第38話 アイドルさんのお口が三角です!
今回は名ばかりのアイドルが活躍します。
アイドルはソロでもグループでも、好きな子を応援するのが正解です。
ステータス画面のチアガールさんが左横に移動し、アイドルのような服装をした少女の立ち絵が右側に映りました。
「えっ? また別の人出るのっ?」
はい。新キャラクター投入です。
新キャラの髪はすみれ色……いわゆる青紫色で、サイドテールつまりは片側のみを留めている髪型になっています。あなたから見て左側がサイドテールになっている美少女は、上部が肩と肩紐を露出した白い衣装、下部は青のミニスカートです。もちろんおへそは見えていますし、胸部もそれなりにありますね。
「胸部の大きさとおへそを毎回言わなきゃいけない決まりでもあるのかな?」
女性のあなたは異なるお考えのようですが、もし男性がいたら気になって眠れないと思いまして。
「それって偏見だよ!」
アイドルさんのお顔が画面内でアップになりました。
『チアガールさん、アナタは勇者ブラックリバース様の怒りを買いました。よって、粛清をします』
「この物騒な子、なんで口が三角なの?」
キャラクターづけのためです。
「それだけの理由で三角にされんのッ?」
その程度でしかないキャラクターにご同情して下さい。
「粛清って言ってる子に同情なんて出来ない!」
画面が切り替わります。
『きゃっ!』
チアガールさんが画面奥に突き飛ばされ、倒れました。
上半身を起こしたチアガールさんは、画面奥で脅えています。
「何これ?」
『おっ、お願いですぅっ! 許して下さいっ! ほっ、ほらっ、アンスコ見せるからっ!』
座り込んで青いミニスカートを持ち上げるチアガールさん。
「何これっ?」
『そういう安直な態度がいけないのです』
手前側のバス子演じるアイドルさんの声が聞こえ、画面端から彼女の右手がチアガールさんへと伸ばされました。手の平から魔法の炎が出ます。
「まさか……」
その炎が放たれます。
『きゃあああああああああああッ!』
火だるまになったチアガールさんが悲鳴を上げます。
「何これーッ!」
チアガールさんは焼死体になりました。
「冷静に言うことじゃないでしょっ!」
画面中央にアイドルさんの正面の立ち絵が映り、死体を隠蔽します。
「いやちょっと映ってる!」
やはりお口は三角のままです。
「そこはどうでもいい!」
『これで、変なとこを押さなくて済みます』
「いやいやいや、なんで燃やしちゃったの!」
『前任者がいなくなったほうがすっきりするからです』
「逆に私のせいで消されちゃったと思うとすっきりしないんだけど!」
『じゃあ、しかたなく復活をさせます』
アイドルさんが画面右に寄ると、奥の焼死体は消え、画面左では白いアンスコがまず最初に浮かび上がり、次第に下半身と上半身と頭部が順々に出現しました。
「今の演出やばい!」
『じゃーん! 復活でーす! ブイ!』
チアガールさんは右手でVをしながら、左手でポンポンを激しく振っていました。
またまた三角のお口さんのお顔アップになります。
「アイドルとも呼ばなくなった!」
『迷宮の安全化は無事に完了しました。支配下に置いたので、迷宮はアナタのものです。それと、善良なアイドル活動の活性化のため、チャンネル登録もお願いします』
「これって動画なのっ?」
いいえ。ステータス画面です。
「ステータス画面でやるような内容じゃなかったからねっ! 途中焼死体だよ!」
チアガールさんは魔法の炎でアイドルさんに燃やされたのですよ? 人体が発火したら当然そうなります。
「そりゃそうだけどさっ! あとアイドルって、最後までアイドルみたいなこと一切してなかったけど!」
『このお口の三角は、アイドル、ファン、お金の三つを示しています』
「金銭的に揉めてそう!」
最後にチアガールさんとアイドルさんがお互いの両手をきっちりと合わせ、片方を正面に突き出して、大きなL字を作りました。
「急に最後だけ仲良くされてもねっ!」
躍動感のあるダンスをしているような格好の下では、派手な大文字で『ご視聴ありがとうございました』と表示されます。
「もう流れが動画だよこれ!」
ステータス画面は自動的に消えました。お疲れ様です。
「動画観てただけなのに疲れたよ……」
あなたに補足があります。ステータス画面は長時間出したままにすると、体力や魔力が低下するので、ご注意下さい。
「じゃあ今の茶番は要らなかったのでは?」
楽しめる動画は素晴らしいものです。
「焼死体が転がる動画は楽しめないよ」
分かりました。今後は、やられたとしてもお洋服が破けて下着姿になる内容としましょう。
「やられないのが一番だけど、死体よりかはマシか……って、なんでこんなことで妥協しなきゃいけないんだろう?」
お次の動画に、ご期待下さいませ。
「バス子ちゃん。ステータス画面で動画が観られるんならさ、牢獄生活の時に活用出来たんじゃない? バス子ちゃんの話も、グラフィックつきで楽しめただろうし」
逮捕者に反省させる必要もある牢獄内で、もしあなたが携帯ゲームを楽しんでいたら、見張りの兵士さんはどう思うでしょうか?
「……そうだね、ごめん、私が間違ってた。絶対膝蹴りされてたよ」
ご理解頂けて助かります。
さて、あなたは迷宮『パスちゃんが住んでいた謎の遺跡』を攻略し、支配下に置いたので、もうこちらにご用はありません。
「迷宮名が適当過ぎない?」
それならば、『あなた達の巣』という意味深な迷宮名にしますか?
「ううん、どうでもいいや名称は」
そうでしょう。
アイドルは魔法使い、みたいな内容でした。……違うかも。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございます。




