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89 処遇を決める前に調査です3

皆から伯爵家の評判を聞いた後、仮面の騎士になれるように少年に変装した。今は仮面を着けてないけど所持している。卵は寄って来ないけど鉄球に装着した。

「では行きましょうか」

支所長に促されて外に向かう。

「お嬢様、焼き肉の準備をしておきますよ。いってらっしゃい」

「ありがとう、よろしくね。いってきます!」

私は焼き肉を楽しみに頑張ろうと気合いを入れた。


外に出るとヒュストと支所長用の魔獣が待機していた。ヒュストには仮面の騎士バージョンで、と念話したのでミルクティ色になっている。

「ヒュスト、あなたがいてくれて助かるわ」

『うむ、我も主といるのは好きだぞ。主の魔力は潤沢で心地いいからな。側にいるとウキウキするし安らぐ』

そうなの?ウキウキと安らぐって何か反対のような?‥‥まぁ、いいか。好ましく思ってくれてるってことだもんね。

私はヒュストに飛び乗った。

「トムスカナ伯爵邸に行ってみましょう」


先ずはトムスカナ伯爵邸のある領都をざっと見て回ったけど魔獣の姿は見当たらなかった。皆避難しているのか人影もほぼなくて、武装している警備員達が巡回していた。


しかし伯爵邸の中は賑わっていた。どうやら魔獣を警戒して、妊婦さんたちを邸宅に避難させているみたいで、お腹の大きい人が結構いる。小さな子供のいる母親もいる。若奥様と同じ妊婦さんたちや小さな子供のいる母親に配慮したのだと思われる。何かもうこれだけで別に罰を与える必要はないんじゃないかって気がする。でも念のために確認しなくちゃね。間違った判断をしたら大変だもの。

ここに来る前はサバイバルで鍛えた壁登りの技術を使って窓から覗いて見るつもりだったんだけど、一階の大広間に人が集まっているので壁登りは必要なかった。

支所長が、

「あそこにいる黄色っぽい服の人が若奥様で青色の服の人が奥様ですよ」

と指し示してくれた。見ると大きなお腹をした妊婦さんと年配の女性が妊婦さんたちの中心にいて、周りの人たちとにこやかに談笑している。若奥様には3歳ぐらいの女の子がべったりとくっついていて、6歳ぐらいの女の子が奥様の横にちんまりと座っていた。しばらく見ていたけど特に動きがなさそうだったので、今度は若様の方を探しに行くことにした。

支所長に合図して邸宅から離れると塀を飛び越えて敷地の外に出た。不法侵入だと思われるかもしれないけど、今回は処遇を決める調査の一環なので不法行為には当たらないのだ。

「また確認に来るとして次は若様の様子を見に行きましょう。取り敢えず魔獣がいる所をヒュストに探してもらって行けば見つかると思うのよね。真面目に討伐していれば」


私たちはヒュストに探索してもらいながら移動した。居住地以外で普通に棲息している魔獣は放っておいたけど居住地を彷徨いている魔獣はついでに討伐しておいた。何ヵ所目かで魔獣の群れと騎士団の人達が戦っていたけど、そこに若様はいなかった。見たところ特に強い魔獣もおらず、騎士団だけで討伐出来そうだったのでノータッチで次に向かった。そんな感じで回っていると囮と一緒にいた護衛三人も見つけた。真面目に討伐していたので、ヨシヨシ頑張れ、と心の中でエールを送っておいた。それにしても結構回っているのに中々若様に当たらない。ヒュストで直ぐに移動しているから、今一つ距離感がないんだけど結構広範囲に魔獣が散らばってる気がする。初動でSランクを叩かなかったために、戦闘員がSランクの対応に割かれた分、他の魔獣が野放しになってしまったんだろうな。囮の断罪に手心の必要は全くないわね。


そうして回っていると戦闘中の所に行き当たった。それも中々苦戦している。怪我人もいて、これは手助けが必要ね。私は仮面を装着すると魔獣と人の間に割って入った。取り敢えず軽くいなしてから討伐してもいいか訊く。

「討伐と素材の採取をしてもいいか?」

「ああ、頼む。助かる」

という返事をもらったので、魔獣の顎の下を思いっきり蹴りあげた。魔獣は放物線を描いて飛んでいき、そのまま動かなくなった。よし、討伐完了。

「おお、凄いな。実はこの奥にもう一体いて別の者が戦っているんだが、そっちの様子を見て必要なら加勢してもらえないだろうか」

この人達はボロボロで、でも奥の方が気になって仕方がないようだ。

「分かった」

私は奥に向かった。直ぐに戦闘の音が聞こえてきた。さっきの魔獣と同じ種類だけどちょっと大きいのと一人の男性が戦っている。何だか互角っていう感じで決着がつかないみたい。私は割って入ってもいいのか分からなかったので、

「手助けが必要か?」

と訊いてみた。その男性は、

「もうちょっと先に戦っている者たちがいるから、そっちを先に助けてやってくれないか」

と言った。

「その魔獣のちょっと小さい奴なら討伐した。そこで戦っていた人達に奥の様子を見て必要なら加勢して欲しいと頼まれたから来たんだが」

「そうか。ありがとう。素材は自由にしてもらっていいから加勢してくれるか」

「了解」

私は魔獣より高くジャンプして魔獣の頭を上から蹴りつけた。この靴は靴底に金属が仕込んであるのだ。魔獣は頭を地面にめり込ませて動かなくなった。よし、討伐終了。

「おお、凄いな。強いな」

男性はキラキラした瞳で私を見てきた。



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