登場人物一覧 五十音順
こちらは五十音順の登場人物一覧です。
再登場した人物を思い出すときにご利用ください。
アーバン・ビアス・リードヴァルト
リードヴァルト男爵家の三代目。アルターの父親。
帝国の東方、バロマット王国との国境を守護するリードヴァルト家の当主。
初代と先代はバロマットとの紛争で活躍した英雄で、新興貴族ながら帝国内で一目置かれている。
現当主のアーバンは英雄の器ではないが、少しでも近付けるよう、今も鍛錬は欠かしていない。
アデリーナ
500年ほど前に活躍した錬金術師。
鑑定系の上位スキル『解析』の保有者で、その希少性は『魔術の神髄』に次ぐ。
ハーゼル統一王国に仕えていたが、暗闘に嫌気が差し、表舞台から姿を消した。
他国に逃げたとも、逃げ切れずに殺されたとも言われている。
アルター・レス・リードヴァルト(杜 典己)
本編の主人公。帰宅部のエースを自認する、ちょっとおかしな若者。
とある高校の二年生だったが、謎の子犬を助けようとしたことで命を落とす。
その後、狩猟の神を名乗る小太りにヴェリアテスと呼ばれる世界へと送り込まれ、貴族としての生活を始める。
チートは『成長力増強』や飛び抜けて高い潜在能力など、地味ながら強力。
圧倒的な速度で翻弄する戦い方を得意とするが、それ以外は物足りず、相手によって手こずることも多い。
アルファス・カルティラール
750年ほど前に活躍した伝説の魔法使い。
稀少中の稀少スキル『魔術の神髄』の保有者で、史上最強の魔法使いと言われている。
セレンへ移り住むと、魔法ギルドの改革や壁ゴーレムの敷設などを実行、セレンを自治都市に変貌させた。
盟友と呼ばれた英雄ラプナス、賢人テルパー、傀儡師ククラと共に、多くの逸話を残す。
若くして夭逝すると、彼の名を冠したカルティラール高等学術院が創設された。
アンベル
セレンに拠点を移してきたCランク冒険者。
『破翔』の神聖系の魔法使い。
回復と支援に特化しているため、攻撃力は極めて低い。
一応、細身の小剣とバックラーを携行しているが、彼女が戦うときは仲間が追い込まれたときか、壊滅寸前である。
それでも回復魔法使いは稀少なので、ランクが低かった頃は引き抜きの話が後を絶たなかった。
イェーヴァ・レイシン
セレンの評議員。三大学院の一つ、ラプナス学術院の学院長。
きつい目付きの老女で、ラプナスの学院長を長年にわたり勤めている。
見た目や言動と異なり、中身は善人。
カルティラールのコルミスとは腐れ縁であり、たまに会っては茶飲み話に花を咲かせている。
イスター
セレンを代表する鍛冶師。
ラウリ率いるラルセン商会と取引しており、甲犀の剣とスティレットの手入れを依頼された。
製作者のエギルより実力が劣るため、当初は難色を示したが、腕試しのつもりで引き受け、無事に成功、それからは一任される。
イスミラ
セレンで活動するDランク冒険者。
魔法使いで、『万年満作』の仮メンバー。
帝都出身だが早くに両親を亡くし、パン職人の叔父に育てられた。
叔父夫婦との仲は良好だったが、普通の生活が肌に合わず、独学で魔法を習得して冒険者となる。
自分の実力不足を誰よりも理解し、常に斥候並みの情報収集を行っては分析している。
ただ、そんな分析は周囲に向けられることもあり、仲間に恵まれなかった。
そしてソロで活動中、魔物に殺されかけたところをゼレットに助けられる。
ゼレットへの借りと苦労人のコーパスに同情し、気付けば『万年満作』と行動を共にするようになった。
本人は助っ人と言い張っているが、冒険者ギルドの職員からは「真のリーダー」と呼ばれている。
ヴァレリー
リードヴァルトを中心に活動するCランク冒険者。
『破邪の戦斧』の遊撃。
マーカントと同じく、エズドル子爵領クレンズリーの村出身。
家業の農家がよくゴブリンの被害を受けたため、ゴブリンや農作物を荒らす魔物には苛烈な対応をすることも。
とある部分がとても立派で、作中でも随一。
あまりの立派さに『遙かなる双峻』という称号まで獲得している。
愛用の武器は「アルア・セーロ」というショートソードで、水属性の能力を複数保有する強力な魔道具。
ヴィエヌス
750年ほど前に活動した魔法使い。
アルファスを慕い、勝手に集まった弟子の一人。
まるで才能のない若者だったが、人並み外れた努力家で徐々に頭角を現す。
アルファスの死後は、ユークスと共にセレンの自治に尽力した。
彼の名は、カルティラール高等学術院でクラスの分類に使われている。
ヴィルサス・マクスノルト
リードヴァルト騎士団の従騎士。やや大柄な若者。
ラキウスと同年代で、行動を共にすることが多い。
父親はリードヴァルト騎士で、魔物との戦いで負傷し引退。
跡を継ぐには若すぎたため、従騎士として鍛錬を続けている。
性格は引っ込み思案。
ヴェロット
セレンに拠点を移してきたCランク冒険者。
『破翔』の交渉役兼斥候。
柔らかい物腰と柔和な風貌の持ち主で、交渉力、判断力がずば抜けている。
ただ斥候としては、かなり実力不足。
交渉やポーション作成など、日常での貢献が彼の役割である。
ヴォークル男爵
ヴォークル男爵家の当主。トルタス・デュクラ・ヴォークル。
パイクス、シーラの父。フリーデ(アルターの叔母)の夫。
ヴォークルは帝国のやや西方に位置する。寄親はラズインルッド伯。
先代の男爵がリードヴァルト男爵フォルスの武名に惚れ込み、ブラスラッド侯を介してフリーデを息子(現男爵)の妻に迎え入れた。
しかしフォルスと先代が相次いでなくなり、フリーデもシーラを産んだ直後に夭逝すると、次第に付き合いは遠退き、疎遠となる。
ウォルバー伯
帝国南東部、セレンの東側に領地を持つ伯爵。ロウティス・ネリエット・ウォルバー。
皇帝派で、ルシェナの父親。
北のタクラズ子爵と対立しており、セレンの難民増加を加速させている。
拠点のウォルバーから離れるほど領内の評価は低下し、テッドたちが住んでいた辺境のノイル村では、村が壊滅する前から嫌われていた。
エギル
リードヴァルトを代表する鍛冶師。
職人の良いところと駄目なところを煮詰めたような男。
恐ろしく気難しい性格で、上位者が相手でも態度をほとんど崩さない。
土地が土地なら、領主と鍛冶師ギルドの抗争になりかねない人物。
経験に裏打ちされた高い技術力を誇る。
エサルド・サイジート
評議員であるリスリアの夫で、優れた錬金術師。
若くして逝去したが、存命なら評議員に選ばれていたほどの才人。
エジム・アトルクス・シーテム
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの一学年上で、シーテム子爵家の三男。
合同演習ではエジム隊を指揮し、ソーバル隊と戦った。
無難な戦術を好みながらも、柔軟性も併せ持つ。
『エズラス』
セレンで活動するDランクの冒険者パーティー。
