表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/282

58 ドリスデン主神殿

私の言葉を聞いたキースは何とも言えない微妙な顔をした。


その時、ノックの音がして、大丈夫ですか?と声が聞こえた。キースが確認を取るようにこちらを見たので頷いた。


「どうぞ」

「失礼いたします。お加減はどうですか?」

ベッドで体を起こしている私を見て、優しい顔をした年配の女性が問いかけてくれた。


「大丈夫です。ご迷惑をお掛けしました」

私はベッドから降りようとして、靴を探した。靴の横に卵がいた。


「キ、キース様、その卵‥‥」

「いつの間にかいたよ。いや、本当に凄く執着されてるね」

「その卵に、Gの体液とか掛かっていませんか?もし掛かっていたら、無理です。絶対無理です」


キースは手では触らないよう、近くに立てかけてあった棒を取ると卵を動かして確認してくれた。


「見たところ汚れはないよ。心配なら消毒する?」


私は速攻で頷いた。

キースは卵に消毒液をかけてくれた。そして、よく気が利くことに、靴も消毒してくれた。Gが触れていた可能性を考えて対処してくれたキースには感謝しかない。


お陰で私は安心して靴を履き、携帯していた別の鞄に卵を入れた。


「討伐された魔虫の素材を回収したと連絡がきています。どうされますか?」


私はぎこちなくキースを見た。

キースは、

「あれほどの大きさは中々見ないよ。放置するのは勿体ないからね」

と微笑んだ。


「‥‥もし、キース様がご入り用ならば、必要なだけ取ってもらって構いません。でも今後私の半径1メートル以内には近づかないでくださいませ」


Gの何かが近くにあるかもと思うだけでぞっとする。本当は5メートルと言いたいところを我慢した。


キースは苦笑した。


「それは困るなぁ。あの素材はどうするの?」

「お布施いたしますわ。元々主神殿の境内で討伐したものですし」

「それもそうだね」


キースは頷くと、お布施を記入する用紙がどこにあるか尋ねた。


「大丈夫なら、礼拝しに行こうか?」



私たちは礼拝堂に移動した。階段に人が沢山いたことからも分かるように礼拝堂にも人が多い。

皆しっかりとお祈りするらしく、一人当たりの時間が結構長い。祭壇前に行くのに随分並んで待ったので、御神像とか礼拝堂の造り、絵画、祭具などを眺めながら過ごした。

ここの堂内は原則私語禁止だから、時折人が移動する時にたてる音がするくらいだ。静かな環境に身を置いていると、魔Gとの遭遇で荒れていた心が段々落ち着いてきた。祭壇前に進む頃には心は随分凪いでいた。


キースとともに祭壇前に進むと、私は目を瞑り祈りを捧げた。目を瞑った方が祈りが届きやすい気がするのだ。


『神様いつもありがとうございます。

今日は魔Gと遭遇して大変でした。

無事に対処できたことに心から感謝します。

でも、どうか出来る限り遭遇しませんように!

もし遭遇した場合、接触しませんように!

出来ることなら絶滅させて欲しいです!

あ、純粋な感謝の祈りじゃなくなってしまった‥‥神様すみません。

でもGは嫌です。嫌なんです‥‥』


祈っている途中で複数の人が声を出したから気を取られそうになったけど、幸い直ぐに静かになった。何があったんだろう?

私が目を開いた時、キースは後ろを向いていた。何が起きたか確認していたのかしら?

ちょっと不思議に感じたものの、次に礼拝する人のため祭壇前から移動した。


礼拝堂を出ると、神官服を身に纏ったがっしりとした60歳前後に見える男性が近付いてきた。ケトランを見ると神官長だった。さすがドリスデンの神官長、年齢を感じさせない鍛えていることが窺える身のこなしだ。神官長は急に立ち止まると私の後ろに視線を向け頷いた。不思議に思って振り返ると、キースが書状入れを仕舞っていた。


何なの?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