第2章 第2話 推し
「つかれた……」
パトカー内での取り調べを受け精神的に疲労した俺は、そのままの足で校舎裏に行きしゃがみ込む。昼食……は取り調べが長引いたってことにして授業をサボればいいか。5限は体育。その時間は充分にある。
『おにぃ、歩夢さんからメッセージ来たよ。後輩が失礼なこと言ってごめん。きつく注意しておくって』
青葉に癒してもらおうと思っていると、ちょうどメッセージが届いた。
『歩夢さんの連絡先知ってたの?』
『ううん。たぶんおにぃのフォロー枠から飛んだんじゃないかな。たぶんおにぃにも連絡来てると思うけど』
何もしていなくても1時間に100以上は通知が来るため、青葉からの連絡以外は全て通知をオフにしている。苦戦しながらメッセージを確認していると、確かに歩夢さんっぽいアカウントから謝罪の連絡が来ていた。俺がフォローしているのは数十人だけ。辿ろうと思えば辿れるか。通知を解除し、気にしないでくださいと送信する。
『あと今度ごはん行こうって。歩夢さんと会ったの?』
『たまたまな。ごはんなら近所のファミレスかな。ちょっとくらいは高いところでもいいけど』
『じゃあ歩夢さんに日程聴いておくね。もう何年も会ってないから楽しみだなー』
『そうだな』
相変わらず青葉は純朴でかわいいなー……癒される……。
「ことこまかー」
まだ昼休みは時間がある。どこかでビデオ通話できないかな。青葉の声が聴きたい……顔が見たい……。
「ことこまかー! ちょっと聞いてますか佐藤先輩! 挨拶してるんですけど! おーい! おもうとさーん!」
「!?」
突然俺のアカウント名が叫ばれ、慌てて顔を上げる。そこにいたのは見覚えのない女子生徒。セミロングの髪は栗色に染まっていて、軽くではあるがメイクもしている今時っぽい感じのかわいらしい女子だ。いや見た目なんてどうでもいい。
「おもうと……? な、なんのことかな……俺は推しとやり取りしてニヤニヤしてる陰キャですけど……」
「知ってますよ見てました。わたしのおもうとさんへのイメージまんまです」
駄目だ……バレてる……ん? 今悪口言われてた? いやそんなことより……。
「君……誰? 新しいクラスの人……?」
「はぁ。ダメですよー、先輩。同じクラスの人くらい覚えなきゃ。まぁイメージ通りでよかったです」
なぜか女子生徒は軽く喜ぶと、一回転して手のひらを額につけて挨拶する。
「はじめましてことこまか! ことここと由比ヶ浜琴です。『俺の妹』さんの古参ファンやってます! どうぞよろしくお願いします!」
1000pt突破ありがとうございます!!! なので感謝の本日二話更新させていただきます(長くなっただけとも言う)! 午後に更新しますのでお待ちいただければと思います! おもしろいと思っていただけましたらぜひぜひ評価やブクマ押してお待ちください!