ハレイストの指揮下に入り、一年目の前期野外演習で護衛を務めた。
機動性重視の構成で、リーダーは遊撃のディッケル、前衛のガルク、同じく前衛のローウィン、斥候のハンネの四人。
エフルト
リードヴァルトで出会うCランク冒険者。
『深閑の剣』の遊撃兼前衛。
帝国の出身で、父親は商人の屋敷に勤める使用人。
幼い頃に商人が没落し、父親は失業。路頭に迷ってしまう。
幸い、すぐに父親の再就職が叶って貧困の時期は短かったが、そうした経験から安定した人生を求める傾向が強い。
ただ、あまり器用でなく、仕事を探しているうち、巡り巡って正反対の冒険者になってしまう。
その後、ピドシオスと出会い、徹底して戦闘を避ける生き方に感銘を受け仲間になる。
戦闘では王道スタイルの軽戦士で、最前線で暴れ回るサルマのサポートが仕事。
また物腰が柔らかいので、交渉に向いている。
エミリ
セレンの貧民街に住む少女。ボータスの娘、ジニーの友人。
アルターの自宅裏にある集合住宅で祖母と暮らしている。
母親は失踪、父親のボータスは健在だが、事情があって一緒に暮らしていない。
クインスとカイルに出会ったことで冒険者を目指しはじめるも、武芸はもとより、魔法の才能もない。
エリオット
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、父親はフィルサッチの大店、タナール商会の重鎮。
商会の護衛に感化され、幼い頃から冒険者になることを夢見ていた。
戦闘は王道スタイルで、才能もなかなか。
状況を見極める知識と冷静さを併せ持つが、勢いや強引さに欠ける。
エルフィミア・クローエット
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、宮廷魔術師ディオンの娘。
エルフのクォーター(四分の一)だが、純血のエルフと間違うほどエルフっぽい。
卓越した魔法使いであり、中級魔法の《氷雪界域》や《聖域》、回復魔法も使いこなす。
アルター曰く、生まれついての天才。
またセレンにおいて、アルターの真の実力を知る唯一の人物でもある。
エルマ
リードヴァルト男爵フォルス(二代目)の娘。アーバンの姉。長女。
リグリイル子爵家に嫁いだが、アルターが四歳の頃、病により亡くなっている。
オゼ
リードヴァルトを中心に活動するCランク冒険者。
『破邪の戦斧』の斥候。
貧民の出身であり、パーティーでは一番の若手。
そうした立場や物静かな性格もあって発言は少ないが、観察眼に優れており、オゼの忠告には全員が素直に従う。
ただ戦闘は苦手で、火力不足に悩んでいる。
カートル・オルス
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、サルティクス男爵家(北東部)に仕える騎士の長男。別名、カーマル。
ドリスの誘いを受け、ディオルト伯に仕えることを決める。
性格の良い少年だが、騎士であることに拘りすぎ、本来の実力を発揮できずにいる。
カイル
セレンの難民街に住む少年。クインスの友人。
農家の息子で、ウォルバー伯爵領のノイル村出身。テッドやリリーと同郷であり、テッドの三歳年下。
紛争の時、避難の途中で両親とはぐれ、叔父に連れられてセレンまでやってきた。
しかし叔父はすぐに行方をくらましてしまい、それ以来、クインスの母親が面倒を見てくれていた。
そんなクインスの母親も二年後に病死、その後はテッドたちが親代わりとなる。
クインスより不遇な所為か、やや大人びている。
カルアス・シラール・テオルット
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、テオルット男爵家の三男。別名、カルロス。又はゴブリン殺し。
気位の高い少年だったが、様々な経験するうち、人として成長を遂げる。
ただし、アルターの知らないところで。
『ギーテス』
セレンで主に活動するDランク冒険者パーティー。
護衛任務が多く、セレンに滞在していることは少ない。
パーティーメンバーは軽装の戦士ばかりで、対応力こそ低いが護衛任務向き。
レベッカ(冒険者ギルドセレン支部の受付)とは、新人の頃からの知り合い。
リーダーはヘイデンで、タイニス、オルタ、ギビーの四人編成。
キネール・サブロワ
セレンの評議員。セレン守備隊総隊長。
強面で、初老の魔法剣士。
個人戦でもかなり強さだが、最も長けているのは指揮能力と調整力。
魔法兵優遇だった守備隊の意識を改革し、魔法兵と守備兵の立場を対等近くまで引き上げた。
清廉潔白な人物で、他の評議員からの信頼も厚い。
キューテス・イプジット
セレンの評議員。民間からの選出。
退任したヤルズの後任で、民間の魔法研究者。
元カルティラール高等学術院の講師であり、ヘレナは教え子。
今もヘレナと交流があり、時折、情報交換を行っている。
教え子同様、研究以外にまるで興味がなく、自宅はゴミ屋敷。
クインス
セレンの難民街に住む少年。カイルの友人。
農家の息子で、ウォルバー伯爵領のノイル村出身。テッドやリリーと同郷であり、テッドの三歳年下。
紛争の時、母親とセレンへ避難、しばらくは一緒に生活していたが、二年後に母親は病死してしまう。
それからはテッドたちが親代わりとなり、面倒を見てもらっていた。
常に保護者がいるためか、テッドたちに比べると年相応である。
ククラ
750年ほど前に活躍した伝説のゴーレム使い。
アルファスの盟友であり、傀儡師ククラと呼ばれた。
セレンを守護するゴーレムは、アルファス、ククラ、テルパーの合作。
アルファスの死を悼み、どこかに旅立ったと言われている。
クラウス・シュメル
ウォルバー伯に仕える騎士。
中級の戦闘技術、『剣閃』の保有者。ルシェナの護衛。
実力、人格共に優れた人物で、帝国内で名の知れた騎士。
元々はテスロット子爵家に仕える騎士の家系だったが、幼少期、主家がオルムスタッド伯に目を付けられ、紛争の挙げ句に衰退、滅亡してしまう。
紛争中に父は戦死したが、幼いクラウスは父の部下たちに保護され領外へ。
その後、彼らから戦い方や教養を学ぶ。
成人して独り立ちすると、クラウスは各地を放浪。その旅の途中で天儀の法剣や魔剣ノスヴァールを手に入れた。
さらに歳月が過ぎた頃、野盗の襲撃を受けるウォルバー伯の馬車と遭遇し、あっさり撃退。
それを目の当たりにしたウォルバー伯は「我が生涯の騎士」と絶賛し、迎え入れた。
クリフ(名前は未登場)
ヴェレーネ村村長の息子。
粗暴かつ横柄な態度ながら、根は真面目な少年。
テスをよく困らせている。
ペットはカタツムリのスレッツァー。
クルトス・ノーバート・ペシム
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、ペシム子爵家の長男。学院生では数少ない貴族の長男。
