表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
噛ませ犬スキルで異世界転移 〜俺が本当の相棒に出会うまで〜  作者: 二階堂次郎
第3章 砂の都 グレイブル
23/48

第23話 砂上の楼閣

「だぁーー! 遠い!」


 シズヨに別れを告げ、アプリナの町を出てからおよそ三時間、俺は歩き通しだった。

 自動車や電車があるはずもない、この世界の移動手段は主に馬車だ。

 馬、というか、馬にそっくりで赤い立髪を持つモンスター、ヒヒーマに荷車を引かせ、荷物や人物を運ぶのが主流とされている。

 

 であれば、ヒッチハイクよろしく次の街まで乗せていってくれと、すれ違う荷馬車の御者に交渉してはみたのだが、生憎、この世界で荷馬車に乗り込もうとする輩は強盗だと相場が決まっているそうで、すげなく断られてしまった。

 異世界に来ると、本当に現代日本の治安の良さを痛感させられる。

 だが、勇気を出して声をかけたおかげで、次の街の名前と道筋は教えてもらうことができた。


 水の都、グレイブル。

 どうやら巷ではそう呼ばれているらしい。


「水の都とか言って、深海にある都市とかじゃないだろうな……」


 だが、ここは異世界だ。なんだってあり得る。

 街の中が水浸しになっている、くらいはあり得るかもしれない。


「でもこのままだと、この目で見る前に行き倒れになりそうだ……」


 この世界の道は、とにかく歩きにくい。

 元の世界のコンクリートで作られた真っ平らな道に慣れてしまっているからだろうか、ゴツゴツしていたり、デカい石が転がっていたりして、普通に歩いていると転びそうになる。

 

 おかげで、この世界に来た時に履いていたスニーカーはすっかり履き潰してしまった。今はこっちに来てから買った革靴を履いている。

 できることなら、コンクリートとは言わないまでも、砂のように柔らかい道を歩きたいものだ。


「まあ、砂漠地帯を歩くなんて、それこそ干からびて行き倒れになりそうだけど──って、なんだこれ?」

 

 ジャリ、という踏み締めた足の感触が雄弁に物語っている。

 それは、まさしく砂だった。

 砂の道だった。


 顔を上げれば、この先ずっと、砂の平原が広がっているのが目に入った。

 そしてその先にあるのは、宮殿のような巨大な建造物。


「おいおいマジかよ……」


 俺は疲れも忘れて、その石造りの白い建物の方に向かって走り出した。

 砂に足を取られないように気をつけながら、一歩一歩着実に進んでいく。

 やがて城壁が現れ、その全貌が露わになるった。

 石畳の道。草一本生えていない街並み。賑わう人々。

 そこには水どころか、水分の片鱗すら見えない。

 まるで、アラビアンナイトの世界に迷い込んだかのような、まさに砂の都とでも呼ぶべき街。


「ようこそ、グレイブルへ!」


 城壁のそばに立っていた番兵が声を上げた。

 聞いていた話と随分違うが、真相は中に入ってみればわかることだ。

 それに、これだけ発展した場所ならばきっと、ダンジョンがある。

 俺は覚悟を決めて、街の中へと一歩足を踏み入れた。

読んでいただきありがとうございます!

もし少しでも続きが読みたいと思っていただけましたら、ぜひブックマークをよろしくお願いします!

その上☆☆☆☆☆までしてくれると、とても嬉しいです!

励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