第65話 あなたのお母様は動画投稿者さん!
インターネット上の動画は、読み上げ系のものが好きです。
スク水バス子の持つ薄型モニターが映りました。映像はモノクロではなく、カラーです。
「カラーってわざわざ言うのが前時代的だなー」
モニターの画面内はこちらの夢の世界と同様、背景は暗い色の宇宙でした。ドットと呼ばれる粒の集合体で描かれた小さな戦闘機、複数の敵異星人の姿があります。画面下部の戦闘機が左右に動き、弾を発射し、次々と飛来する敵を倒していました。いわゆる、シューティングゲームの画面ですね。
「これって……」
そうです。お母様の娘のあなたならば、早い段階でお分かりになる映像でした。
『どうもー! 虹母でーす!』
動画内に人物は映りませんが、本物のお母様、八意智奈子様の元気なお声が流れ始めます。
「……この動画、お母さんの紹介動画だよね?」
はい。『虹母』というのは、二児の母ということで、ご自身で投稿する動画では、そう名乗っています。
『こちらの動画では、昔のゲームをプレイしながら、適当に喋っていきます! 雑な編集が多くあると思いますが、応援よろしくお願いしまーす!』
小さな自機が、敵を一機ずつ撃破していきます。そのたびに、気持ちの良い効果音と大げさな花火が出ます。上部の点数も増えます。大儲けです……とはなりません。
『こちらのゲームは私のお気に入りで、プチプチと敵を潰していくのが面白いのですよねー。もちろん、二児の子供達を日頃から潰したりはしていませんので、ご安心して動画をお楽しみ下さい。こちらのゲームのプレイ動画はいくつもあるので、お時間ある方々は、ぜひ全部観ていって下さいねー。では!』
短い動画が終了し、画面は完全な黒一色になりました。
「以上です。とても楽しい動画でしたね」
画面を支えるバス子が言います。
「……今の楽しい?」
「そんなことを言われると、お母様、悲しいです」
画面を支えるバス子が応えました。
「そういうセリフこそ横で立ってるお母さんの偽者に言わせようよ!」
「そんなっ!」
バス子に100のダメージ!
「急にダメージ判定が出て来た!」
「ギャッ!」
バス子を撃破!
「一撃で撃破なのッ?」
どっかーん! 爆発する花火! バス子、モニターごと消滅!
「なんでだ!」
宇宙の神秘を表現するためです。
「宇宙の神秘ってなんなんだろうねッ!」
スク水バス子の散った大宇宙の中では、あなたと偽者お母様が向かい合います。
この後、生き残ったあなたと偽者お母様がお互いにお尻を向け合って戦う……、いわゆるスク水バトルになるなんてことは、ありませんよね?
「私に疑問形で聞かないで! 私に決める権利があるんなら、絶対ノーだよ!」
分かりました。……そうします。
「残念そうな声に言わないでよっ!」
紺色スクール水着で、両者は向かい合ったままでした。
今回の解説をさせて頂きます。スク水バス子が一撃でやられたのは、昔のシューティングゲームの最初に編隊を組んで出て来る敵が、大抵一発で倒せるからです。変態じゃなくて編隊です。最初の敵なのに耐久力がある横スクロールシューティングもプレイしたことありますが、あれはやばかったと思います。
私はシューティングだと、固定画面型が一番好きです。
今回も最後まで読んで下さり、ありがとうございます。