同じ子爵家出身なのもあり、ランベルトと意外に話が合う。
剣の腕や指揮能力は平均的。
グレアム
リードヴァルト家の家令。
先代、フォルスの時代から仕えている。
政務を一手に引き受けており、アーバンが最も信頼する忠臣。
高齢のため後継者を探しているが、良い人材に巡り会えていない。
ケイティ
セレンの職人街に店を構える職人。
鍛冶以外なら、彫金から革細工など、あらゆる仕事を請け負っている。
腕の良い職人で熱意も人一倍だが、年齢と性別、店の立地もあまり良くないため、実力に見合った仕事をしていない。
ケセレス
リードヴァルトにある大地母神ミルティーヴァ神殿の神官。
人格者であり、中級の神聖魔法を扱える。
リードヴァルトでは名の知れた人物。
ゴード
リードヴァルトの狩人。
技術は同業のネリオは及ばないが、用心深く、入念な準備を怠らない。
そうした性格が功を奏し、とある一件で一命を取り留めた。
コーパス
セレンで活動するDランク冒険者。
『万年満作』の遊撃で、常識人かつ苦労人。
農家の出身で、食い扶持を減らすため家を出されたが、できそうな仕事が見つからず困り果てて冒険者となる。
新人の頃、ゼレットとバルデンに命を救われ、感謝と感激の気持ちを素直にぶつけたところ、なぜか仲間に認定されてしまう。
その後、何かと危うい二人を放っておけず、正式に仲間として行動するようになった。
依頼の説明では彼が受け答えすることが多く、冒険者ギルドの職員は「影のリーダー」と呼んでいる。
戦闘では特攻する前衛二人を補佐しつつ、イスミラの護衛も担当。
また、パーティー名の名付け親でもある。
コディ
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの三学年上で、錬金術の助手を務める。
ラッケンデールの影に隠れているが、負けず劣らず錬金の変態。
五年在籍し、卒業後も職員として学院に残った。
コルトン
セレンに居を構えるブレオス商会の店主。ロラの父親。
ロラは実家を「小さな店」と評しているが、セレンでは中堅である。
涙脆いところがあり、ロラが「家業の力になりたい」と言い出したときは、感涙して一晩泣き明かした。
コルミス・ハリカル
カルティラール高等学術院の学院長。セレン評議員。別名、庭のじいちゃん。
長い髭や怜悧な双眸など、大魔法使いを絵に描いたような風貌。
実態は『土魔法2』のみで、魔法使いとしては初心者から脱した程度。
反面、頭脳の切れはセレン有数で、様々な形でアルターを支援した。
学院生の時代から庭園の手入れを担当している。
コンラード
リードヴァルト騎士団の団長。
ロランと同等の戦闘力を有し、先代からリードヴァルト家を支え続けた老騎士。
父親は初代のパウルと共にリードヴァルト砦を守った兵士で、パウルが叙爵されるとリードヴァルト騎士に抜擢された。
リードヴァルト家と最も近い騎士だが、子がいないため、血統は彼の代で途絶えてしまう。
そうした経緯もあって、ロランを後継者にしたいと考えている。
サイグス傭兵団
百名を越える大所帯の傭兵団。拠点はローフマー(帝国中央部東寄り)。
サイグスは、創設者であり先代団長の名前。
現在は現団長の他、軽戦士と魔法使いの幹部が率いている。
幹部たちの戦闘力はCランク上位であり、配下の傭兵も精強なことから、下級貴族では勝ち目が薄い。
残虐行為も厭わない集団ではあるが、悪名の高さはこうした戦力が主な理由である。
サミーニ
商業ギルド、セレン支部の職員。
カルティラールへの入学手続を代行したことでアルターと知り合い、借家の紹介など多岐にわたって支援する。
学院外では、アルターを正確かつ最も高く評価している人物。
アルターとの駆け引きを楽しんでいる節があり、慇懃無礼な態度でからかうことも。
サルマ
リードヴァルトで出会うCランク冒険者。
『深閑の剣』の前衛。
帝国の東にあるコージェス連合、さらにその南部に広がるコルスネット地方出身。肌の浅黒いトアール人。
生家は行商人で、各地を渡り歩いているうち商売が向いていないと気付き、冒険者の世界に飛び込んだ。
容姿端麗で、歩いているだけで人目を引いてしまう。
そうした苦労の中でピドシオスと出会い、「でかい女に興味はねえ」と言い切る彼に興味を抱く。
最初はペット感覚で付きまとっていたが、気が付けばすっかり入れ込んでしまった。
優れた曲剣使いで、戦闘に際しては死を怖れぬ勇猛振りを発揮する。
シーラ・マティナ・ヴォークル
ヴォークル男爵家の娘。アルターの従姉妹。
勝ち気な風貌ながら、美しい少女。
母が死んだのは自分の所為と考え、母の代わりに領地を守ろうと剣を握る。
乳母のダリヤを伴い、勝手に見回っては魔物と戦っている。
最初は軽んじていた領民も、命を惜しまず戦う姿を見て、「姫剣士様」と慕うようになった。
その人気はヴォークル男爵家の誰よりも高い。
ジェマ
セレンの難民街に住む少女。
難民街の生まれで父親は知らず、母親とは六歳の頃に死別。
それからほどなくして、テッドとリリーの兄妹がやってくる。
テッドの憎悪が強さと映り、そこに惹かれて行動を共にするようになった。
戦闘では大柄な体格を活かし、盾役を務める。
シグラス・テニード・タシール
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、タシール男爵家の次男。
貴族出身にしては平民との壁が低く、良い意味で貴族らしさを実践しようと努力している。
関わりこそ少ないが、アルターも高く評価している。
エリオットやニルスと組んでいることが多い。
ジニー
セレンの貧民街に住む少女。エミリの友人。
アルターの自宅裏にある集合住宅で祖母と暮らし、同い年のエミリが引っ越してくると、すぐに仲良くなった。
少し勝ち気な性格で、エミリを妹のように思っている。
クインスとカイルと出会い、冒険者を目指しはじめる。
突出した才能こそないが、身体能力はそれなりで性格も冒険者向き。
シモン
リードヴァルトの錬金術師。
技術はそれなりで、安めのポーションなどを生産して各商店に卸している。
師匠は優秀な錬金術師で多くの資料をシモンに残したが、あまり活用できていない。
ジャリド(ジェイムズ)
Aランクのソロ冒険者で、『半身』の異名を持つ。戦闘技術『神槍』の到達者。
片手片足、片目、頭部も半分に酷い傷を負っている異形の冒険者であり、神槍シツァールと魔槍スキプスを手に、各地の戦場を渡り歩いている。
好き勝手にやりながらも冒険者としての一線は越えないなど、ジャリドなりの矜持を持って行動している。
槍使いとしては世界最強。
ジョス・スフォルド
リードヴァルト騎士団の副長。
騎士団長のコンラードと同じく、初代から仕えている騎士の家系。
戦闘力はほどほどだが、指揮能力は高い。
