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第6話 冒険者について、ご説明をさせて頂きますね

今回は、牢獄の中で勇者がサキュバスから冒険者の説明を受けます。一般的にはあり得ない事態でしょう。

 冒険者とは、定職に就かない者のことを指します。

「バス子さん差別主義者なのッ?」


 言いかたが厳しかったようですね。

「厳しいってレベルじゃなかったよ!」


 冒険者は非正規雇用者で、お給料が安定しません。お仕事のご依頼内容は、凶暴な魔物の退治から、工場での小型爆弾の製作まで、様々です。

「小型爆弾って、何に使うの?」

 もちろん、魔物にぶつけて攻撃するためです。

「この世界にも魔法はあるんだよね? 魔法攻撃はないの?」

 魔法攻撃もありますが、魔力を温存したい場合は小型爆弾のほうが便利です。炸裂音が気持ちいいのです。

「やだその過激派みたいな思考!」


 それで、冒険者は冒険者ギルドにお金を払って登録をするだけで、簡単に冒険者を名乗ることが出来ます。ただし、半年間に全く依頼をこなさなければ登録が抹消され、次回の登録時には別途手数料が発生しますのでご注意下さい。

「また手数料があるんだ」


 なお、あなた達勇者は、こちらの世界に来た時点ですでに冒険者登録がされているため、冒険者ギルドでの登録はご無用です。

「ギルドの定番イベントがまさかのカット!」

 わざわざギルドに出向かなくても大丈夫よ。と、バス子が冒険者ギルドの受付嬢のようにお伝えしてあげました。以上です。


 あっ、一応、ご説明はいたしますね。

 冒険者ギルドとは冒険者へのお仕事を斡旋する組合のことで、一つの街に一ヶ所ぐらいは拠点があります。

 冒険者ギルドは国営の機関で、働いている方々をあなたに分かりやすく申し上げれば、税金泥棒です。

「ホントに分かりやすいね!」


 一部では、冒険者よりも冒険者ギルドの職員のほうが待遇が良いと非難されています。

 必死で戦う冒険者は出来高制で、命を落とす危険性もあり、長時間労働を強いられることも多いです。その一方で、事務のお仕事が主なギルド職員は土日と祝日は通常お休みで、定時にはお仕事を切り上げるため、辛くて苦しい残業もありません。

「異世界なのに、異世界っぽくない社会の仕組みなんだなー……」


 冒険者ギルドには大抵、様々な用途に用いられる水晶が置かれています。

 冒険者のランクを調べたり、依頼の達成の証拠を映し出したりすることが可能ですが、水晶のご利用には一時間二千ビルの使用料が取られます。

「またお金がかかるんだ!」


 冒険者ランクは、下からビーバー級、リンクス級、コンドル級、クライズデール級、マンモス級となり、マンモス級の上には限られた冒険者のみが名乗ることを許されるリヴァイアサン級があります。

「多分、みんな動物の名前だよね? マンモスは絶滅してなかったり、リヴァイアサンは伝説じゃなくて実在しているってこと?」

 はい。マンモスもリヴァイアサンも希少種で、特に海中の巨大な怪物リヴァイアサンは、ドラゴン並かそれ以上に恐れられていますね。

「ランクには、ドラゴン級はないの?」

 はい。ドラゴンは種族によって力の差が激しく、コンドル級からリヴァイアサン級まで様々です。よって、ランクに用いるのは適切ではありません。

「ビーバーもなんか適切じゃないと思うんだけど……。ドッグとかキャットとかで良くない?」

 冒険者は犬さんでも泥棒猫さんでもないので、適切ではありません。

「その説明も適切じゃないと思う!」


 冒険者に関しては、この辺で良いでしょう。


 他にも何かございましたら、お時間は一週間分もございますので、いつでもご質問をして下さいませ。

「うん、ありがと。でも、ホントにこんなとこで一週間も過ごせるのかな……。誤解が解けて、出してもらえたりしないかなー」


 あなたは素晴らしいお方です。


「……なんで?」


 脱獄を試したりはしないようですから。


「そんなことをしたら、余計に疑われちゃうでしょう? 私は無罪なんだから、一週間どうにか耐えて、ここを出た後に疑いを晴らしたほうがいいに決まってるよ。もちろん、疑いが晴れたら多額の賠償金を支払わせるけどね」


 分かりました。脱獄はお手伝いしません。


「えっ? バス子さんにお願いすれば助けてくれるの?」

 はい。サキュバスの力を使えば、どうにかなると思います。


 ですが、あなたのお覚悟を尊重します。


「うん、それでいいよ。私もなるべく、自分の力でどうにかしたいからね」


 了解しました。


 このような時でさえ健気に振る舞うあなたのため、あなたの奴隷たるバス子は、頑張りますと、強く忠誠を誓います。

正々堂々と頑張った人こそ、報われてほしいものです。


最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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