14 (過去)第二王子の死
「考えてもみてください。死とは、第二王子の魂が肉体から解き放たれるということなのですよ。私同様、自由に動き回られると思うと」
それを想像した私たちはブルリと体を震わせます。狂気の粘着質男が自由に動き回る、おぞまし過ぎます。
夏の怪奇番組の映像と音楽が思い浮かんでしまい慌てて消しました。夏に布団を被り、ブルブル震えていたのを思い出しました。
「自覚のないまま死んでしまった第二王子は、肉体から抜けた魂である自分を認識すると、何度も肉体に戻ろうとしていました。自分の肉体に重なってみたり、高い所から飛び込んでみたり色々試していました。その時、第二王子の肉体と魂は、まだ白銀の紐のようなもので繋がっておりました。魂と肉体の頭の上から白銀の紐が伸びて繋がっているのです。
そのうちどうあっても肉体が動かせないと分かると、諦めた雰囲気の後、ニヤリと笑ったのです。ご執心のお相手の所に行こうと思っているのがまる分かりでした」
あまりのおぞましさに口から「ヒーッ」という声が漏れてしまいます。思わず隣のシャルロッテと手を取り合います。
「私は、何とかしなくては、と思いましたが、気持ちの悪さに近寄りたくなく、情けないことに身動きが出来ませんでした。第二王子は魂独特の感覚でお相手の方が何処にいるか探っているようでした。
私は本当にどうしようもなくて、祈ることしか出来ませんでした。どうぞお相手の方が見つかりませんように、と。その祈りは何かしらの力を伴っていたらしく、お相手の方の居場所が掴めなくて、第二王子はイライラしていました。幸い魂歴が長く、日々念を込めまくっている私の方が念力の強さに長けていて妨害が成功していたのです。
そうこうしている内に第二王子の肉体と魂を繋いでいる紐がフツリと切れたのです。ああ、これで魂が肉体に戻ることはないのだ、と何故か分かりました」
私は思わず自分の頭の上を撫でていました。私の紐、切れてないよね?
周りを見ると皆頭の上を撫でていて、それを見てプリシラがクスリと笑います。その瞳は可愛いものを愛でるようで慈愛深さを感じました。聖母様~と甘えたくなるような、そんな気持ちになりました。
大丈夫ですよ、という風に頷きながらプリシラは続けます。
「フツリと紐が切れたのに第二王子も気が付きました。切れた紐を茫然と見ています。
勿論私の紐はとっくに切れています。でも切れた時は、お相手の方の逃避行に協力していて夢中だったので認識していませんでした。思い返せば途中で何か解放されたような、魂が軽くなったような感覚を覚えたので多分その時でしょう。
引き続き用心深く第二王子を見ていると、第二王子の魂がズズズと沈んでいきます。それに気付いた第二王子は上に上がろうと足掻くのですが、黒い手のような、蔦のような、蛇のような何とも不気味な蠢くものに絡めとられたと思うと、あっという間に沈んでいったのです」