アルターが生まれて間もない頃、ブラスラッドへ赴いた際に護衛の指揮官を務めた。
子供は従騎士の一人、ランズ・スフォルド。
シリジア・カリーヌ・アスルト
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、アスルト子爵家の次女。別名、金髪ドリル。ドリスの取り巻き一号。
ディオルト伯の要請を受け、ドリスの取り巻きとして送り込まれた。
典型的な貴族のお嬢様で、駄目な方に気位が高い。
ドリスのことは高位者として絶対的な敬意を払っているが、心酔はしていない。
シレッド・ダヒウス・カーナス
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの一学年上で、カーナス男爵家の三男。
合同演習の最終日では、ソーバル隊として戦った。
普段は物静かな若者ながら、合同演習では積極的に進言。戦況を大きく動かした。
石灰おばさん(本名、ベルタ)
セレンに居を構えるケリス雑貨店の店主。
自宅の修繕で助言をもらったり日用品を購入したりと、アルターの生活面を支えた人物。
リリーにポーションの素材を教えたのも彼女で、名前や姿は未登場ながら、裏で活躍している。
セキエス
セレンに拠点を移してきたCランク冒険者。
『破翔』のリーダーで、剣と斧を操る前衛の戦士。
各地を渡り歩いてセレンにやってきた。
目的は大店との関係構築、武装の一新。
安定した能力を持つ戦士で、戦闘力は同格のハレイストや筋肉特化のゼレットをも凌ぐ。
『セッテ』
Dランクの冒険者パーティー。
実力はDランク下位で、メンバーの性格にやや難がある。
さらなる活躍を夢見てリードヴァルトにやってきたが、エラス・ライノに遭遇してしまい、レクノドの森を逃げ回った。
セリベック・ガレイ
ウォルバー伯に仕える騎士。ラプゼルの町の指揮官。
何代にもわたりウォルバー伯爵家に仕える騎士の家系であり、伯爵の信頼も厚い。
頑迷な男で、その血筋から身分にもうるさい。
戦いこそ騎士の本懐と豪語し、すべての政務をハイメスに丸投げする。
セルエ
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの一学年上で、優れた魔法使い。
広範囲混乱魔法《掻乱》を得意とする。
合同演習最終日ではエジム隊に所属し、戦況の要となった。
セルテレス
エルフで元冒険者。
エルフィミアの祖母、ディオンの母。
宮廷魔術師の妻となりディオンを授かったが、その後、行方不明となる。
ゼレット
セレンで活動するDランク冒険者。
『万年満作』のリーダーで、前衛(特攻)を務める重戦士。
スキンヘッドの悪相で、山賊の頭目のような風貌である。
さらにマーカントを凌ぐ体格と筋力の持ち主で、戦闘になると突進し、戦鎚を振り回して暴れ回る。
対照的に知力はかなり低く、数値だけで判断するならゴブリン並み。
難しい会話や言葉は理解できていないことにすら気付かず、自分なりの解釈で結論を下してしまう。
困った人物だが、見た目に反して正義感が強く、生まれてこの方、悪事に手を染めたことはない。
ソーバル・ノピアス・パルソン
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの一学年上で、パルソン伯爵家の次男。
次男ながらも、伯爵家らしい立ち居振る舞いで一目置かれる若者。
合同演習ではソーバル隊を指揮し、エジム隊と戦った。
ダイラス
リードヴァルトで出会うCランク冒険者。
『深閑の剣』の斥候兼前衛。
出身はセムガット公国(帝都南西部)の僻地で、獣人の多く住むメズ・リエス地方でも珍しい野牛の獣人。
幼い頃、魔物に両親を殺され、放浪者として各地を転々としていた。
様々な苦境を経てピドシオスと出会い、冒険者の道へ。
初期は体格を生かして前衛を担当したが、近接武器が不得手と分かり後衛に転進、斥候の技術も学ぶ。
戦闘では複合弓、接近されたときは幅広のスモールソードを使う。
タクラズ子爵
セレンの北東に領地を持つ子爵。公爵派。
家格が上のウォルバー伯と真っ正面から渡り合い、血生臭い紛争を繰り広げている。
紛争の原因は、100年ほど前に起きたタクラズ子爵家の後継者争い。
内紛が周辺に拡大し、その責任と鎮圧に掛かった費用の弁済として、タクラズ子爵家は領地を大幅に削られた。
その後は皇帝派としてあらゆる難題にも応じてきたが、先代の時、直轄領だった旧領はウォルバー伯に与えられてしまう。
激怒したタクラズ子爵は公爵派に鞍替え、ウォルバー伯との紛争が始まった。
現タクラズ子爵も父の意思を継ぎ、旧領の奪還を悲願としている。
自業自得ではあるが、現タクラズ子爵は領地経営の手腕が高く、領内での評判もすこぶる良い。また戦費を捻出するため貴族らしい贅沢を一切止めるなど、優秀ながら困った方向の努力家でもある。
ダニル
リードヴァルトを中心に活動するCランク冒険者。
『破邪の戦斧』の遊撃兼魔法使い。
セレンと帝都を結ぶ街道上にあるイルケネックの町出身で、小さな雑貨店の四男として生まれた。
生家の知識に加え、冷静沈着。パーティーの頭脳担当でもある。
戦闘では剣による近接戦と魔法を駆使し、中級魔法の《水禍球》を習得している。
タリアス・モルティフ・オルムスタッド
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの三学年上で、オルムスタッド伯爵家の三男。軍学の助手を務める。
一年目の後期野外演習で、リーズ班の世話役を務めた。
気位が高く、アルターたちが距離を置いたため、関わりはほとんどない。
ダリヤ
ヴォークル男爵家に仕える使用人。
元Dランク冒険者で、フリーデの侍女、後にシーラの乳母兼護衛。
前衛ではなかったが、近接戦の実力はなかなか。
フリーデの侍女としてヴォークル男爵家に仕え、フリーデの死後はシーラの乳母となった。
自らの命を軽んじるシーラを案じ、常に見守っている。
タルヴィット・サブロワ
ラプナス学術院の学院生。
アルターと同学年ながら、年齢にそぐわぬ巨漢であり、大人と並んでも遜色ない。
戦闘では両手剣を振るい、重量級の攻撃を繰り出す。
ツェザン
リードヴァルトの錬金術師。
優秀な錬金術師で、医師パヴェルが懇意にしている。
柔らかい風貌ながら向上心が強く、やや野心的。
ディオン・クローエット
皇帝陛下に仕える宮廷魔術師。
エルフィミアの父親、セルテレスの息子。
常に微笑を湛えるハーフエルフで、年齢に似合わぬ若々しさと美貌から宮廷内の女性人気はかなり高い。
その反面、妻を深く愛しており、子の生まれにくいエルフの血を引いていなければ、子だくさんになっているほど。
生まれた直後に母親のセルテレスが失踪したことで、ディオンは心に傷を負った。
当時を知る者は、ディオンに微笑が本心を隠すためと考えている。
