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第34話 先ずは準備をしましょう。

カクヨム掲載分の話です。

俺は、冒険者ギルドのゴートワイナリ支部の客室を借り、そこにセブンワンダー達を呼び出していた。

ドラゴン退治をしたという嘘を付いて偽物の素材を売り付けようとした詐欺行為に対するペナルティということで、本当のドラゴン退治をさせるためだ。


俺は、四人が俺の部屋に入ってきてたので、まず、ドラゴン退治が可能かどうか、彼等の能力を確認しておこうと思ったが、セブンワンダーが頭ひとつ抜け出た感じではあるが、魔族の者としては普通であり、後は大体、全員が同じ様な魔力や筋力で、まっ、当然ながらドラゴンに会えば即死するレベルだった。

魔法はある程度使えるようだが、全員が火の攻撃魔法だけであり、回復魔法とかは知らないみたいだし、こんな状態のままでは到底、ドラゴン退治をさせることは出来ない。


彼等の魔力や筋力以外の能力の確認は、この後、全て【スキル 魔神眼 探求(改)】によって詳しく実施していくことにした。


まずは、セブンワンダーだが、【剣術】のスキルを持っていないのに、何故か剣を持っているので尋ねてみると、やはり全く剣術は知らないらしく、冒険者っぽく見せるために持っているだけだという。

他の者も全員、同じ理由で自分のイメージする冒険者像に寄せた格好をして冒険者登録しているだけらしい。

なので俺は全員に対して名乗っている職業に見合う能力を取得してもらう事にした。


「よし、先ずはセブンワンダー!お前は勇者と言うか、ゼルデンと一緒で、ギルドには剣士で登録をしているんだったな?剣術も知らずによく剣士で通せたな?」

と俺が尋ねると、セブンワンダーは、

「はい、最初はそれっぽく見せるだけのつもりだったのですが、力が他の人間よりありましたので、適当に剣を振るっていたら、人間の騎士より強かったので、以外にいけるかなと思いまして…」

と答える。

「なるほど、適当に剣を振っていたら騎士に勝ったと…この世界の騎士のレベルがよくわからないが、あまり大したことないのか?」

「いやあ、私にもわかりませんが…」


セブンワンダーは、どうやらドラゴン退治に腹を括ったようで昨日までの情けない顔付きではなかった。

まあ、俺を人間と見ないようにしたのであろう。

「なるほどな、で、ゼルデンもそうなのか?」

ゼルデンはセブンワンダーよりも先に冒険者登録をしていて、年齢もセブンワンダーよりも少し上だ。

「はい、セブンよりは弱いですが、ここの剣士達よりは幾分かは…」

ゼルデンがそう答えた後、俺は、エブエブとドラキュエらも、それぞれ『探求』て、その能力を確認した。

「つまり、お前達はある程度の『火』の攻撃魔法は使えるが、剣士や拳闘士、武術家等の戦闘職業の経験はないし、そのスキルもないということだ…」

「その通りです。」


うーん、普通、この世界、特に人間のスキル取得は、自分の適正にあった職業を選択し、それを習熟させていくことによって『スキル取得』していくシステムだ。

魔族の者は、魔力が生まれつき高いため、全員が魔法を使える者が多数を占める。

そのため、スキル取得という考え方があまりないし、職業もあまり細かく分けられていない。

それは、彼等の集落の状態を見ても良くわかる。

町や村というよりも、ひとつの家族のように、ひっそりと『神の隔壁』に住み、人間の文化との交流も少なく、決して裕福な生活をしている訳でもなく、原始的な生活をしている。


俺は、そんな文化の違いを持っている彼等であるからこそ、何故、人間の世界に住もうと考えたのか不思議に思った。


俺は彼等から、人間の国に住むきっかけや冒険者になった経緯などを聞いた。


彼等の話によると、魔族の者達は時々、自分達が森で狩った動物や魔物の肉、素材を売って現金にし、それで生活必需品や、食料などのうち自分達では作れないパンや干し肉など加工食品を購入調達することがあるらしく、セブンワンダーも、街の事に精通している『じい』こと、チェイスに案内され、何度か街に連れて来られた事があって、人間の存在を知ったらしい。


