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噛ませ犬スキルで異世界転移 〜俺が本当の相棒に出会うまで〜  作者: 二階堂次郎
第2章 死者の町 アプリナ
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第12話 チグハグパーティ

 さて、もう少しだけ狩るか、と俺がダンジョンの通路を進んでいると、遠くから複数人の足音と装備の揺れるガシャンガシャンという音が近づいて来るのが聞こえた。


 咄嗟(とっさ)に骸骨兵士かと思った俺は通路の曲がり角の柱の陰へと身を隠す。いくら錆びた剣を振るう骸骨たちでも囲まれて滅多切りにされたらタダでは済まないし、万が一急所に当たれば死ぬことだってあり得る。戦わないことも生きるためには必要だ。


 俺はジッと息を潜めて足音が去るのを待った。

 すると、複数人の話し声が聞こえてきた。当たり前だが、骸骨が喋るわけがないので、他の探索者達だろう。ロストダンジョンで探索者に会うのは珍しい。少なくとも俺は初めてだった。


 柱の陰から覗くと、彼ら姿が見てとれた。まだ子ども。13歳くらいだろうか。男女合わせて5人で男が1人多い。俺が言うのもなんだが、探索者としてはかなり若い部類に入るだろう。

 そして一番不思議だったのが、一様に装備がチグハグだったということだ。ある物はアーマーが身体より大きく、ある物は杖だけでだけでそれ以外は普段着だ。


 察するに、彼らは俺と同じ新米探索者なのだろう。おそらく普段つるむメンツでパーティを組んだはいいものの、装備にかけられる予算が少なく、このようなおかしな装いになってしまったのではないだろうか。

 それにしても、もう少しなんとかならなかったのかとは思うが。


「ダメだ……。ロストダンジョンならなんとかなると思ったけど、まだボーン一体も倒せてないぞ」


「仕方ないよ、いつもなんか変なモンスターに追いかけられるんだもんな」


「どうする? 感謝祭までもう日がないよ」


「文句言ったってしょうがない。とにかく金を稼がなきゃ」


 こんな狭い通路では話し声なんて嫌でも聞こえてくる。


 ロストダンジョンはクリアされたダンジョンの残滓(ざんし)、女神の力の残りカスだ。普通のダンジョンと変わらずモンスターたちは排出されるが、ドロップするのは硬貨だけ。地形は変わらず、財宝も出現しない、普通の探索者たちなら潜る意味のない場所だ。


 にも関わらずここにいるということは、彼らにも何か事情があるわけで──


(下手にバッティングしない方が賢明だろうな……)

 

 俺は彼らが通り過ぎるまで柱の陰で息を潜めることにした。


「とにかく、もう少し狩ってみようぜ。一体のやつを狙うんだ」


 おそらくリーダーの少年が声をかけ、彼らは俺に気づかずに通路の奥へと進んでいった。


 彼らの話し声が聞こえなくなるまで離れたのを確認して、俺は柱の陰からのそりと出てきた。

 彼らの安否は少し心配だったが、メンバーの一人は魔法スキル用の杖を持っていた。であれば術師が倒れない限り死人が出ることもないだろう。

 それに、ひとの心配をしている場合でもない。今日の食い扶持は稼げたが、まだ日暮れまではいくらか時間があるだろう。もう少し稼いでおいても損はない。


(仲間……か……)


 俺は彼らが向かったのと逆方向へと歩き出した。

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