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第40話 ビーバー級冒険者パーティー崩壊の危機!

今回のタイトルは、今流行っている追放物の、主人公を追放した極悪冒険者パーティーの悲惨な末路の始まり……みたいになっていますが、そういう内容ではないと思います。

 背丈に差のある、あなたとパスちゃん。お金はなくても、心は豊か。

 そんなあなた達は森を出て、草原を進み、ようやくフレイトの町をぐるりと囲う壁が見えて来ました。フレイトは港から離れた町ですが、たこさん料理も探せばあるはずです。


「あとはお金だけか……」

 資金力の低さがつらいですよね。

「低いどころかゼロだよ」


 町に入るための、開かれた扉。その近くでは、あなたの知る人物が立っていました。


「あれ? ミリーナさん?」

 あなたに気づくと、ミリーナさんは駆け寄って来ます。


「良かったです、再会出来て……っ」

 ミリーナさんはお一人でした。


「スターリングさんとグッティさんはどうしたんですか?」


「グッティは、もう冒険者を続けたくないと言って、安全馬車で故郷に帰りました。スターリングさんはもっと強くなると言って一人で修業に行ったので、今は私だけです」

「そうなんですか……」


 一応、補足を。冒険者がパーティーを抜ける場合、冒険者ギルドへの届け出が必要となります。


「……勇者リバー様。本日にいたるまで度重なる無礼を働いてしまい、大変申し訳ありませんでした」

 ミリーナさんは先ほどから、人が変わったように敬語で話しています。あなたに謝罪し、最後には頭まで深く下げました。


「あの……ミリーナさん、どうしちゃったんですか? 喋りかたが全然違うんですけど」


「異世界から召喚された勇者様に敬意を表するのは当然のことです。それで、リバー様にはお願いがあります。私を、どうか配下に加えて頂くことは出来ますでしょうか?」

「えっ、ちょっと待って下さい。いきなりそんなこと言われてもっ」


 困惑するあなたを前にして、突然ミリーナさんはご自分の茶色い長袖の裾を持ち上げます。その下に来ていた白い肌着も一緒に引っ張り、おなかを出しました。


「なっ、何してんのミリーナさんっ!」

 あなたはより困惑してしまいます。


 ミリーナさんの色白のおなかは華奢で、おへそが丸見えでした。


「こちらの世界では、……おなかを(さら)し、そこを蹴られることによって、明確な上下関係が結ばれます。愚かな私が散々リバー様にやったように、私のおなかをどうか思い切り蹴りつけて下さい」


「あっ、いや、そういうこと、私、しないから! 早くおなかをしまってよ!」


「それでは、私はどうお詫びをすれば良いのでしょうか? 私はリバー様に贖罪(しょくざい)をし、配下にしてもらわないといけないのですッ!」

「なんでそこまで! 理由聞いてあげるからとりあえずおなか出すのやめてっ!」


「リバー様のご命令であれば……」

 あなたの必死の説得により、ミリーナさんは従って下さいました。


 一方で、パスちゃんは状況を察したのか、あなたからお手を離して一歩下がります。


「では、ご説明をさせて頂きます。……実力で大きく劣る私がこの先独りで冒険者を続けていくのが困難ということもありますが、何よりも、助けて頂いたご恩を、それにリバー様の配下様から頂いたターボポーションの代金を、お返ししなければならないからです」


 ミリーナさんは背筋を伸ばし、丁寧に両手を前で重ねてお答えしていました。彼女のご様子から、申し出は本気のようです。


「使わせて頂いたターボポーションのことは、グッティやスターリングさんには話しませんでしたが、私はパーティーのリーダーとして、オークション落札額の差額分をリバー様にお返しするのは当然です」


 あなたの人材オークション落札額は三万五千ビルで、バス子はおよそ五万ビルのグミを二つミリーナさんにお渡ししたので、その差額は六万ビル以上となります。


「……しかしながら、今の私の手持ちでは、全然足りません。私のかけた迷惑料も含めて、リバー様には少なく見積もっても十万ビルはお返しするべきでしょう。せめてそれまでは配下に置いてほしいと思うのですが、どうでしょうか?」


「配下というのはちょっと悪いというか、……対等なパーティーメンバーとかじゃダメなの?」

「勇者様と私のような愚か者とでは、対等にはなり得ません! どうか私を配下にして下さいっ!」

 深く頭を下げるミリーナさん。このまま冷たくあしらうようなことは、あなたには出来そうもありませんでした。


「どうしよう? バス子ちゃん」


 もし、あなたがミリーナさんの申し出を受け入れた場合、彼女はビーバー級冒険者パーティーMGSのリーダーから、あなたの配下……実質的な奴隷になります。

 彼女はもう、あなたには頭が上がらないでしょう。思う存分あなたは奴隷をこき使って、使えなくなったら切り捨てれば良いのです。

「バス子ちゃん怖いよ?」

 あなたを何度も傷つけた人間に優しい言葉をかけてあげられるほど、バス子は寛大(かんだい)ではありません。


 あなたにはすでに、パスちゃんとバス子がいます。ミリーナさんがいなくても、戦力的にはさほど困らないと思います。


 逆に、ミリーナさんを配下にしたら、あなたもグッティさんも抜けたMGSのメンバーはスターリングさん一人だけになります。もはやパーティーではないので、MGSは解散するしかありません。

 スターリングさんが帰って来る居場所を奪ってしまうことになるのですよ? それでも本当によろしいのでしょうか?


「ぶっちゃけスターリングさんはどうでもいいんだけど、バス子ちゃん、私にノーって言わせようとしてない?」


 あなたのご決断にはお従いしますので、お答えは『はい』と『いいえ』、どちらでも結構です。

追放ではなく、自らパーティーを抜けたリバーと、配下にしてほしいと頼んでくるミリーナ。次回、リバーは答えを出します。


今回もお読み頂き、ありがとうございました。

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