俺にすれば、この世界の人間の生活レベルはまだまだだと思うのだが、魔族の者にしてみれば憧れる程の文化だという。

元々、寿命の長さとともに、頭の優秀さでは魔族の方が上らしいのだが、魔力の強さがプライドとして邪魔をして、

『我々は努力をしなくても、働かなくとも、魔力があれば何とかなる。』

という、高学歴ニート君みたいな考えを持っている奴が多数を占めていたらしく、次第に生活状態が退化していったらしい。


これは図書館の本の知識にはなかったな。


そんなことで、魔族達の中にもそんな生活を嫌って、憧れの人間の生活をするため、人間の国に入ろうとする者も出始める様になったという。

人間の街の中には、そうして素性を隠して人間として暮らしている魔族の者達が何人もいるらしく、エブエブやゼルデンなんかは、セブンワンダーよりも、先に人間の街の中に住み、冒険者として登録をして活動していた。

セブンワンダーも魔王の地位は兄のイゴウルスが継ぐことになっているため、自分としては、いずれ、成人すれば集落を離れて行かなければならない掟もあって、兄の魔王就任に合わせて、集落を後にしたらしい。

その時にドラキュエとクロトリが付いて来たという。


セブンワンダーはチェイスを知るゼルデンの協力で人間として、街に入り込んだ。

丁度、ウィルマジス王国が起こした戦争による混乱でロイドストルス王国に紛れ込み、同国の戦士として戦っていたという。


なるほどな、ウィルマジス王国が攻め込んでも中々、ロイドストルスが落とせなかった理由がこれだったのだろう。


結果的に彼等は、俺がウィルマジスを落とした事で、戦争が終結したため、再び、冒険者として活動を再開し、この新しく出来たゴートワイナリ支部に拠点を移して活動をしていたということらしい。


「で、全く、理由を聞いていなかったのだが、何故、あんな詐欺紛いの事をやり始めたんだ?」

俺がその理由を聞くと、実のところ、ちょっと俺には耳の痛い話でもあった。


「実は、この間まで私達は、魔族の飛行能力を利用して、マイズカインの森へ魔物を狩りによく入り込んでいたのですが、最近になって、急に魔物の姿が激減と言うか、ほとんど見られなくなったのです。近くにカイナド村という小さな村がありますが、彼等が凶暴な魔物などを乱獲したとは到底思えず、何かの天変地異の前触れかとも思いましたが、それ以前に特に予兆らしきものもなく、原因がわからないまま、我々は仕方なく、他のクエストから報酬を得るため、色々な事をしたのですが、人間程器用にクエストをこなせる訳でもなく、五人分の生活費を得ることが出来ず、たちまちお金のやりくりに困ってしまったのです。」

「で、外地の素材を入手、加工して報酬を手に入れる方法を思い付いたと…」

「その通りです…外地の素材は我々が入手するのは簡単ですが、人間には無理なので、入手経路さえバレなければ、我々が魔族であることも隠せますし、適当に似たようなものを納品すれば、ギルドもあまり詮索もせず、受け取ってくれていましたので…段々と調子に乗ってしまって…」

「で、今回のドラゴン退治を思い付いたと?」

「はい、全く、その通りです。やり過ぎました。その後、急にみんなが我々を『勇者』だと言い出したもので…今さら嘘だと言えず、つい、そのまま…」

セブンワンダーは頭を下げた。


まあ、コイツらをこんな行動に走らせたのは、ある意味俺の責任でもある。

マイズカインの森の魔物を片っ端から回収していたのは何を隠そうこの俺だったからだ。


戦争孤児やストリートチルドレンを保護している施設の資金源として、俺がその回収した魔物を食料としたり、現金化していたため、あの辺り一帯の魔物はいなくなっていたのだ。


ま、彼等には、後々、説明をしてやるつもりだが、俺としても事情がわかると、彼等には少し悪い事をしたなという気持ちもあって、彼等には自力で取得してもらおうと思っていた職業スキルをサービスで与える事にした。


あまり、強力過ぎても何なので、俺の【スキル 適当】で、彼等にはいい具合の能力を与えることにした。

先ずは、エブエブだが、基本的に魔法使いと言うことなので、攻撃魔法の威力を上昇させる【魔法攻撃力増加】と【補助魔法】、【属性魔法】で足りない分を付与した。

【付与】のスキルは【スキル 魔神眼】に進化したときに得られた。

ちなみに【スキルコピー】というものもあって、他人が持っているスキルを読み取り自分の物とすることが出来るらしい。

あと、【神の導き手】さんから、まだ【スキル 魔神眼】は間もなく再度のマイナーチェンジする予定であり、今後、他人が持っているスキルや固有魔法等を奪い取る【スキル 強奪ごうだつ】というものが控えているらしい。