そうした経緯から、一人娘のエルフィミアを溺愛しつつ、苦悩もよく理解している。
デイナ
セレンの貧民街に住む女性。ネイルズの母。
南門の先にある牧場で働いている。
不遇ながらも平凡な人生だったが、隣にアルターが引っ越してきたことで、生活環境や境遇が劇的に変化していく。
テオ
フィルサッチ領ケリール村に住む幼児。ブレントの息子。
父親に憧れ、将来は守備隊をなりたいと願っている。
しかし、とある一件で価値観が揺らぎ、守備隊と冒険者の狭間で揺れている。
デシンド
カルティラール高等学術院、軍学の講師。
個人戦の技術から集団戦、用兵術、騎士としての作法なども教える。
見た目も中身も常識人であり、変わり者の生徒に振り回されることも。
テス(テサリア)
ヴェレーネ村在住で、ロニーとミランダの子供。
宿や酒場の仕事が好きで、積極的に両親を手伝っている。
セレンへの道中、アルターがヴェレーネ村に立ち寄ったことで出会う。
テッド
セレンの難民街に住む少年。リリーの兄。
農家の息子で、出身はウォルバー伯爵領のノイル村。
七歳の頃、タクラズとの紛争に巻き込まれ村は大打撃を受け父親は死亡、セレンへ避難中に母親も魔物に殺されてしまう。
その後、妹のリリーを守るため、冒険者になろうと決意。
さらに偶然知り合った冒険者から「上を目指すには教養が必要」と言われ、カルティラール高等学術院の入学を目指す。
境遇から貴族に深い憎悪を抱くが、成長するにつれ徐々に改善、ただの「嫌い」にまで落ち着いた。
主に片手剣を使い、足を活かした一撃離脱を得意とする。
デリン
リードヴァルトに居を構える、グロウエン武具店の店主。
柔和な物腰と誠実さで、厄介な職人たちを仲介するやり手の商人。
へリット支部長(冒険者ギルド)の依頼で、甲犀の剣とスティレットをエギルやラグニディグに発注した。
テルパー
750年ほど前に活躍した伝説の魔道具職人。
アルファスの盟友であり、賢人テルパーと呼ばれた。
魔道具作りを極め、魔法の鞄など数々の魔道具を生み出している。
アルファスの盟友の中では最も長く生きた人物で、ラプナス学術院の創設にはテルパーが深く関わった。
トーディス子爵
トーディス子爵家の当主。クレーグ・カルゼナス・トーディス。
ヘンリエッテの父、アルターの祖父。寄親はブラスラッド侯。
子爵ながらも無骨な人物で、ブラスラッド侯の支援の下、帝国北東部の最前線でハーゼル統一王国と対峙している。
ドバル
セレンの居を構えるマセット石工店の店主。
ヘレナ(魔法学の講師)を介してアルターと出会い、自宅の増築、改修を引き受けた。
言葉よりも先に手が出るタイプだが、人情味があり、弟子には慕われている。
ごく稀に雇用主の要望を忘れて暴走、やり過ぎることも。
トビアス
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの三学年上で、軍学の助手を務める。
一年目の前期野外演習の世話役、二年の合同演習の審判など、コディの次に縁の多かった上級生。
前期野外演習でアルターの実力を知り、高く評価していた。
ドリス・ヴィリアナ・ディオルト
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、ディオルト伯の次女。
伯爵家の令嬢らしく、上流階級のオーラを身に纏っている。
優れた人材を集めるためカルティラールに送り込まれたが、優秀な者たちはクセが強く、また目的意識を持つ者がほとんどのため、かなり難航している。
リーズとシリジアは入学前からの知り合い。
ナルバノ
セレンの職人街に店を構える鍛冶師。
アルターが甲犀の剣の手入れを頼もうとしたが、自分の手に余ると即座に断った。
その後、『鍛冶』スキルを習得したいアルターに目を付けられ、手解きすることに。
自作の武器を魔道具化してもらったことで一念発起し、徐々に実力を上げていく。
ニール
ヴェレーネ村で畜産を営む男性。
ズヌー種と呼ばれる長毛の羊を飼育している。
ニグアス・ヴィルタス
セレンの評議員。魔法ギルドの副ギルド長。
本来は民間の席であるが、適切な人材が見つからず、ニグアスが臨時で就任している。
ニルス
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、タスタシルの町(帝国北西部)に居を構えるセリトス商会の長男。
商売にまるで興味がなく、次男に後継者を譲って冒険者の道を目指す。
同じ商人出身者のエリオットと仲は良いが、ニルスに商人らしさは見当たらない。
基本、元気な少年。
ネイルズ
セレンの貧民街に住む少年。デイナの息子。
父親を早くに亡くし、母親と二人だけで生活していた。
アルターが隣に引っ越してきたことで、テッドたちと出会う。
内向的な性格であまり主張をしないが、知恵が回る少年であり、常に周囲の状況を観察している。
スリングでの遠距離攻撃、接近戦ではスモールソードを使う。
ネサルク・カサムス
リードヴァルト騎士団の従騎士。父親は現役の騎士。
ラキウスと同年代で、行動を共にすることが多い。
剣の才能は三人の中で一番劣るものの、状況を見極める能力は最も優れている。
ネリオ
リードヴァルト在住の狩人。
冒険者ならCランク中位の腕前で、一部のスキルはオゼ(『破邪の戦斧』)に匹敵する。
その実力から狩人仲間の信頼も厚い。
とある経緯からアルターと知り合い、狩人の技術を教えた。
ノルト
リードヴァルト家の庭を手入れする庭師。
庭師ギルドに所属する初老の職人。
リードヴァルト北方のナルセル出身で、若い頃は各地を転々としたが、今は妻と二人でのんびり暮らしている。
仕事で得た知識や豊富な経験で、アルターに助言することも。
パイクス・ヴィデル・ヴォークル
ヴォークル男爵の息子。アルターの従兄弟。
やや無骨な人物で、性格は慎重。
剣の腕はほどほどだが、指揮官向きで政務も堅実。
幼い頃、シーラを産んでほどなく母のフリーデは亡くなってしまう。
「妹に罪はない」と父に諭されると、恨むことなく、妹の良き理解者であろうと努力している。
ハイメス
ウォルバー伯に仕える執政官。
ウォルバーの街出身で、若い頃から才人として評判だった。
役人になると瞬く間に出世し、三十を過ぎた頃、ガレイ卿を補佐するためラプゼルの町に派遣される。
内政に興味のないガレイ卿に代わり、政務全般を取り仕切った。
パウル
初代、リードヴァルト男爵家。
アルターの曾祖父で、リードヴァルト砦を守護した元帝国騎士。
バロマット王国の侵攻軍を、何度も寡兵で退けた英雄。
ブラスラッド侯の後押しもあり、その功績から男爵へと叙爵されると、町の整備に尽力、内政にも優れた才能を発揮した。
パヴェル
リードヴァルト在住の老医師。
リードヴァルト家の主治医でもあり、普段は治療のため町を走り回っている。
