけって……、相変わらず自己評価高いねえ』

「ええ!……あなたの相棒ですもの!」

『わわ、いきなり首に抱きつかないで!くすぐったい!』

「ご、ごめんなさい…!」


一面に広がる浅葱色の空の中、一体と一人は、どこまでもまっすぐ飛んでゆく。



──それから、”もふもふさん”と”超絶ちゃん”は世界中を旅し、たまのトラブルと時々の奇跡、そしてそこそこ平和で穏やかな日々を楽しみ──、各地に「神獣と美人すぎる聖女」の伝説を残すことになるのだが、それはまた別のお話。


***

おしまい


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― 新着の感想 ―
凄く良かったです。 二人の少しズレた掛け合いが笑えて可愛くてほのぼの。
竜のキャラが凄く良いですねぇ 短編としても傑作だと思いますが、シリーズ物として連載が読みたい気もします
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