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63 (キース視点)メリアージュ嬢が去ったワイマール領で

キースは両親にワイマール主神殿での出来事を説明した後、第二王子に緊急速達便を送った。


ニコはきっと驚くだろうな‥‥。

第二王子が驚く様を想像して、キースはふふっと笑った。

メリアージュ嬢の話と神罰×印事件の調査結果を見て、頭を抱えるのが目に見える。

王子と書いたが、あれはニコを想定したのではなく実は王太子の方を想定している。あの鼻につく王子がメリアージュ嬢に御神像から光が降り注いだと知ればどうするか。何もしなければいいが、手を出すなら容赦しない。


キースは不思議な感覚を持っている。キースにとっては当たり前だが、何故か人の本質と言っていい何かが分かるのだ。

だからプリシラ嬢の変装も見破れるし、付き合った女の子たちがどうすればより美しくなれるのかも分かる。

これは説明しようとしても仕切れない。何故ならキースにとってはそれが普通であるから、分からないという感覚が分からないからだ。

色々な人と交流することで、どうやら自分のように感じる者が滅多にいないと知った。キースからすれば、何故分からないか不思議でしょうがない。


初めて会ったメリアージュ嬢は、華奢で美しく異性にあまり関心がない優秀な淑女、と言った感じだった。キースが約1ヶ月に一人女性と付き合っていると知っていても他人事無関心。第二王子ニコライの妃候補になっても、義務は果たそう、といった感じだった。


ところが、ある時を境に変わった。

キースを見るとそそくさと逃げる。特に女性と一緒にいる時は顕著に避ける。異性には無関心ではなく警戒心。

キースの感覚は対象者の近くにいないと働かないため詳しいことは分からなかったが、こんなにガラッと変わるのは珍しい。何らかの犯罪や事件に巻き込まれたり、親しい人を亡くしたり、裏切られたりした人には起こることのある現象だが、彼女にそういった何かがあったとは聞いていなかった。


キースは避けられているのにわざわざ近づこうとは思わなかった。むしろ気をきかせてなるべく接触しないようにしていた。そのため、彼女に近づいたのは神罰×印事件の調査で担当が同じになってからである。

近づいて驚いたことに彼女の本質と言っていい何かが分からない。以前は何かしら感じ取れていたのに。ただ意外に表情は分かり易く、ムッとしたり恥ずかしそうにしたりして可愛らしかった。


そして驚いたのが魔力制御。魔力を内に抑え込んでいて、それを解放した時の圧倒的な強者の存在感。あまりに強烈な気配に本能が警戒した。彼女は魔物じゃないとプリプリしていたけど、弱い魔物より強いと感じた。

その後、魔力制御を内密にしてほしいと頼みにきた時の悲愴感。彼女は商会の女性と言っていたけど、多分それだけじゃない。何かしらが彼女にもあったのだろうとは推測出来た。


ワイマール領では神殿を調べる前に魔獣が押し寄せてきて彼女の商会には助けられた。彼女は2000体の魔獣を何てことのないように言っていた。髭ヒーローの強さを知っていればAランクが10体いても動じないのかもしれない。

その後は彼女の使役している魔獣の速さに驚いた。さっさと次の神殿に向かい、キースを待つ時間で素材採取に勤しんでいた。ただその速さもキースの前ではセーブしていたのを知った。まさか消える程のスピードが出せるとは。


思い浮かぶのは、御神像から光が降り注ぎ光を纏っているメリアージュ嬢。あの神秘的な光景は何度思い返しても美しい。彼女は神に縁がある。それがどんな縁かは報告待ちだ。


神官長から緊急速達便が届いた。

メリアージュ嬢は愛し子。愛し子って何?

神官長の手紙には、愛し子とは、神が特に目を掛けておられて見守っている存在、だと書いてある。

‥‥メリアージュ嬢は神に常に監視されているのか?


取り敢えずニコにメリアージュ嬢は愛し子だと緊急速達便を送った。


そして暫くすると、ニコからも緊急速達便が。

何と神子直筆の書状が同封されている。これでメリアージュ嬢を護れと。ただ彼女自身には愛し子であることは告げないようにと。

メリアージュ嬢は神子であることは強く否定していて、それは正しかったわけだけど、自分が愛し子と聞いてもオタオタしそうではある。彼女の平穏のためなんだろうことは分かる。どこまで隠し通せるかは分からないけど頑張ろう。

そう決意してドリスデンに向かった。



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