数少ない将軍茶の愛飲家。
パトリス
セレンの牧場を預かる責任者。雇われ場長。
性格は平凡ながら、自負と責任感をもって仕事をしている。
従業員のほとんどは貧民や難民だが、公正に対応し、一定の敬意を払われている。
デイナが働く牧場の場長でもある。
ハリエット
ヴァセット学院の学院生。
アルターと同学年で、清廉な印象を与える少女。
戦闘になると、速度と虚実で相手を翻弄する。
性格は、ややリアリスト。
ハルヴィス・ラズフォール
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの四学年上で、ヴォークル男爵家に仕える騎士の長男。軍学の助手を務める。
アルターが認める天然の天才。
演武会三連覇を成し遂げるなど、圧倒的な存在感を残してセレンを去っていった。
バルデン
セレンで活動するDランク冒険者。
『万年満作』の前衛(特攻)を務める軽戦士。
ゼレットに匹敵する悪相で、顔中が傷だらけ。
戦闘になると敵に向かって突撃、幅広のサーベルを振り回す。
風貌と戦闘スタイルで誰にも馴染めなかったところ、ゼレットに拾われ、それ以来、兄貴と慕って一緒に行動している。
そんな兄貴に負けず劣らず、バルデンも正義の人。
バルナー
セレンに拠点を移してきたCランク冒険者。
『破翔』の遊撃。
万能型の冒険者で剣や弓、体術、投擲など多様な技術を習得している。
反面、特化した部分がなく、まともにぶつかると押し負けることも。
戦闘以外はヴェロットと行動することが多く、足の速さを活かして斥候の真似事もやっている。
ハレイスト
セレンで活動するCランク冒険者。
『セルプス』のリーダーで、前衛の戦士。
落ち着いた言動と態度で、セレンでも評価の高い冒険者。
立ち居振る舞いは意識してやっていることで、本来はもっと付き合いやすい性格である。
個人の戦闘力はほどほどながら、調整力は一流。それを期待して複数パーティーのまとめ役を任せられることも多い。
愛用の武器はミスリルメイスで、仲間は戦士のオティレス、魔法使いのナリア。
ハンス
フィルサッチ領など、帝国南西部を中心に活動する行商人。
なかなかのやり手だが、ラルセン商会のラウリや商業ギルドのサミーニと比べたら、だいぶ小物。
アルターがそんな連中と付き合いがあるとは知らず、不用意に近付いて可哀想な目に遭ってしまう。
ヒーゼル(名前は未登場)
800年ほど前に活躍した騎士。三傑の一人。
リダリオス、ライアスと共に初代皇帝エイサリウス(当時は王)に仕え、馬を手足のように扱い、幾多の戦場を駆け抜けた。
彼の率いた軽装騎兵部隊は死後も存続したが、徐々に衰退し近衛騎士に吸収された。
ピドシオス
リードヴァルトで出会うCランク冒険者。
『深閑の剣』のリーダーであり、斥候。
帝国の遥か西方にあるメズ・リエス地方の出身で、帝国内では珍しいハーフリング(小人)。
愛くるしい体型とは対照的に、不敵な笑みで町を闊歩し、「冒険者は金で命を張る商売」と豪語する。冒険者になった経緯は、牧場の管理を巡って兄と殴り合いの喧嘩になったため。
見た目や態度に反して人情家で、彼の内面に触れた者たちが集まり『深閑の剣』は結成された。
一部の能力はオゼ以上であり、斥候としてはBランク相当の実力者。
反面、戦闘はオゼよりも不得手で、《縛縄縛鎖》などの搦め手で動きを封じ、仲間に丸投げする。
フヴァル
カルティラール高等学術院、教養の講師。
さらさらな髪の毛を特徴とするが、デシンドと並ぶ常識人であり、影は意外に薄い。
朝礼や式典の進行も担当する。
フェリクス・ゴルド
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、ランベルトに忠誠を誓う少年。
ケーテン子爵家に仕える騎士の三男。
物心ついた頃からランベルトと行動し、盾となるため鍛錬に励み続けている。
個人の戦闘力はランベルトを凌ぐが、防御寄りなので模擬戦になると好勝負になりやすい。
フォルス
リードヴァルト男爵家の二代目。
アーバンの父、アルターの祖父。
父親パウルの下で、バロマット軍の侵攻を幾度も退けた英雄。
親子の奮闘で大打撃を負ったバロマット軍は、戦力を整えて再び侵攻。
それをいち早く察知したフォルスは、少数の精鋭を率いて奇襲し、バロマット軍はレクノドの森を出ることなく敗走する。
この戦いを最後に、「バロマットの西征」と呼ばれる長い紛争が終息した。
ブラスラッド侯爵
ブラスラッド侯爵家の当主。ハーデン・エディルス・ブラスラッド。
帝国北東部の雄で、侯爵派の長。リードヴァルト家の寄親。
帝国建国当初から、ブラスラッド家はハーゼル統一王国と熾烈な争いを続けており、アルファスが活躍した頃(750ほど前)には城が陥落したこともある。
そうした経緯からブラスラッド家は武を好み、現当主のハーデンは初代リードヴァルト男爵パウル、二代目のフォルスを非常に高く評価している。
フリーデ
リードヴァルト男爵フォルス(二代目)の娘。アーバンの姉。次女。
ヴォークル男爵家に嫁いだが、アルターが誕生する前に夭逝。
父親譲りの才人であり、ヴォークル領内での人気は高かった。
夫婦仲はかなり良好で、パイクスやシーラを授かっている。
プレナス・クラット
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの二学年上で、フィルサッチ侯に仕える騎士の長男。
隣国の視察も兼ねてセレンにやってきた。
カルティラールには五年間在籍し、卒業前の演武会では準優勝に終わる。
ブレント
フィルサッチ領ケリール村の守備隊、十人長。テオの父親。
守備隊であることに誇りを持ち、住民の盾になることに迷いがない。
部下にも慕われ、息子のテオに憧れられている。
戦闘力はDランク上位からCランク下位だが、指揮能力は高く、部隊を率いたときは実力以上の力を発揮する。
へリット支部長
冒険者ギルドのリードヴァルト支部責任者。
優秀かつ公明正大な人物で、要所であるリードヴァルト支部を見事にまとめ上げている。
ヘレナ
カルティラール高等学術院、魔法学の講師。二大変人の一人。
自分の研究にしか興味がなく、講義はかなり雑。生徒の名前も覚えず、「少年」や「そこの」で済ましてしまう。
講師というより研究者だが、優秀ではあるので、接し方さえ理解すれば得るものは多い。
火属性の範囲魔法《八紘炎火》、防壁系の《妨土の壁》の使い手。
ベンス・ラクス
セレンの評議員。三大学院の一つ、ルルクト学院の学院長。
評議員の中では若手で、商売人のような性格をしている。
そのため一部の評議員(主にイェーヴァ)からは、商業ギルドの回し者と言われ、嫌われている。
ヘンリエッテ
リードヴァルト男爵アーバンの妻。アルターの母親で、トーディス子爵家の次女。