ま、とんでもない事になってきているのは間違いない。


エブエブに与えた【補助魔法】は、この世界には元々存在しない魔法らしく、彼自身も非常に驚いていた。

例えば従来の火魔法では、火の大きさを変えるだけで、火球というものしか無いのだが、それを【補助魔法】で、数や形状を変化させることにより、『火柱』『火の槍』『火の矢』『火の壁』等々攻撃や防御のバリエーションを増やす事が出来るようになっていた。


また、ドラキュエだが、僧侶というネーミングを改めさせ、『神官』ということに設定し直し、【回復魔法】【治癒魔法】【身体能力強化魔法】【状態異常解除魔法】【解毒魔法】【防御魔法】を付与した。

これらの魔法は【魔法全鑑】に載っていたものだ。


そしてセブンワンダーとゼルデンだが、共に【剣術】【槍術】【棒術】【弓術】【格闘術】【馬術】を付与し、あと、【身体能力強化】を永続的に付与した。

そして、更には【補助スキル】を付与し、

『気配察知』『気配隠蔽』『達人』『体術』等が使えるようにした。

また、これらのスキルには段階があって、使えば使うほど熟練度が増すので、その度にスキルレベルが上がっていくこととなる。


それと、ゼルデンには業物の剣を与える事とし、セブンワンダーは勇者という事なので、【使用者制限】を付与した、特注の剣を後で与える事にした。

いわゆる【聖剣】という奴だ。

魔王の弟が、勇者を名乗って【聖剣】を持ってドラゴン退治をするとは、何かラノベみたいだなと思いながら、俺は彼等を改造し、勇者パーティーに作り上げていったのだった。


俺がそれらの作業を終えるとセブンワンダー達は涙を流していた。


「ヒロシ様、私達はあなた様の事を誤解していたようです。我等を魔族の者と知りながら、この様な凄いスキルや魔法を与えて頂いて、本当にありがとうございます。これでドラゴン退治をすることが出来ると思います。」

とセブンワンダーは俺に言った。

だが、俺は、

「いや、多分、まだ、ドラゴンを退治することは無理だと思う。もう少し、俺が与えたその能力を使いこなしてから討伐に向かう方が良いだろうな。」

と応えた。

「えっ?!これだけ凄い能力を持ってしてもドラゴン退治は無理なんですか?!」

「そうだな。命が欲しいのならそうすべきだろう。俺は、ドラゴン退治をしろとは言ったが、今日中に退治に行けとは言わなかったはずだが?」

セブンワンダー達は、それを聞くとハッとした顔になり、直ぐに俺に礼をした。

ドラゴン退治に猶予を与えて貰えたと気付いたようだ。


だが、世の中はそんな甘いものではない。


「そうだな、先ずは手始めとしてお前達には人間として、アレリカイア王国に立ち寄ってもらい、その後で魔族の集落の方に向かってもらおうかな。」

「えっ?今、何と?」

「魔族の集落を落とすんだよ。」


「お前達はロイドストルス王国の戦士として戦っていた経験もあるんだろ?じゃあ、俺の指示で、勇者としてアレリカイア王国を襲って来た魔族を討伐してもらう。」

「そ、そんな、そんなことは…」

「出来ないとは言わさない。アレリカイア王国に先ずはこの手紙を届けろ。そして、アレリカイア王国がお前達に魔族の討伐を認めればそのまま魔族の集落に向かえ、そして、お前の兄、イゴウルスを殺せ。それには後で俺も同行する。間違っても逃げるなよ。そんなことをすれば直ぐにわかるし、即座に死ぬことになる。」

セブンワンダーは先程まで俺に力を与えてもらい完全に俺を信頼していた事であろう。

だが、ここで俺に完全に裏切られた格好となった。


「……わ、わかりました。」

セブンワンダーは完全に意気消沈、他の者達も同じであった。

彼等に残っていた僅かな希望は消えていた。


彼等はその足で、一路アレリカイア王国に向かったのだった。



インスタグラムに設定画公開中!

ginryuuin_rinseiで検索出来ます。

フォロー待ってます。(*´∀`)♪

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