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42 素材採取

「お嬢、これで最後?」

「ええ、これで最後よ。

それは研究所に、これは‥‥よし、終了!」


商会の倉庫で素材の仕分けを終えるとホッと一息ついた。何とか待ち合わせに間に合うように終えることが出来た。これから制服に着替えて、神殿に向かわなくては。


ワイマール領に来て素材の採取に勤しんでいたら、魔獸がワラワラ湧いてきたのよね。

あれ、何だったのかしら?

幸い、私も商会の人間も手練れといっていい腕前なので捌けたけど、あの数はもし私たちがいなければ町や村に相当な被害が出たんじゃないかな?強さ的には何でもないけど、数がね。一人だったら取りこぼしが出ただろうなー。

まあ、いざとなったら、魔力を解放して威圧をすればいいんだろうけど、せっかくの獲物が逃げちゃうからね!


今回は素材を直ぐに引き取ってもらうために、商会の人に大勢で待機してもらってて良かった。うん、以前大きい魔獸に遭遇して討伐した時、一人だったものだから、素材を持てる量に限度があって置いていったのよね。後で商会の皆と取りに行ったら、魔鳥に運ばれていくのが見えて悔しくって。

今回は最初から、大勢で待機してたのが幸いしたわー。


「それにしても会長、斬新な格好ですね‥‥近くで見ると変‥‥」

「うふふ、そうでしょう?」


最後の方の言葉は聞こえなかったが、私は得意になった。仮面の騎士が有名になってきたので、急遽別バージョンを考えたのだ。仮面は着けてないが、前髪で目元を覆い、フサフサの付け髭をつけている。前髪で隠れると思うが、念のため目尻や額にちょこっと皴を描いている。肌も日焼けしたような感じに塗っている。

プリシラ直伝変装術よ!


服はお父様の着なくなったのを改造した。今回は時間がなかったからやっつけ仕事だったけど、今後はもっとしっくりくるように変更するつもり。

それにしても、男物の服って重いのね‥‥肩が凝っちゃう。靴も重くて、身長を誤魔化すために底上げしたり、サイズを合わせるために中に詰め物したから動きづらいのよね。ちょっとしたことで、たたらを踏んだり、躓いたりしてしまう。


うん、男物に見えて、動きやすくて軽い服と靴を作ろう‥‥。目指すのは40~50才の男性。女性のままで変装することも考えたけど、身バレする可能性が高くなる気がしたからやめたのだ。


「着替えてくるわ」

「その格好で女の声だと違和感が凄い‥‥」


誰かが呟いたが、メリアージュの耳には入らなかった。



制服に着替え終わって、最終チェックをしていたところ、来客の知らせが届いた。


「どなたかしら?これから予定があるから、後に出来ないか聞いてみてくださる?」


「ワイマール伯爵のご子息キース様でいらっしゃいます」


あら?これから神殿の近くで待ち合わせてるのに、わざわざどうしたのかしら?


「直ぐに行くわ、応接室にお通ししてくれる?」


私は急いで調査に必要なものが入った鞄を持つと応接室に向かった。


「キース様、お待たせしました」


どうしたんだろう?と思いつつ窺うと、キースはちょっとぼおっとした熱っぽい瞳でこちらを見た。ちょっと、色気とフェロモンがスゴいんですけど!

私がたじろぐと、ハッとしたように姿勢を正した。最初から色気をしまっておいて欲しい‥‥。


「メリアージュ嬢、申し訳ないんだけど、神殿の調査の前に尋ねたいことがあるんだ」


「はい、何でしょう?」


「先程、領民から沢山の魔獸がこちらに向かって来ていると報告を受け、駆けつけたところ魔獸が見当たらなかった。この商会の方々が討伐されたと聞いたけれど間違いないだろうか?」


「はい、間違いございませんわ」


「‥‥その、結構な数だと聞いたんだけど」


「そうですわね、2000体ぐらいいたかしら?」


「2000‥‥それを商会の人たちだけで?」


「ええ、こちらも70人ぐらいはいたので。手練れを揃えていると言いましたでしょう?」


まあ、その内20人ぐらいは、運搬でてんてこ舞いだったけどね。何せ数が数だけに‥‥。


キースは黙ったまま考え込んでいる。


「キース様?」


「あ、ああ‥‥因みに魔獸のランクはどれくらい?」


「そうですわね。

おおよそですが、Dランクが一番多く1200体、次がCランクで700体、Bランクが90体、Aランクは10体でしょうか」


「Bランクが90体に、Aランクが10体‥‥」


「ホホ、お陰で必要な素材がたっぷり取れました。ちょっと捌くのに時間をとられましたが、神殿の調査には間に合いましたし、良かったですわ。でも、あの魔獸たちは何故あんなにワラワラ湧いてきたんでしょうね?」


私は不思議だったので、キースに訊いてみた。


「それはこれから調べるつもりだよ。この度は君たちのお陰で魔獸の被害をださずにすんだ。心から感謝する」


キースは胸に手を当てて真摯な顔で述べると微笑んだ。


うっ攻略対象の微笑み!

眩しいばかりにキラキラしているのに加えて、この人の場合はフェロモンと色気がマシマシ!

ラピスラズリの瞳に散る金色が光を強くして美しい。


‥‥これって攻略が進んでる時に出るやつじゃない?うろ覚えの記憶だけど、最初は目が輝いて、次はちょっと頬が赤くなって、その次はハートがエフェクトとして飛び始めて、攻略が進むにつれハートの数が増えていくのよね。確か説明書に書いてあった。

あれ、現実ではどうなるんだろう?流石にハートは飛ばないよね?

そして何故キースの瞳はこんなに輝いているの?


‥‥うん、まあ、攻略ではなく、感謝の気持ちの時に瞳が輝いても変じゃないわね。


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