美しい女性であり、夫婦仲は極めて良好。
貴族の娘にしては平民との垣根が低く、使用人の評判も良い。
生家のトーディスは帝都の北東部にあり、ハーゼル統一王国と小規模な衝突が続いている。そのため帝国が平和でないことを、家族の誰よりも理解している。
ボータス
セレンの貧民街に住む男性。エミリの父親。
妻はずいぶん前に失踪し、しばらくはエミリと暮らしていたが、現在は一人暮らし。
冒険者をやっていた時期があり、一般人の中では腕っ節が強い。
ポーラ
セレンに居を構えるブレオス商会の会計責任者。ロラの母親。
似たもの夫婦だが、コルトンよりしっかりしている。
ロラがカルティラールに入学したいと言い出したとき、喜びながらも学費に頭を悩ませた。
ホルガー
フィルサッチやセレンで主に活動するCランク冒険者。
『イゼルク』のリーダーで、前衛の戦士。
護衛任務でセレン近隣を行き来している。
純粋な戦闘力は同じCランクのハレイストより高いが、応用が利かず、総合力に劣る。
性格は粗暴で汚れ仕事も平気でこなすため、一部の雇い主には重宝がられている。
マーカント
リードヴァルトを中心に活動するCランク冒険者。
『破邪の戦斧』のリーダーで、斧を得意とする戦士。
エズドル子爵領クレンズリーの村出身で、仲間のヴァレリーも同郷。
大柄で人間の限界に近い筋力を誇り、神聖系の魔道具「聖撃の斧」を愛用する。
基本の性格は大雑把で脳筋だが、戦いになると狡猾なところがある。
アルターとは護衛任務で知り合う。
マニクト・リオヴェット
セレンの評議員。セレン魔法研究所の所長。
研究畑の人ながら、気さくな性格で所員からも慕われている。
魔法ギルドは魔法使い全体の利益、セレン魔法研究所はセレンの利益のみを追求する組織である。
ミラーナ
リードヴァルトで出会うCランク冒険者。
『深閑の剣』の斥候。
元は別のパーティーに所属していたが、仲間が戦死して解散。知り合いだったピドシオスを頼り、『深閑の剣』に参加した。
そのため、加入時期は一番遅い。
斥候としての能力は低く、総合的にはDランク相当だが、手先は器用。
複雑な情報を処理する能力にも長け、鍵開けや罠の探知など、都市部での探索はピドシオス以上の実力者である。
戦闘能力は低めで、戦うときは細身のダガーを用いる。
ミランダ
ヴェレーネ村在住で、ポリーの宿で料理を担当する。ロニーの妻、テスの母親。
ウェルド北部、コーシ村の出身。
幼い頃、両親と共にウェルドの町に移住したが、ほどなくして両親は他界。
宿屋を経営していたファズマン夫妻に引き取られると、美しい女性に成長し、看板娘として評判になる。
その頃、ロニーと知り合い、熱心な求愛に根負けした形で了承した。
ヴェレーネ村に移住してからは料理の腕が上達、ロニーから料理人の立場を奪ってしまう。
ムメル・デルシェイン
セレンの評議員。民間からの選出。
退任したリスリアの後任で、私塾の経営者。
私塾は一般教養に重きを置くが、人柄の良さとセレンへの貢献度から選出された。
メレディ
リードヴァルト家の使用人。
生まれたばかりのアルターを監視するために雇われたメイド。
リードヴァルト北方のナルセル出身で、父親は製布ギルドの職人。
リードヴァルト家が使用人を探していると知り、ギルドの伝手で紹介された。
実際はアルターの乳母を探していたのが、ヘンリエッテが気に入って採用。乳母の話も立ち消えとなった。
そうした経緯もあり、ヘンリエッテとは仲が良い。
モリス
フィルサッチ領ケリール村の守備隊。ブレントの部下。
新人の頃からブレントの世話になっており、ブレントが十人長に就任したとき、真っ先に部隊へ志願した。
テオとも仲が良く、叔父のように慕われている。
ヤルズ・アラスター
セレンの評議員。民間からの選出。
元Aランク冒険者の魔法使いで、『赤熱』の異名で怖れられた。
引退後はセレンに引き籠もり、魔法の研究を続けている。
就任期間は二番目に長い。
ユークス
750年ほど前に活動した魔法使い。
アルファスを慕い、勝手に集まった弟子の一人。
才能豊かな若者で、弟子を名乗る者たちをまとめ上げた。
その死後もセレンに留まり、自治に尽力した。
彼の名は、カルティラール高等学術院でクラスの分類に使われている。
ヨナス
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの一つ下の学年で、フィルサッチ在住の錬金術師の息子。
エリオットと幼馴染みであり、冒険者になるなら自分もなろうと父を説得。
かなり出費させてしまったが、どうにかカルティラールに入学する。
優秀な魔法使いであり、入学当初から複数の初級魔法を習得していた。
才人だが変人でもあり、思い込みがかなり強い。
ライアス(名前は未登場)
800年ほど前に活躍した騎士。三傑の一人。
元はバロマット王国に仕えていたが、エイサリウスに呼応し、リダリオス、ヒーゼルと共に帝国の基礎を築く。
彼の率いた奇襲部隊は、その特殊性から維持が難しく、ライアスの死後に近衛騎士へ吸収された。
またリュートの名手でもあり、彼が旋律を奏でるだけで敵軍は奇襲を怖れて混乱したという。
ラヴィ・バーティンケイン
セレンの評議員・評議長。魔法ギルドのギルド長。
いかにもな風貌の魔法使いで、見た目どおりに上級魔法まで習得している。
評議長は持ち回りで、アルターの滞在時期はラヴィが担当していた。
ラウリ
セレンに居を構える大店、ラルセン商会の会頭。
歴戦の戦士を連想させる厳つい風貌ながら、やり手の商人。
アルターはラルセン商会経由で、甲犀の剣とスティレットの手入れを鍛冶師イスターに頼んでいる。
ラキウス・エイムント・リードヴァルト
リードヴァルト男爵アーバンの息子。アルターの兄で、七歳年上。
落ち着いた若者で、武術よりも読書を好む。
父と同じく戦いの才能に欠けるが、初代や二代目が別格過ぎるだけで、領主としての器は充分。
足りない部分を補おうと騎士のロラン(元冒険者)から学び、また突出した才能を持つ弟、アルターに期待を寄せている。
ラグニディグ
リードヴァウルト在住の彫金師。ドワーフ。
メズ・リエス地方の出身で、各地を転々としているうちリードヴァルトの町に落ち着いた。
ドワーフらしく気難しいが、気を許した相手には気さくな一面も見せる。
グロウエン武具店のデリンを介し、仕事を請け負うことが多い。
職人仲間のエギル(鍛冶師)は友人だが、二人の会話を傍から聞くと、不仲にしか見えない。
ラステアン・サーベス
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、ナッカール子爵家(北西部)に仕える騎士の次男。別名、ねじ金。
ドリスの誘いを受け、ディオルト伯に仕えることを決める。
カートルと一緒に行動することが多く、剣の腕はカートルより上。
