第62話 恐怖の部分! 脅しますよ!
人型バス子にリバーは脅されます。
サキュバスが生み出した、夢の中。こちらにいるのは、あなたと人型のバス子だけ……。
「嬉しいですねっ!」
「……微妙」
両手を合わせて微笑む人型バス子と、お喜びでないあなたです。
あなたのスクール水着とバス子の薄茶色のロングドレスでは、見た目が全く異なるような錯覚を起こしますよね。しかしながら、バス子がもし、あなたと同じスク水を着て、三つ編みの髪を解いて一つにまとめたら、どうなるでしょうか?
「そのお答えは、ほぼ色違いの貴女になれる、です」
「それよりもさ……。いつまでスク水でいればいいの?」
あなたはおかしいです。
「まあ、スク水で図書館にいるからね」
そうではありません。
「貴女は散々バス子に助けられたのに、お礼の口づけもして下さらないなんて、おかしくありませんか? 感謝のお気持ちはないのですか?」
眉を上げてバス子が不満を述べました。
「いや、バス子ちゃんには感謝はしてるよ? でも、だからってキスは、やっぱりダメじゃない? 私達、女同士だし」
あなたには以前、バス子は男ではないかと疑われておりました。バス子が男性ならば、口づけをして下さるのですか?
「えー、いきなりそんなこと言われても……」
今からバス男になったので、――キス、しようぜ?
「ちょっとイケメンっぽかった!」
「まあっ! こんなに美少女のようなかわいいバス子に対して、魅力的な殿方のようだとおっしゃるなんて、貴女は何をお考えなのですかっ?」
「じゃあイケメンっぽい声出さないでよ! あとキスもしないからねっ!」
「……分かりました。その代わり、怖いお話をさせて頂きます」
「怖い話をしている最中にバス子ちゃんの容姿がホントの男になっちゃうとかは、怖いからマジで勘弁してよ」
そのようなことにはなりません。こちらは幸せな夢の世界ですよ?
「幸せな世界なら、バス男なんて誰得なキャラは出て来ないと思う」
バス子はまず、あなたに背を向けます。長くて細い、薄緑色。そんな一本の三つ編みが目立ちます。そして、ゆっくりと……。
ロングスカート部分を、持ち上げました。
白いふくらはぎの後ろに一対ある、深緑色の短い角。
その真下の小さな翼。
上から垂れる黒い尻尾。
太ももを包んだ白いドロワーズの裾。
全てが、あなたには見えています。
「貴女は、このようなお考えに至ったことはございませんか?」
振り向いて、バス子がお伝えします。
「貴女がバス子で、バス子が貴女なら、バス子が貴女に成り代わることが出来るかもしれないということを」
「……そうなの?」
怖いお話にあなたは動揺しましたね。
「それに加えて、こちらの図書館の中は、サキュバスのバス子が生み出した夢の世界。こちらを支配しているのはもちろん、貴女の中にいるバス子です。夢だけでなく、貴女のお体さえも乗っ取って、貴女の精神をこちらに閉じ込めることも可能なのですよね。ふふっ」
「脅し?」
「ええ、脅しです」
バス子は無邪気な笑顔で返します。
図書館の中は、いくつもの本棚が入り組んだ、迷宮です。
一週間、お城の牢獄で耐えたあなたが、こちらで一生を過ごし続けるとしたら、どのくらい耐えられるでしょうか?
「ふふふふ……。口づけは諦めますが、貴女のお体は、諦めませんから」
バス子は角を、魔力で緑色に光らせます。
どうしてバス子が魔力を使っているのか、あなたには分かりますか?
「……これから、私の体を乗っ取るつもりなの?」
「いいえ。単に光らせているだけです」
「まさかのイルミネーションってどーいうことなんだッ!」
人型バス子は角の照明を消し、ロングドレスのスカート部分を下げました。
くるりと回り、あなたへと正面を向けます。
「怖かったですか?」
「まあ、少しは。……何がしたかったの?」
「ハエトリさんは、恐怖を与えたお相手の魔力を好む魔物だと、おっしゃっていましたよね? 実は、バス子もそうなのです」
「バス子ちゃんもなんだ」
「つまり、バス子とハエトリさんは、貴女への恋愛感情の有無と、髪を三つ編みにしているかしていないかぐらいしか、違いはありません」
「あれ? 胸部は?」
無回答とさせて頂きます。
「貴女を怖がらせて、より質の高い魔力を頂きたい気持ちもあります。バス子が貴女のお体を乗っ取ることが可能なのは本当ですが、お慕いする貴女には、そのようなことをしたくはありません」
「脅してきたのにっ?」
はい。
「そこでバス子はお願いします。……貴女のお体に流れる魔力を、頂けませんか?」
あなたと同じ顔が上目遣いで頼んでも、あなたには怖がられてしまうかもしれないですが、精一杯かわいく頼んだつもりです。
「……うん、いいよ。私はバス子ちゃんに感謝してるんだからね」
「そのお言葉を頂きたかったのですっ!」
「わっ!」
バス子はあなたを突き倒しました! あなたへと馬乗りになります!
「ハエトリさんとやってること同じじゃんっ!」
「はい。馬乗りは楽しいのです。ドキドキしませんか?」
「怖いハエトリさんを思い出しちゃうよ!」
「それならば恐怖をお与え出来るので、逆に好都合ですわ! お~ほっほっほっほっ!」
「バス子ちゃん今までそんな風に笑ったことなかったでしょ!」
淫魔のバス子の場合、あなたのかわいらしい下着に触れたり、バス子のかわいらしい下着を触れさせることで、かわいらしいあなたの魔力を効率的に奪えます。ハエトリさんも、同じ系統の魔族さんだったのでしょう。あのハエトリさんは変態です。
「変態が変態って言ってる!」
あなたのほうも、お相手の敏感な部分、例えば胸部やお尻に触れて魔力を奪うことが可能です。魔力の増幅のしかたの一つですので、どうかご記憶下さい。
「理解はしたけど、それってセクハラじゃない?」
セクシャルハラスメント、いわゆる性的な嫌がらせですね。あなたがそう思うのでしたら、緊急時の最終手段以外では、魔力を他者から奪わないようにして下さいませ。
「では、頂きます」
バス子は、はしたなくスカートの裾をたくし上げながら、膝立ちをします。白いドロワーズを再び晒しました。
そのまま、あなたのかわいいお顔に色白の太ももを寄せ、――力づくでがっしりと挟みます!
ドロワーズを穿いたサキュバスに脅されるなんて、リバーは幸せ者です。あなたもそうなったら、幸せですか?
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。




