第56話 ―‐-騙す者-‐―
サブタイトルは、だますもの。
短いとクリックしづらいと思い、横線を入れました。
「ハエトリさん、どうしたんですか? なんでそんなことをっ?」
あなたはクモの糸で身動きを封じられたお二人のことを問います。
「……うふふっ。決まっているじゃないの、リバーさん。――オマエを食べるためさぁッ! あぁーはっはっはっはっ!」
我慢出来ないといった感じでハエトリさんが高々と笑い、お顔を上げます。
あなたはハエトリさんの変わりように驚いていました。
彼女のお顔は、これまでの優しげだったものから、目つきの鋭い、恐ろしい表情に豹変しているのです。口の中では牙も出ており、ほぼ別人と言えるぐらいの変化でした。
「ハエトリさん、それってどういうことですかっ?」
「アナタもお馬鹿さんよねぇ。ちょっと親切にしてあげただけで、この私、魔物ハエトリグモを疑おうともしなかったんだからぁ……」
「……えっ?」
「――これからアナタはね、この私に食べられるのよ。アナタのことを初めて目にした時からぁ、ずっと食べたくて食べたくてぇ、しょうがなかったのよぉッ!」
ハエトリさんはどうやら、こちらの寝室という巣の中で、あなた達を罠にはめたようです。
「どうしようバス子ちゃん! またリバース能力で形勢逆転出来ないのっ?」
申し訳ございません。リバース能力を発動させるまでの時間が全然足りません。
ハエトリさんは、今にも襲いかかって来ようとする雰囲気です。どうにかして逃げて下さい。
「二人が糸で捕まっちゃってるのに逃げられないよぉっ!」
「逃げることはないわぁ、リバーさん。アナタは最強に文句ないぐらいにおいしいエサなの。黙ってこの私の糧となりなさいよぉッ!」
「わぁっ!」
ハエトリさんの口から放たれたクモの糸が、ベッド上のあなたに向かって飛んで来ます!
あなたの両手両手が次々とクモの糸で押さえつけられ、あなたは大の字で束縛されてしまいました。
「ああっ、もうっ! やっとベッドで寝れると思ったのになんでこんな目にっ!」
あなたが暴れても、クモの糸はすごく頑丈で、体が全く動かせません。
「寝てもいいのよ。食われることに変わりはないんだから……。ふふふふ……」
立っていたハエトリさんは、着ていた茶色のお洋服を脱ぎ捨てます。完全な下着姿になりました。上のブラジャーも下のショーツも、水色の水玉模様が入った白のお揃いでした。
「意外とかわいい下着を着けているんですね……」
こんな時にも、あなたは思ったままのご感想を述べるのです。
「そーお、ありがと。でも、アナタのほうがかわいいわよぉ? かわいくて、おいしそう。早く食べたい、食べたいなぁーッ!」
ハエトリさんの背中から鋭く尖ったクモの足が四本も出て来ました。
茶色い二対の足の先端をあなたに向けながら、ハエトリさんは跳躍します。
拘束されたあなたの上へと、四つん這いでハエトリさんは着地しました。彼女によって、天井の明かりが遮られ、あなたの視界は暗がりになります。彼女の長い茶髪も、あなたへと垂れています。
冷たい微笑を浮かべてあなたに跨るハエトリさん。鋭いクモの足をあなたに向けて、牽制します。
白い下着に守られた、主張の激し過ぎる巨乳。その柔らかそうな二つの球が、すぐ目の前にありました。あなたの意識はどうしても、そちらに向かってしまいます。
「リバーさん? 最期に何か、言い残すことはないかしらぁ? 食われる前に、命乞いをしちゃっても良いのよぉ? 絶対にアナタのおいしい体は頂くけどねぇ! あははははっ!」
「……私を食べたら、パスちゃんとミリーナちゃんは見逃してくれますか?」
そうあなたが聞くと、ハエトリさんは瞳を大きくして、見慣れた以前の表情に戻りました。ですがそれも一瞬で、すぐにキツそうな顔へと変わります。
「いいわよぉ、約束してあげる。――じゃあもう我慢出来ないから、食べさせてもらうわぁ~ッ!」
あなたは間近に迫るハエトリさんの牙を恐れ、思わず目をつぶってしまいました。
恐るべき魔物ハエトリグモに捕まり、リバーが大ピンチです!
リバーはエサになってしまうのか!
次回、どうなる!?
……今回も最後までお読み頂き、ありがとうございます。




