第45話 あなたは新たな冒険者パーティーを結成します!
もちろん冒険者ギルドでおこないます。
冒険者ギルドでは、背丈のすらりとした素敵な美少女ことあなたが、お手続きをおこなおうとしています。
カウンターには魔物の登録手続きの申込書と、冒険者パーティーメンバー変更の申込書があります。魔物ロードオクトパスのパスちゃんを、メンバーにご加入させるための措置ですね。二枚ですので、手数料も二倍です。
「やっぱり手数料取るんだ!」
「リバー様。その手数料のことですが、冒険者パーティーは、私とグッティとスターリングさんの頭文字を取ったMGSから名称を変えて、パーティーメンバーを再編成しませんか? そのほうが、新規で冒険者パーティーを結成するよりも安上がりです。リーダーはリバー様にするとして、新しいパーティー名はどうされますか?」
「パーティー名かー。MGSのままでも良いんじゃない? ニューMGSでもいいし」
新生MGS誕生、みたいに申請しましょう!
「いいえ。勇者リバー様を讃えるようなものが良いと思います」
「私に膝蹴りするほど態度の悪かった子の発言とは思えない……」
「そっ、そのことはどうか忘れて下さいっ。では、『リバー様と愚かな奴隷ども』でどうでしょうか?」
「自分のパーティー名に様とかつけたくないし! あと、ミリーナさんの意見だけでパスちゃんも『ども』に含めるのはどうかと思うよ!」
バス子からも案を。『リバー様と素敵なヒロイン達』でどうでしょう?
「様はやだってば!」
「妾も、案をお出しするのです。ちーむ上様……、様は、だめなので、りばー様……もだめなので、りばー……てぃ、で、『りばてぃ・ちーむ』?」
「自由!」
行政区画という意味でのリバティかもしれません。
「それはない!」
「『ぎょうせいくかく・ちーむ』で、どうなのですか?」
「行政区画のほうだった! でもそれだと国家機関っぽい!」
「では、リバー様は何か名案があるのですか?」
少し怒ったようなお顔でミリーナさんがお尋ねします。
「私? えーと……、『リバー・チーム』でどう?」
あまりにも無難な案でした。
「それは名案です、それにしましょう」
「妾も異議はないのです」
お二人は賛成のようですが、リバー・チームでは面白みに欠けますので、より素晴らしいご提案をさせて頂いてもよろしいでしょうか?
「変なのじゃなければね」
それでは、本命です。
「さっきの案はなんだったんだ」
サキュバスとリバースを合わせて、最後にその他の人員もいるという意味を含めた複数形にして、『サキュリバーズ』でどうでしょう?
「思っていた以上にまともだった!」
決定ですか?
「うん、そっちのほうが全然いいよ。……二人とも。サキュリバーズはどう?」
「それは名案です、それにしましょう」
「妾も異議はないのです」
「全く同じ返しだ!」
スペルは、SuccuRiverSです。
「リバー様。こちらにパーティー名をご記入下さい」
ミリーナさんはあなたにボールペンをお渡ししてきます。
「うん」
あなたのいた世界と同形状のボールペンをお借りし、あなたは冒険者パーティーのほうの申込書をご確認しました。
文字はベールカー語……あなたの知る日本語とほぼ同じです。冒険者パーティー名の欄に、サキュリバーズと書き込んで下さい。
「カタカナでいいんだよね?」
はい。
最後にカッコを用いて、スペルのご記入をお願いします。大文字のエス、ゆー、しーしーゆー、大文字でアール、あいぶい、いーあーる、最後は大文字のエス、です。
「よし、書けた」
「リバー様。リーダーは言うまでもなく勇者ブラックリバース様だとしても、副リーダーはどうされますか? パスちゃん……ロードオクトパスと書いて大丈夫でしょうか?」
「いや、そこはミリーナさんでいいんじゃない? 元々リーダーだったんだから」
「ありがとうございます。では、そうさせて頂きます」
ミリーナさんはあなたに会釈しました。
「残りは私が代筆いたしますので、リバー様とパスちゃんはもうしばらくお待ち下さい」
ミリーナさんがカウンターで書く間、あなたはミリーナさんの横顔と二本の三つ編みを見下ろしたり、彼女の動く手の先の書類を眺めたりしました。
「これでどうでしょう?」
ミリーナさんから渡された冒険者パーティーの申込書へと、あなたは目を通します。
冒険者パーティー名は、サキュリバーズ。
冒険者メンバー名の項目は、リーダーがあなたことブラックリバース様、副リーダーがミリーナさんになっていて、その下にはパスちゃんを意味するロードオクトパスとも書かれています。
「スターリングさんとグッティさんは書いとかないでいいの?」
「グッティはあの様子だと、もう冒険者への復帰はないと思います。スターリングさんは、とりあえず戻って来たらということで構いません」
ミリーナさんにわざわざご確認をされた後、あなたは申込書を出します……かと思えば、あなたはそうせずに、申込書をカウンターに置いてボールペンを持ちました。
「……バス子ちゃん。正式名、言ってくれる?」
マクシー・ミ・メトロ・サキュバス子です。
「まくしー・み、めとろ、さきゅばすこ、ね……」
なんと、あなたは冒険者メンバー名のところにバス子の名も書き加えて下さいました!
ありがたいです! 愛しています! 婚姻届けも出しましょう!
「出さないよ」
そうですか! あなたとバス子は、事実婚だったのですね! 牢屋でも共同生活をしていましたし! 唯一の生活用具だった洋式簡易便座が懐かしいです!
「……あんなところ懐かしがらないで。マジで思い出したくもない」
そうですね、ごめんなさい、あなた。
「バス子さんの声が奥さんみたいに聞こえて怖い!」
みたいではなく、あなたの奥さんです。
「だとすると私が旦那だよね?」
そう旦那ー。
「方言っぽくギャグにされても反応に困る!」
標準語に戻します。
あなたはカウンターにボールペンを置いて、待っていた職員さんに申込書二枚をお渡ししました。
タイトル回収回でした。
今回もお読み下さり、ありがとうございます。