貴族の出身者に遠慮し、アルターに話しかけることは少ない。
良くも悪くも、上流階級の意識がしっかりと根付いている。
ラッケンデール
カルティラール高等学術院、錬金術の講師。二大変人の一人。
背は低めで体型は丸、顔のパーツも丸い。
錬金術を担当するが、『調合4』とセレンを代表する学院には物足りない。
ただ錬金術を溺愛する変人で、知識と経験でスキルランク以上の成果を引き出せる。
錬金における、アルターの師匠。
ラディケル・セイム・ヴェシル
ラプナス学術院の学院生。
アルターの二学年上で、ヴェシル男爵家の次男。
かなり優秀な剣士だが、才能に溺れており、精神面はかなり未熟。
それでも大抵の相手には負けないが、上は天才剣士のハルヴィス、下にアルターと、凡庸でない者たちに挟まれたのが彼の不幸。
ラプナス
750年ほど前に活躍した伝説の魔法使い。
アルファスの盟友であり、英雄ラプナスと呼ばれた。
最上級魔法だけでなく、稀少スキル『多重詠唱』の使い手。
明確に資料が残っている中では、唯一の『多重詠唱』使いでもある。
アルファスと共にセレンの独立を支え、その死後はラプナスの主導でカルティラール高等学術院が創設された。
そしてラプナスの死後、ラプナス学術院が創設されている。
ランズ・スフォルド
リードヴァルト騎士団の従騎士。父親は副長のジョス・スフォルド。
ラキウスと同年代で、行動を共にすることが多い。
才人であり、次世代を担う騎士として期待を寄せられている。
才能や血統のためか、騎士らしさに拘る嫌いがある。
ランベルト・アロイス・ケーテン
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、ケーテン子爵家の三男。
ケーテンはリードヴァルトの南方。
お隣同士ということでアルターと打ち解け、学院生活では行動を共にすることが多い。
将の器で指揮能力、作戦能力が高い。
戦闘面でも平均を上回る才人だが、突出してはいない。
リーズ・セヴリーユ・サクリス
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、サクリス男爵家の四女。ちっこい。ドリスの取り巻き二号。
幼稚園児と見間違えるほどちっこいのに、性格や言動に愛らしさは皆無。
ディオルト伯の要請で、ドリスの取り巻きとして送り込まれた。
本人はさほど乗り気でなかったが、魔法に興味もあったので承諾する。
ただドリスのことは人として尊敬しているため、役割に不満はない。
リスリア・サイジート
セレンの評議員。民間からの選出。
評議員の最古参であり、ハーフエルフの美しい女性。
元冒険者で、豊富な魔力と剣術を駆使してBランク上位に上り詰めた。
夫のエサルド・サイジートは、数十年前に病死。
リダリオス(名前は未登場)
800年ほど前に活躍した騎士。三傑の一人。
ヒーゼル、ライアスと共に初代皇帝エイサリウス(当時は王)に仕え、幾多の戦場で主君を守り抜いた。
彼の率いた騎兵部隊は、近衛騎士の前身となった。
リリー
セレンの難民街に住む少女。テッドの妹。
農家の娘で、出身はウォルバー伯爵領のノイル村。
村にいた頃は普通の少女だったが、父親が貴族の兵に殺され、母親まで魔物によって命を落とすと、急速に子供らしさを失ってしまう。
無茶をする兄の助けになろうと、街の雑貨店(石灰おばさん)に教えを乞い、換金できる植物について学ぶ。
ルシェナ・イニーネ・ウォルバー
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの一つ下の学年で、ウォルバー伯爵家の次女。
ドリスと同じく子飼いの配下を求め、セレンにやってきた。
貴族の悪いところを掻き集めたような人物で、伯爵家という肩書きが拍車を掛けている。
また帝国でも名の知られた騎士、『剣閃』クラウスを護衛にしている。
ルッド(名前は未登場)
フィルサッチやセレンで主に活動するCランク冒険者。
『イゼルク』の魔法使い。
実力はCランク下位からDランク上位で、中級魔法も使えない。
それなりに豊富な魔力と複数の魔法を操り、どうにかCランクに滑り込んでいる。
性格は臆病で、ワンマンのホルガーに振り回されている。
ルルクト
600年ほど前に活躍した魔法使い。遅れてきた才人。
現在のセレンを方向付けた人物で、アルファスの時代に生きていたら盟友の一人になっていたとも言われる。
セレンの自治を維持するため多くの政策を敷き、評議会の改革を行った。
魔法使いよりも、政治家や内政官としての逸話が圧倒的に多い。
彼の功績を讃え、死後、ルルクト学院が創設された。
レイモン
セレンに居を構える大店、ラルセン商会の古参従業員。
先代の頃は重要な仕事を任されることが多かった。
その結果、上流階級との付き合いが多くなり、レイモンの人格を歪めてしまう。
勤続年数だけなら、現会頭のラウリよりも長い。
レウィンフォート伯爵
レウィンフォート伯爵家、当主。母親はブラスラッド侯の姉。
帝国北部に拠点を構え、複数の砦を指揮して魔物の南下を防いでいる。
ブラスラッド侯の仲介で、ラキウス(アルターの兄)と四女の婚姻が決まった。
レベッカ
冒険者ギルド、セレン支部の職員。主に受付の担当。
学術都市という環境から、冒険者になろうとする子供が押し寄せることにうんざりし、受付の裁量で撥ね付けていた。
しかし運悪くアルターと遭遇、やりこめられると、渋々冒険者になるのを認める。
しばらくは実力を疑っていたが、堅実な成果に納得し、徐々に冒険者として扱うようになった。
元冒険者で、大怪我を負って引退している。
彼女の行動は、そうした経験に基づいている。
ロニー
ヴェレーネ村在住で、ポリーの宿の主人。ミランダの夫、テスの父親。
元冒険者だったが才能がなく断念、家業の宿を継いだ。
ウェルドの町でミランダと出会い、幾多のライバルを蹴落として妻に迎え入れた。
体格や風貌がマーカントに似ている。
ロラ
カルティラール高等学術院の学院生。
アルターの同学年で、セレンに居を構える中規模の商店、ブレオス商会の娘。
家業の助けになりたいとカルティラールに入学、錬金術の講義で『調合』を学ぶ。
やや引っ込み思案であり、恥ずかしさが限界を越えると全力で逃走する。
ただし、足は遅い。
ロラン・ディラット
リードヴァルト騎士団の一人。
元Cランク冒険者で、引退後、騎士団長コンラードの推薦で騎士となる。
実戦で鍛え上げた技術や知識は、アルターやラキウスに大きな影響を与えた。
また、アルターの護衛を担うことが多く、家族の誰よりもアルターの異常さやおかしな性格を熟知している。
ロレッタ
カルティラール高等学術院、舞踏の講師。
舞踏は教養の一部だが、専門的であるため特別講師のロレッタが担当している。
おっとりとした美人で、生徒の人気はかなり高い。